オーディオの足跡

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CDP-XA55ESの画像
 解説 

可変デジタルフィルターを搭載し、さらに電源部などの強化も図ったESシリーズ最後のCDプレイヤー。

メカニズム部には光学系固定方式メカニズムを採用しています。
この方式ではピックアップを強固なベースに固定し、ディスク側がメカベース上で移動する構造となっています。これによりピックアップの受ける振動は激減し、サーボに必要な電流はディスクのゆがみや偏心に対する補正を行う比較的ゆっくりとした動きで済むようになっています。
さらに、CDP-XA55ESでは光学ピックアップを固定するベース部に亜鉛ダイキャストを採用しており、ベース部自体の共振を低減することで読取り精度を高めています。また、ディスク回転用モーターには回転ムラの少ないBSLモーターを使用しています。

デジタルフィルターには24ビット可変デジタルフィルターを搭載しています。
可変デジタルフィルターでは遮断特性や位相特性の異なる複数の計算式を登録することで、好みに応じてフィルター特性を選ぶことができます。
CDP-MS1では新開発のデバイスVC24を用いることで24ビット処理を実現しており、演算語調の大幅拡大に加え演算スピードの高速化や、係数の拡張も同時に行うことでデジタルフィルターとしての処理能力を飛躍的に高めています。ポジションは全部で5種類が選べ、シャープロールオフ特性のスタンダードポジションに加え、スローロールオフ特性のNo1クリアー、No2プレーン、No3ファイン、No4シルキーが選べます。

D/A変換部にはカレント・パルスD/Aコンバーターを搭載しています。
この方式では安定した電流源を用意し、パルス生成器の出力を利用してスイッチングすることで電流パルスを生成しています。電流パルスを用いることで電源電圧の変動やデジタル演算回路の電圧性ノイズの影響を排除しています。

電源部には漏洩磁束と振動を大幅に減少させたRコアトランスを採用しています。
CDP-XA55ESではオーディオ回路用、デジタル回路用、メカニズム駆動用と、回路ブロックごとに専用トランスを配したトリプルRコアトランスとすることで、電源部を通した各回路ブロックの干渉を徹底的に排除しています。さらに、オーディオ回路用には必要容量を大幅に上回る大型Rコアトランスを採用することで余力を確保しています。また、電力供給量の変動が比較的大きいメカニズム駆動用はシールドボックスに封入しています。
トランス部全体は非磁性で共振周波数も低い銅のプレートにマウントしており、シャーシとの距離を取り、迷走磁界を防いでシャーシ内を磁気的にクリーンに保っています。

強化型サーボ回路を採用しています。
CDプレイヤーでは、ディスクから光ピックアップの反射光をRF信号として読み出していますが、ディスクの状態などにより反射率は変動し、RF信号も揺らいでいます。この揺らぎは強力なフィルターを用いることでカットできますが、CDP-XA55ESでは取り出すべき音楽信号も同時に揺らいでいることを重視し、あえて強いフィルターを用いずに音楽信号の忠実なピックアップを優先させるサーボ回路を搭載しています。これによりディスク側に起因する読取りエラーが減少し、高い再現力を獲得しています。この回路はディスクリートで構成された贅沢な設計となっています。
また、ディスクを回転させるスピンドルモーターのサーボにも、回転状態を検知するホール素子のオフセット値をキャンセルする回路を搭載し、検知能力を安定化することでトルクムラをさらに減少させています。

サーボ部にはハイプレシジョン・デジタルサーボを採用しており、演奏するディスクごとに光学ピックアップのサーボ量を調整することでディスクのコンディションをより的確に反映したサーボコントロールを実現しています。

内部レイアウトにはセンターメカマウントシステムを採用しており、CDプレイヤー唯一の機械的動作セクションでもあるメカデッキをシャーシ中央に配置することでシャーシに加わる回転モーメントを最小に抑え、振動に対する安定度を高めてます。

