SONY XL-88D
¥150,000(1980年頃)
解説
針先一体型ダイアモンド・カンチレバーと、8の字コイルを採用したMC型ステレオカートリッジ。
地球上に存在する物質の中で最も硬いダイヤモンドをカンチレバーに使い、さらにその先端を針先チップとした、針先一体型ダイヤモンド・カンチレバーを採用しています。
これにより、カンチレバー自体の振動伝達の忠実度を大幅に向上し、さらに針先チップの接着のガタやスチフネスによる音質劣化がありません。
MC型カートリッジの弱点といわれる出力の小ささを改善するため、アーマチュアの動きを効率よく生かすプッシュプル発電というアイデアのもと、従来の丸いコイルを1回ひねることによって、磁界の中で動くコイルの発電力を2バイにした8の字コイルを採用しています。
これにより、コイルの巻数を増やさず、鉄芯も使わずに、充分な出力を得ています。
8の字コイルのプッシュプル動作に完全な対称性を持たせるため、磁気回路にはパーメンジュールを採用しています。
これは高い磁束密度をもつ磁性合金で、ヨーク材の磁気飽和を防止し、プッシュプル動作による歪の打ち消しがより完全なものとなっています。
ダンパーに要求される直線性のよい制動を得るため、原点に戻って角度から検討を行い、運動方向、運動支点の明確化、さらに横ずり運動によるチャンネル間の相互作用を排除する特殊形状を採用しています。
これにより、中高域の歪やチャンネルセパレーションを大幅に改善しています。
機種の定格
型式 | MC型カートリッジ |
発電方式 | ムービングコイル型 |
出力電圧 | 0.4mV(1kHz、5cm/s、45゜) |
周波数特性 | 10Hz~50kHz |
チャンネルセパレーション | 33dB以上(1kHz) |
チャンネル・バランス | 1.0dB以下(1kHz) |
直流抵抗 | 40Ω |
インピーダンス | 40Ω(1kHz、片ch) |
負荷インピーダンス | 40Ω~100kΩ(推奨値100Ω) |
コンプライアンス | 20x10-6cm/dyne |
針圧 | 1.2g~1.8g(推奨値1.5g) |
針先形状 | カンチレバ一体超楕円ダイヤモンド針 |
自重 | 6.8g |