SONY PS-4300
¥59,800(1976年頃)
解説
PS-3750と同じ構成にフルオートマチック機構を搭載したフルオートプレイヤー。
フルオートマチック機構を搭載しており、聴きたいレコード盤のサイズにセットし、電子タッチスイッチを押すだけでトーンアームが自動的にリードインしてトレースを始めます。また、レコード演奏終了後は、針先が無音溝に導出されるとルミナスセンサー方式によるリターン機構が作動し、アームレストに戻ります。
さらに、オートカットやリピート動作も可能です。
ルミナスセンサー(無接触光電素子検出)方式リターン機構は、針先がレコード盤の最終音溝から導出溝に移動すると、アームの回転軸と連動しているシャッターが移動します。このフォトカプラー方式により光電素子が光量を検知し信号を発生します。その信号により、リニア・モーション・プランジャーが作動し、ブラシアンドスロットレスモーターにインサートされているセンターギアからの動力を得て、トーンアームをリターンさせるメカニズムとなっています。
このルミナスセンサー方式フルオートマチック機構の採用により、メカニカル式では取り去ることの出来なかったリターン検出時の針先に加わる側圧を0にできるため、軽針圧とレースも可能となっています。
フルオートマチック機構では、使い易さと安全性に配慮が施されています。
オートリードイン、オートリターン動作中のトーンアームを手などで止めたり、サイズセレクターを切替えたりすると、メカやトーンアームに無理な力が加わり故障の原因となりやすいですが、アームリミッタ機構の採用により、安心したオート機構を実現しています。
また、電子タッチすいっちにより電子回路が働き、ただちにリニア・モーションプランジャーが作動しトリガキガを働かせオート動作を始めるクイック・アクションメカニズムにより、トーンアームの応答動作を改善しています。
さらに、タッチスイッチからの動作指示をFF(フリップフロップ)メモリー回路で記憶し、オート機構の動作状態を知らせる信号とともに、論理判断回路で判断してオート気候をコントロールしています。
また、マニュアル操作のときdめおオートキューイングが可能です。
トーンアームの動作状態とリピート演奏の表示にはLEDによる表示を採用しています。また、スタート・ストップ・リピート動作はダストカバーを閉じた状態でも操作できるフロントコントロール方式となっています。
モーターには、DCモーターで発生していたコギング(磁気吸引力の変化、機械的トルク変化)によるトルクムラを抑えるため、原理的にスロットが存在しない構造によるブラシアンドスロットレスモーターを採用しています。
このモーターは、同心円形ソリッドコア・台形波着磁マグネットリング・可飽和インダクターにより構成されています。モーターの発生回転力は、コイルを通過する磁束量と流れる電流量に比例するため、電流量を一定にすると、回転力は磁束の量に比例することになります。このため、回転時のトルクムラを抑えるには磁束量を均一にする必要があります。
スロットレスモーターではマグネットリングに台形波着磁法を採用し、均一な磁束密度を得ています。
また、固定子コイルと回転子磁極の相対的な位置関係を検出するため、マグネットリングに磁気的な窓を設け、可飽和インダクターで磁気を感知する電子制御方式を採用し、一定した磁束を有効に利用することで安定した回転力を得ています。
より忠実な回転数を得るため、サーボ回路には独自のマグネディスクサーボ方式を採用しています。
この方式は、ミクロン単位以下のものを計測するソニーマグネスケールの精密計測機技術を導入した、高精度な速度制御機能で、広範囲にとれるターンテーブルの外周に高抗磁力のバリウム・フェライトをコーティングし、この周囲に512の速度検出信号を高密度に着磁しており、その信号を8歯のダブルギャップヘッドで平均値検出することで高精度で安定したサーボ検出を実現しています。
さらに、33・1/3rpm時に約284Hzという高い発生信号周波数のため、サーボ補償周波数帯域を広くすることができ、回転中の微かな遅れや進みを正確に捉え、速い応答特性が得られています。
キャビネットには内部損失が大きく共振しにくい音響素材であるSBMCを採用しています。
SBMCの特長を十分に生かすため、厚さや構造などを総合的に検討し、要所に補強を施す一体成形で共鳴部分をなくした、共振に強いフレーム構造を実現しています。
さらに、高さ調整可能な大型インシュレーターはキャビネットと一体構造となっており、重心位置が低くなるように取り付けてキャビネットの安定性を高めています。
カートリッジにはMM型カートリッジであるXL-15を採用しています。
XL-15はレコード盤の音溝と針先の摩擦による不必要な振動を抑える円錐形ダンパーやポールピースブロックに炭素繊維の入った樹脂、左右バランスの優れた磁気回路などで構成されています。
トーンアーム部は高感度スタティックバランス型を採用しており、軸受部に精密なピボットベアリングを用い高感度化しています。さらに、ピボットを含む各接合部にはダンパーでサポートするなど、防振設計が施されています。
ヘッドシェルはアルミ軽合金を使用して、軽量で高剛性かつ無共振化を図っています。
そして、インサイドフォースキャンセラーやラテラルバランサーを搭載しています。
外周ストロボスコープにはストロボ照射プリズムを搭載しており、ストロボパターンが見やすくなっています。
33・1/3、45rpmの2スピードに独立のピッチコントロールを搭載しています。
オイルダンプ式アームリフターを採用しています。
針圧調整がしやすいよう回転可能なアームレストを採用しています。
低容量フォノコードを採用しています。
交換用シェルスタンドを2子搭載しています。
着脱可能なアクリル製ダストカバーが付属しています。
機種の定格
型式 | ダイレクトドライブ・フルオートマチック・プレイヤーシステム |
<ターンテーブル部> | |
ターンテーブル | 31.4cmアルミダイキャスト |
モーター | ブラシアンドスロットレスモーター |
サーボ方式 | マグネディスクサーボ |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
速度調整範囲 | ±4% |
起動特性 | 1/2回転以内(33・1/3rpm) |
ワウフラッター | 0.03%WRMS |
SN比 | 70dB(DIN-B) |
<トーンアーム部> | |
トーンアーム | スタティックバランス型 |
有効長 | 216.5mm |
全長 | 300mm |
トラッキングエラー角度 | +3゜、-1゜ |
針圧調整範囲 | 0g~3g |
付属シェル自重 | 7.5g(SH-135) |
使用可能カートリッジ自重 | 4g~13g 補助ウェイト使用時:~22g |
<カートリッジ部> | |
カートリッジ | MM型カートリッジ XL-15 |
周波数特性 | 10Hz~30kHz |
セパレーション | 25dB以上(1kHz) |
出力電圧 | 4mV(1kHz、5cm/s) |
負荷インピーダンス | 50kΩ~100kΩ |
コンプライアンス | 15x10-6cm/dyne |
針圧(最適針圧) | 1.2g~2.5g(1.7g) |
針 | 0.6milダイヤ針 |
自重 | 5.2g |
交換針 | ND-15G(¥5,500) |
<総合> | |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 8W |
外形寸法 | 幅445x高さ155x奥行375mm |
重量 | 10.0kg |
付属 | 補助ウェイト トラッキングエラー確認ゲージ 45回転アダプター カートリッジスペーサー 調整用ドライバー |