SONY MDS-PC3
¥49,000(2000年発売)
解説
PCリンクキットが付属した幅152mmのコンパクトMDデッキ。
付属のPCリンクキットPCLK-MN10により、パソコンとUSB接続が可能です。
これにより、パソコンからMD/PC CD(PCのCD-ROM内の音楽CD)の再生/停止、曲の頭出し、早送り/巻戻しなどの基本操作が行えます。さらに、曲順の入れ替え(MOVE)や曲を消去する(ERASE)などの編集も可能です。
付属のオペレーションソフトを使用する事で、漢字/ひらがな文字をパソコンのキーボードから入力できます。
また、本体のディスプレイで漢字・ひらがなの表示が可能です。
PC上の音楽ファイルの管理・再生が可能です。さらに、音楽データをパソコンからUSB経由でMDS-PC3に転送可能です。これによりパソコン内部のノイズの影響を受けずに音楽信号をD/A変換できます。
また、PC CD→MD/PC音楽ファイル→MDへの録音も可能です。
PCリンクキットによりパソコン用プリンターでラベル印刷が可能です。
さらに、PCリンクキットにはPictureGearラベルメーカーをはじめ、4種類のラベル作成ソフトを内蔵しており、パソコン内のJPEGなどの写真やイラストデータを貼り付けてオリジナルラベルを作成することが可能です。
PCリンクキットにはデータベース機能を搭載しており、今まで録音/登録した曲をデータベース化することができます。
また、ディスクライブラリー検索により曲名や、その曲が入ったメディアの確認、アルバム名やアーティスト名を一覧表示させることが可能です。
ATRAC用DSPに信号処理能力を従来の2倍に高めたATRAC用TYPE-R DSPを採用しています。また、インテリジェント・ビット・リアロケーション・アルゴリズムの採用により、高められた処理能力を最大限に使い、スペクトラム変換された音楽データを再分析することで、今まで発見が困難だった微小レベルの冗長なビット配分をサーチし、聴感上重要な周波数帯域に優先的に再分配しています。これにより、ビット配分をさらにきめ細かく洗練され、元の音楽ソースの波形に近づけることが可能になっています。
ワイドビットストリームテクノロジーを導入しており、コアとなるATRAC用DSPのダイナミックレンジとデジタルイン・アウトなどの周辺回路のオーディオデータ語長をこれまでの16ビットからさらに多ビット化し、ダイナミックレンジの広い録音・再生を可能にしています。
音声圧縮技術ATRACを改良し、今までの約2倍の圧縮性能を実現したMDLPモードを搭載しています。
ATRACは、聴感上、耳に聞こえにくい音の成分を省くことでデータサイズを圧縮しています。MDLPモードに採用されたATRAC3では、さらに音質劣化を最大限防ぎながら圧縮率を高めるための工夫がされています。
その一つとして、ハフマンコーディングと呼ばれるデータ符号化方式を採用しています。ハフマンコーディングではデータの出現率に注目しており、頻繁に出現するデータ列にはより短い符号を割り当て、出現率の低いデータには長い符号を割り当てることで圧縮効率を高めています。
さらに、高圧縮でも高い音質を維持するため、圧縮処理に先立って、その前処理にあたる帯域分割とスペクトラムブロック化についても高精度化を図っています。帯域分割は、これまでのATRACでは3分割(5.5kHzまでの低域、5.5kHz~11kHzの中域、11kHz~22kHzの高域)して次の回路に渡していましたが、ATRAC3では4分割(高域を11kHz~16.5kHzと16.5kHz~22kHzに分割)することで処理に余裕を持たせています。また、スペクトラムブロック化は、ATRACの2倍にあたる1,024サンプルに細分化し、よりきめ細かく信号を見極めて圧縮を行う回路構成を採用しています。
MDでは、一定の時間(ATRACの場合11.6ms)で区切ってLch、Rchを1組とするデータが交互に記録されます。このとき音楽が急に性質を変えた時にも適切な信号処理が継続して行われるように、ATRAC3では約1msごとに細かく信号処理内容を制御しています。
さらに、ATRAC3にはトーン成分分離というステップを新規に設けており、トーン成分を抽出し、他の成分とは分離して符号化(圧縮)することで高音質の維持を図っています。
MDLPには、ディスク標記時間の2倍の長さで録音が行えるLP2ステレオ録音(再生)モードと、標記時間の4倍の長さの録音が行えるLP4ステレオ録音モードが設けられています。
LP2ステレオ録音(再生)モードはATRAC3の高圧縮率をそのまま反映したモードで長時間の音楽録音・再生に向いています。また、LP4ステレオ録音(再生)モードは、音楽信号で重量な役割を果たすセンター定位信号(ボーカルやベースなど)に限られたビット数を多く割り当てる圧縮方式を採用しており、記録するデータ量を小さくすることで更なる長時間録音を実現しています。
MDLPはディスク上のデータ配置が従来のフォーマットと異なるため従来モデルでの録音・再生はできません。ただし、MDLP対応モデルでの従来フォーマットの録音・再生は可能となっています。