シャーシにはFBシャーシを採用しており、外周を取り囲むフレーム(Frame=枠)と前後に渡したビーム(Beam=梁)でシャーシ全体を一つの箱として強固に固めた構造としています。それぞれ異なる形状と大きさの部材を組み合わせることで固有振動を相互に打ち消し、シャーシ全体としての振動を大きく低減しています。

脚部には偏心インシュレーターを採用しています。
このインシュレーターはシャーシの取り付け穴の位置をセンターからオフセットした構造となっており、外部から伝わる振動を相互に打ち消し、シャーシに伝わる振動を低減しています。

ファインドライブ回路を採用しており、ディスク回転系及び光学ピックアップのドライブ回路を同相ノイズの打ち消しが可能なバランスプッシュプルで構成することでアースラインへのノイズ混入を防いでいます。
さらにデジタルミニマム基板を採用しており、デジタル回路基板を最小限の容積にまとめた上でオーディオ回路基板から分離し、メカデッキ部に配置することでオーディオ部への影響を低減しています。

ディスプレイ部には表示に変化の無い部分は点滅しないスタティック点灯FL管を採用しており、表示部で発生するノイズを低減しています。

ジョグダイヤル式のAMSを採用しており、操作性を向上しています。

カスタムエディット機能を搭載しており、ピークサーチ、タイムエディット、ジャストエディット、プログラムエディット、タイムフェード、マニュアルフェーダー、可変フェードなどの機能を操作できます。

最大対応枚数224枚のカスタムファイル機能を搭載しており、カスタムインデックスやデリートバンクなどの操作が可能です。

シャッフルプレイやデリートシャッフル、デリートプレイ、オートスペース、タイマープレイ(オートスタート)、8モードリピート、インデックスサーチなどの豊富な機能を搭載しています。

ラインアウト兼用のボリューム付きヘッドホン端子を搭載しています。

光、同軸の2系統のデジタル出力を搭載しています。
デジタル出力はOFFにすることができ、アナログ出力への干渉を防ぐことができます。

ワイヤレスリモコンが付属しています。


※内部レイアウトについて
1998年の発売時のカタログではメカニズム駆動用電源トランスがシールドボックスに封入された写真が掲載され特徴にも記述があるのですが、1999年以降のカタログではシールドボックスの写真と記述が消えています。
初期発売モデル等のカタログ作成時のモデルにのみシールドボックスが使用されたのかもしれません。念のため二つのレイアウトを掲載しておきます。

機種の定格
型式 CDプレイヤー
D/Aコンバーター カレント・パルスD/Aコンバーター
デジタルフィルター 可変デジタルフィルター
周波数特性 2Hz~20kHz ±0.3dB
ダイナミックレンジ 100dB以上(EIAJ)
全高調波歪率 0.0017%以下(EIAJ)
ワウ・フラッター 測定限界(±0.001%W.peak)以下(EIAJ)
デジタル出力 光:-18dBm(発光波長660nm)
同軸:0.5Vp-p/75Ω
アナログ出力 固定:2Vrms
可変:2Vrms~0Vrms
ヘッドホン出力 28mW(32Ω負荷)
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 20W
外形寸法 幅430x高さ125x奥行375mm
重量 約13.2kg
付属 ワイヤレスリモコン RM-D950
 
可変デジタルフィルターのポジションとその概要
ポジション 遮断特性 音の印象
シャープロールオフ
スタンダード 情報量が最も多く、広いレンジ感と空間表現が特徴。
クラシック等の再生に好適。
スローロールオフ
No1
クリアー
滑らかなタッチでしかもエネルギー感があり、音像定位が明瞭。
ジャズバンド、ジャズボーカルなどに好適
No2
プレーン
鮮度が高くエネルギッシュで、特にボーカルの艶めかしさの表現力が豊か。
ボーカル主体の音楽に好適。
No3
ファイン
バランスのとれた自然な音で、しかもスケール感があり、残響表現が豊か。
音楽のジャンルを問わずリラックスした気分で楽しむ時に好適。
No4
シルキー
スケール感と繊細さを兼ね備える。
オペラなどのボーカルとBGMの渾然一体とした音楽の再生に好適。