オーディオの足跡

PR:SONY/ESPRITの製品をヤフオク!で検索
PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

DAS-703ESの画像
 解説 

DAS-702ESの後継機にあたるD/Aコンバーター。

DAS-703ESはデジタル部・アナログ部・電源部でほぼ3等分されたレイアウトとなっており、シンプルで信号の流れに沿ったコンストラクションとなっています。
また、デジタル部はシールドケースの中に納められており、デジタル部からアナログ部へのデータ伝送には光を用いたオプティカル・トランスファー方式を採用しています。これによりデジタル回路がアナログ回路に干渉して音質を劣化させるのを防いでいます。

デジタル・セパレートシステムの良さを最大限発揮するため、デジタル回路の規模を小さくまとめています。
デジタル回路は主にデータ復調回路とオーバーサンプリング・デジタルフィルターで構成されています。データ復調はデコーダー用に開発されたLSI(CX-23053)1個で処理しています。
また、デジタルフィルターにはLSI(CX-23034)を採用しています。このLSIはフィルターとしての減衰量が80dB以上という優れた特性を持っています。

クロックの生成には高精度ダブルPLLクロック生成回路を採用しています。
デジタルフィルターやデータ復調回路に必要なクロックは入力信号にジッターが含まれていても正確に追従する必要があります。しかし、サンプル&ホールド回路用のクロックはアナログ出力信号の時間軸となるため、ジッターに追従するのを防がなければなりません。
これらの点を考慮してDAS-703ESではジッター追尾型のデジタル用PLLとジッター非追尾型のアナログ用PLLという性格の異なる2個のPLLを組み合わせた高精度ダブルPLLとしています。

デジタル回路からアナログ回路へのデータ伝送には光伝送素子(フォトカプラ)を用いたオプティカル・トランスファー方式を採用しています。これによりグランド電流に起因する各種の歪やノイズを軽減しています。

D/AコンバーターICにはラダー型と呼ばれるタイプを採用しています。
ラダー型では16ビットのパラレルデータを入力すると、まず各ビットに対応した電流が作られ、次にラダーと呼ばれる抵抗網を通してその和をとっています。
DAS-703ESでは電流出力タイプのものを使用しています。これはIC内部の抵抗を使う電圧出力型と比較して大型でしっかりとした部品が使えるうえ、電圧変換そのものを次のサンプル&ホールド回路と兼ねる設計となっています。これにより事実上増幅器を1段省いたこととなり、より鮮度の高い音質を得ています。

ダイレクト・サンプル&ホールド回路を搭載しています。
サンプル&ホールド回路では、D/AコンバーターICの入力データが変換した直後の不安定な値がそのまま出力されると歪になるため、データが安定する後半の部分だけをサンプリングし、次の安定したデータが来るまでこの値をホールドしています。
ダイレクト・サンプル&ホールド回路では同時に電流から電圧への変換もダイレクトに行っています。

アナログ・ローパスフィルターにはGIC型の7次バターワース・アクティブフィルターを採用しています。

アナログフィルターの出力はディ・エンファシス回路兼用の出力アンプを通して出力されます。
DAS-703ESの出力アンプは、初段に容量歪の発生しないカスコードデュアルFETを、出力段に電流容量の大きいパワーMOS FETバッファ回路を組み合わせたものを採用しており、十分な量感と質の高い中高域を獲得しています。

シャーシは充分な厚みと強度のある各部構造材を合理的に結合した強靭な物としています。
また、インシュレーターにはセラミックスと無反発ゴムを組み合わせた振動抑制構造を採用しています。

電源部にはデジタル回路用とアナログ回路用のそれぞれに専用大型トランスを採用しています。
アナログ用は100W程度のパワーアンプが作れるコアボリュームとなっています。また、デジタル用は少し小型ですが、普通のCDプレイヤー全体を賄える容量を持っています。

電解コンデンサーにはセラミック・パウダー分散型電解コンデンサーを採用しています。
このコンデンサーは電解液にファイン・セラミックパウダーを分散させることによって電解液中の異音の動きを活発にして音質を向上させています。

プリント基板にはES基板を採用しています。
一般的なプリント基板にあるレジスト皮膜はパターン間の静電容量を増加させており、これが音質上に影響を与えていました。ES基板ではパターンとパターンの間のレジストを取り去っており、硬さや歪感の少ない音質を確保しています。

抵抗には樹脂成型された音響用抵抗を採用しています。
金メッキのキャップを用いた炭素皮膜抵抗エレメントを硬質樹脂でモールディングすることで音質の向上と振動への強化を実現しています。DAS-703ESではNFB回路やGICフィルターに大型で音質的にも優れた抵抗を使用しており、音質改善を図っています。

DATなどの専用入力端子としてDigital Tape端子とDigital Rec out端子を搭載しています。
パネル面のDigital Tape Monitorスイッチを押すとDigital Input1/2からの入力が切れて、この端子からの入力を扱うようになります。Digital Input1/2の信号はDigital Rec outに出続けます。

DAS-703ESは32kHzから48kHzの範囲であればどんなサンプリング周波数の入力に対してもPLLがロックするように設計されています。

2系統のデジタル入力を搭載しています。

信号系線材にはLC-OFC線を使用しています。

ラインアウト端子は固定と可変の2系統を搭載しています。

全ての入出力端子は金メッキ処理が施されています。

機種の定格
型式 D/Aコンバーター
デジタル入力 Digital Input1、2、Tape:0.5Vp-p±20%/75Ω
デジタル出力 0.5Vp-p±20%/75Ω
※デジタル録音出力は電源がONの時のみ出力されます。
※入力デジタル信号にコピー禁止ビットが付加されている場合はそのまま出力されます。
チャンネル数 2チャンネル
複号化 16ビット直線
周波数特性 5Hz~20kHz ±0.5dB(44.1kHz以上)
高調波歪率 0.004%以下(1kHz、44.1kHz、16ビット時)
ダイナミックレンジ 95dB以上(44.1kHz、16ビット時)
出力レベル/インピーダンス Line out(固定):2.5V(デジタル信号max)/10kΩ以上
Line out(可変):0V~2.5V(デジタル信号max)/10kΩ以上
Headphones:0mW~14mW(負荷32Ω、デジタル信号max)/8Ω以上
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 26W
外形寸法 幅430x高さ110x奥行435mm
重量 16kg