また、MDLPフォーマットでの高速録音は2倍速までで、MDLPフォーマットで録音されたディスクは、S.F
Editは行えません。
録音した後でディスクの音量調整やフェードイン/フェードアウトが行えるS.F
Edit(スケールファクターエディット)機能を搭載しています。スケールファクターは、52分割されたフローティングユニットのレベルの上のピークを表すパラメータで、この値を変更することで音量調整が行えます。この機能では、録音レベルが不揃いになってしまったディスクでも後から再調整が行え、ディスクから録音済みのデータを読み出し、データを編集して再びディスクに書き込みます。
32kHzや48kHzの各サンプリング周波数を44.1kHzに自動変換するサンプリングレートコンバーターを搭載しています。
電源部には、トランスの鉄心に切れ目が無く、さらに断面も円形のドーナツ型にすることで磁束漏れと振動を大幅に減少させたRコアトランスを採用しています。
デジタルRECレベルコントロールを搭載しており、ゲイン0dBを中心として-∞dBから最大+12dBまでコントロールができます。
ミュージックシンクロ機能を搭載しており、リモコンのミュージックシンクロ・ボタンを押した後に接続した機器の演奏をスタートさせるだけで、音楽信号の入力を感知して自動的に録音を開始します。
タイムマシン録音機能を搭載しており、録音ポーズ状態でマルチジョグダイヤルを押すと最大6秒前の音に遡ってディスクに録音できます。
MDを表示の2倍の長さで使えるモノラル録音・再生機能を搭載しています。
曲の分割(DIVIDE)、連結(COMBINE)、移動(MOVE)などの編集が可能です。また、間違えた場合に直前の編集操作をキャンセルできるUNDO機能を搭載しています。
COMBINEやDIVIDEでの編集ポイントを確認できるリハーサル機能を搭載しています。
編集ポイントの移動は、DIVIDEの編集点を最大-128ステップ~+127ステップ(1ステップは約0.06秒)の範囲で微調整できます。
1曲内の指定した2点間を消去できるA-B ERASE機能を搭載しています。
ディスク名や曲名を約1,700文字までディスクに記録できるタイトル機能を搭載しています。
アルファベットや数字、記号に加え、カタカナ文字にも対応しており、録音・再生中でも本体及びリモコンから入力ができます。
デジタル録音時に3秒以上の無録音部を自動的に約3秒に揃えるスマートスペース機能を搭載しています。
コンパクトなカードタイプリモコンが付属しています。
デジタル録音はSCMS(シリアルコピーマネージメントシステム)により、1世代に限り可能で、2世代以降のデジタル録音はできません。ただし、CS放送からの録音の場合、番組によっては録音できないことがあります。
MDデッキ側の音楽データをPCリンクキット経由でパソコンに取り込むことはできません。
機種の定格
型式 | MDデッキ |
A/Dコンバーター | 24bit⊿∑ |
D/Aコンバーター | ハイブリッドパルスD/Aコンバーター |
音声圧縮方式 | ATRAC/ATRAC3 |
録音・再生時間 | ステレオ:最長320分(MDLP LP4モード時) モノラル:最長160分 |
周波数特性 | 5Hz~20kHz ±0.5dB |
ダイナミックレンジ | 94dB以上(再生時) |
SN比 | 94dB以上(再生時) |
全高調波歪率 | 0.01%以下(再生時) |
ワウ・フラッター | 測定限界(0.001%W・peak)以下 |
入力端子 | ライン:1系統 光デジタル:1系統 |
出力端子 | ライン:1系統 光デジタル:1系統 ヘッドホン:1系統 |
電源電圧 | DC9V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 7W |
外形寸法 | 幅152x高さ52x奥行255mm |
重量 | 約1.0kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-D52M ACアダプター MD-PCリンクキット オペレーションソフト「M-crew」(CD-ROM) USBケーブル(180cm) 光デジタルケーブル(60cm) |
M-crew 動作環境
対応機種 | DOS/Vパソコン |
OS | Windows98/98Second Edition |
使用可能USB | Specification Version1.0以上準拠USBコネクター |
CPU | PentiumII 233MHz以上 Celeron 300A相当以上 |
ハードディスク空き容量 | 20MB以上(M-crew本体のみのインストール時) |
メインメモリ | 32MB以上(64MB以上を推奨) |
ビデオボード | SVGA(800x600ピクセル)、65536色以上を表示可能なもの |
ハードディスク空き容量 | 20MB以上 |
その他 | CD-ROMドライブ Windows Media Player6.4以降 |