SONY DTC-690
¥75,000(1993年発売)
解説
ESシリーズの技術を投入して開発されたDATデッキ。
コピープロテクションとしてSCMS(シリアルコピーマネージメントシステム)が採用されています。
SCMSは、CDをマスターとして1世代分に限りデジタル→デジタル録音が可能で、録音して得たテープを元に2世代目以降のデジタル→デジタル録音はできません。また、アナログ入力で録音したソースを元にした場合も同様に、1世代分のデジタル→デジタル録音は可能ですが、2世代目以降のデジタル→デジタル録音ができません。
アナログ入出力のみを使う場合にはSCMSの制限を受けずに繰り返し録音することができます。
キャプスタン用とヘッドドラム回転用にそれぞれ独立のダイレクト・ドライブモーターを使用し、リール用に別の専用モーターを設けた2D.D.+リールモーターメカニズムを採用しています。
A/D変換部に1ビット方式のA/Dコンバーターを採用しており、高倍率のオーバーサンプリングを実行することで、A/D変換時に発生する不要なサンプリングノイズを可聴帯域外のはるか高域へシフトしています。これにより折返し雑音を防止するために、A/Dコンバーターの前段に挿入されるローパスフィルターの特性を緩やかにすることができ、位相特性や群遅延特性を良好に保ったデジタル録音が可能です。
D/A変換部には、電流源と電子スイッチをそれぞれ一つずつもち、オーバーサンプリング演算とノイズシェイピング演算をもとにD/A変換を実行するパルスD/Aコンバーターを採用しています。電子スイッチを高速でON/OFFすることにより、パルスの密度で音を再現しており、ゼロクロス歪や微分非直線歪などを原理的に排除しています。
マイコン制御によるモーターサーボを大幅にソフトウェア化したソフトウェアサーボを採用しています。
これにより、テープに余分な負担をかけないよう、サーチ時には走り始めと停止直前はゆっくり、走行の途上では最大200倍速(標準時)の高速かつスムーズなサーチ動作を実現しています。
また、ソフトウェアサーボは、音出し時間の短縮やキュー/レビュー動作時の操作性を向上する効果も得ています。
DATの特長でもあるサブコード機能を搭載しており、スタートID、スキップID、エンドIDの設定や消去が可能です。
スタートIDは曲の頭などを示すサブコードで、曲の開始時に自動的に書き込まれるオートと、自分の好きな位置(スタートID直後、SPモード時は9秒間、LPモード時は18秒間を除く)に書き込めるマニュアルの2モードを搭載しています。
スキップIDは、テープの再生時に飛ばして聴きたい部分の頭に書き込んでおくIDで、再生中にスキップiDを見つけると次のスタートIDまで自動的に早送りできます。
エンドIDは、書き込まれた部分をテープの最後と見なすコードで、再生時はオートリワインド、早送り時はストップします。
再生時マニュアルで行うスタートIDの書き込みおよびスキップID/エンドIDの書き込み、A-Bリピートのポイント書き込みにリハーサル機能を搭載しています。
リハーサル中は音を聴いて確認しながらポイントを前後に0.3秒単位で移動可能です。移動時間はディスプレイに表示され、容易にジャストポイントに書き込む事ができます。また、すでに書き込まれたスタートIDの修正も可能です。
スタートIDにはプログラムナンバーを振ることができ、再生の際にそのナンバーを10キーで指定するだけでダイレクトに選曲ができます。プログラムナンバーは録音時に自動で振られるほか、リナンバーの操作によって振りなおすことができます。
スタートIDを追加したり消去したりすることで、プログラムナンバーが不揃いな場合に対応するため、リナンバー機能を搭載しています。この機能では、ワンタッチでテープの頭からナンバーを振り直します。
スタートIDを0.3秒ずつ前につけ直しながらリナンバーするシフトシナンバー機能を搭載しています。
テープトップからの絶対時間を示すアブソリュートタイムの記録が可能です。
今聴いている曲を基準とし、AMSを押す回数に応じて前後の曲が頭出しできるAMSプレイが可能です。
また、AMSボタンと10キーを併用することで、その数字に応じた曲数分の前後頭出しが行えるAMSサーチも搭載しています。
プログラムナンバーサーチを搭載しており、10キーとプレイボタンの併用により、押した数字のプログラムナンバーが記録されている曲を直接頭出しできます。
ミュージックスキャン機能を搭載しており、スタートIDを次々と探して約8秒間ずつ再生できます。
指定のプログラムナンバーおよびテープ全体のリピート再生が可能です。
エンドサーチを搭載しており、エンドIDあるいは1度も録音したことがない未録音部を素早く探すことができます。
付属のリモコンを使用することで、プログラムナンバーを好きな順に並べ替えて再生する99曲のRMSプレイが可能です。
最長4時間(DT-120使用時)の連続録音が可能です。
デジタル入力端子として、光と同軸の2種類を搭載しています。また、デジタル出力端子として光出力端子を搭載しています。
光入力はケーブルによるジッターを吸収するサーボ型のデジタル・シグナル・ノーマライザー回路を使用しています。
本体の殆どの操作が可能なワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | DATデッキ |
記録方式 | 回転ヘッド方式 |
周波数特性 | 2Hz~22kHz ±0.5dB |
全高調波歪率 | 0.005%以下(EIAJ、ライン入力) |
SN比 | 90dB以上(EIAJ、ライン入力) |
ダイナミックレンジ | 90dB以上(EIAJ、ライン入力) |
ワウ・フラッター | 測定限界(±0.001%Wpeak)以下(EIAJ) |
入力端子 | ライン:1系統 デジタル同軸:1系統 デジタル光:1系統 |
出力端子 | ライン:1系統 デジタル光:1系統 ヘッドホン:1系統(ステレオ標準ジャック) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 26W |
外形寸法 | 幅430x高さ110x奥行350mm |
重量 | 約5kg |
付属 | ワイヤレスリモコン RM-D690 |