SONY PS-X40
¥49,800(1979年頃)
解説
上級機の技術を継承して開発されたフルオートプレイヤー。
トルクむらを追放するため、モーターにはブラシもスロットも必要としないシンプルなリニアBSL(スロットレス)モーターを搭載しています。コギングの原因となるスロットを追放したため、トルクむらを極めて少なく抑えており、滑らかで静かな回転を実現しています。
さらに、効率が良いため高トルクが得られ、信頼性、耐久性も向上しています。
サーボ系の速度検出部には、ソニーマグネスケールの精密計測技術を導入して開発したマグネディスク速度検出方式を採用しています。
この方式では、回転面積が広範囲にとれるターンテーブル外周部の内壁に磁性体をコーティングし、ここに512波の検出信号を着磁し、これをマルチギャップヘッドで平均値検出してサーボ系に制御指令を送っています。
また、33・1/3rpm時に約284Hzという高い発生信号周波数を持っているため、フラッター成分の中でも比較的高い周波数までサーボ補償が可能となっています。
マグネディスク検出した速度サーボ回路に、水晶発振の位相制御回路を加えたクリスタルロックを採用しています。検出した信号を位相ロックすることにより、本体の自己発熱による初期ドリフトだけでなく、自己発熱による電圧の変動による回転数のずれ、針圧負荷による回転数低下などを低減し、優れた回転特性を得ています。
アームパイプ部には剛性を大きく高めた特殊アルミ合金を採用しており、曲げ強度の大きいJ字型を採用することにより、従来のアルミパイプの約8倍の剛性を得ています。
また、ネックシリンダー部から軸受部まで一体構造とすることで、余分な接合部を無くし、接合のガタから生じる共振要因を追放しています。
軸受部では、ボールベアリングによるガタを防ぐため、一本のストレート軸で支えるロングスパン軸受けシャフトを採用しており、動作点のブレを最小限に抑えています。
また、ピボット軸には直径5mmの焼入れ超硬合金をテーパー状に鏡面仕上げして採用しており、精密ラジアルベアリングとのコンタクトを良くすると同時に、剛性の高い支持を図っています。
キャビネットには金属に比べ内部損失が大きく、高精度で強度が多き構造が容易に得られるSBMCを採用してます。
インシュレーターにはゲル状高粘弾性物質をゴムカップに充填した大型インシュレーターを採用しています。
このインシュレーターに充填した物質は、非常に柔軟なもので、内部損失が大きく、適度なバネ弾性をもつため、効果的な振動吸収を可能にしています。
また、このインシュレーターは、キャビネットを水平に保つように高さ調整が可能で、さらに安定性を高めるため、重心位置が低くなるような構造となっています。
安全性の向上を図ったフルオート機構を搭載しており、リードイン、リターン中にトーンアームを無理矢理手でストップさせても、瞬時にオート機構が切離され、メカニズムに負担をかけないシステムとなっています。
他にも、連続した動作指示に対しても忠実に応答する電子メモリー回路や、リードイン、オートカットのクイック動作、ダストカバーを閉じた状態でも操作できるフロントコントロールなど、使い易さを高めています。
カートリッジにはMM型カートリッジXL-15が付属しています。
機種の定格
型式 | クリスタルロックD.D.フルオートプレイヤーシステム |
<ターンテーブル部> | |
ターンテーブル | 31.4cmアルミダイキャスト 1.6kg(ゴムシート含む) |
ワウ・フラッター | 0.025%wrms |
負荷特性 | 0%(針圧100g) |
起動特性 | 1/2回転以内(33・1/3rpm時) |
ドリフト時間 | 0.0003%/h以下 |
SN比 | 73dB(DIN-B) |
<トーンアーム部> | |
有効長 | 216.5mm |
全長 | 300mm |
針圧調節範囲 | 0~3g(0.1g間隔) |
シェル自重 | 10.5g(SH-145) |
使用可能カートリッジ自重範囲 (シェル自重含) |
12g~19g 18g~24.5g(補助ウェイト使用) |
<カートリッジ部> | |
カートリッジ | MM型(XL-15) |
周波数特性 | 10Hz~30kHz |
出力電圧 | 4mV(1kHz、5cm/s、45゜) |
針 | 0.6milダイヤ針 |
自重 | 5.2g |
<総合> | |
外形寸法 | 幅445x高さ145x奥行400mm |
重量 | 約8kg |
付属 | 45回転アダプター 補助ウェイト ヘッドシェル(SH-145) カートリッジ(XL-15) |