オーディオの足跡

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DAS-702ESの画像
 解説 

SONYの単体D/Aコンバーター1号機。
ESPRITシリーズに通じる理念を貫き、回路構成、構造、デバイスの全てにわたり音質最優先を追及しています。

DAS-702ESは、デジタル部、アナログ部(D/Aコンバーター回路も含む)、電源部をほぼ3等分した構成となっています。
さらに、オーディオ回路だけでなく専用ICを使用したD/Aコンバーター部をLch/Rch独立で使用するなど、完全ツインモノ構成とすることで徹底的に音質追求を図っています。また、デジタル部は、クロックジェネレーター/データ復調回路/オーバーサンプリング・デジタルフィルターをシールドケースの中に納めており、デジタル回路がアナログ部や電源部に干渉しないように配慮がされています。

クロック発生用PLL回路は、3系統にわけて各々の最適な回路と定数で構成しています。
得にアナログ信号の時間的基準となるアパーチャ用PLLを独立させており、安定度の高い回路を実現しています。

データ復調回路では、デジタルオーディオ・インターフェースフォーマットの入力信号を通常の16ビットデータ/エンファシスコントロール信号/その他の同期信号にデコードしており、新開発のC-MOS LSI(CX23053)を採用しています。

オーバーサンプリング・デジタルフィルターを搭載しており、サンプリング周波数を上げる事でデジタル化した信号成分のノイズにあたる部分の帯域が高い周波数にずれ、オーディオ信号を戻すときにノイズをカットするローパスフィルターの減衰特性が急峻である必要がなくなっています。これにより歪や位相ズレの少ない低次数(素子数)のローパスフィルターが使用できています。
DAS-702ESでは、オーバーサンプリング用に開発したCX23034デジタルフィルターを採用しており、通過帯域リップル+0.01dB以下、阻止大域減衰量80dB以上という優れた特性を得ています。

D/Aコンバーター回路ではICとしてラダー型を採用しています。これは、16ビットパラレルデータを入力すると電流出力が得られるもので、積分型にみられるクロックを必要としないため、非常にシンプルな構成を可能としています。
ラダー型は積分型に比較した場合、微分非直線誤差がわずかに大きくなりやすく、スペック上では歪率の点で多少不利な面がありますが、あえて採用し、シンプルな回路とすることで好結果を得ています。
DAS-702ESではこのICを2個使用し、左右チャンネルに同時に入力データを加える事により、L/Rチャンネルの位相をあわせています。

入力のデジタルデータが変化した直後、数百nsecの間でこれが不安定なアナログ値として出力されると、歪になります。これを防ぐため、電流値を電圧値に変換するサンプル&ホールド回路を搭載しています。
D/Aコンバーター回路の出力には、約11μsec(44.1kHz時)の間隔で新しい値が表れます、この値を十分に安定したタイミングを考慮した上で約5.5μsecサンプリングし、残りの約5.5μsecの間ホールドしています。
このサンプリング開始ポイントが、変換されたアナログ値の時間的基準となるため、クロックジェネレーターのアパーチャ用PLLで発生させた時間軸精度の高いクロックを用いています。

サンプル&ホールド回路の出力信号に含まれているオーディオ帯域外の高周波成分を取り除くため、ローパルフィルターを搭載しています。
回路的にはGIC型の7次バターワース・アクティブフィルターを採用しており、オーディオ信号成分がほぼ抵抗を通り抜けるだけのため音質劣化が少なく抑える事に成功しています。

出力アンプにはオーディオ用オペアンプを採用しています。
特にfT(電流増幅率hfeが1となる周波数)が約700MHzまで伸びており、通常1~2MHz程度のPNP側もNPNとほぼ同等性能に達する優れたプロセス。また熱的バランスの良いエレメント構造や熱容量の大きいICパッケージなど、ソニーの伝統が生かさたものとなっています。
また、バスバー採用のL/Rch分離のツインモノ回路構成によるシンプル&ストレート伝送、LC-OFC線材、金属被膜抵抗など、十分に吟味した素材を多用してます。

電源部はアナログ回路用とデジタル回路用の2系統巻線にした大容量(190VA)電源トランスをはじめ、超高速整流ダイオード、総容量約33,000μFをもつセラミックパウダー採用の大型電解コンデンサーなど、電源部には十分な余裕を持たせています。配線材には、純度99.995%以上の第一種無酸素銅の結晶境界の数を大幅に少なくしたLC-OFCを使用しています。

シャーシは徹底して高剛性化を図っており、振動対策として、メインのプリント基板(アナログ部/電源部)、デジタル回路のシールドケースを4mm厚のアルミ製底板と10mmx15mm角のアルミ材で固定した強固な構造を採用しています。
また、天板も3mm厚のアルミ板で、かつ制振材を併用するなど、シャーシ全体にわたり磁気歪を防ぐ非磁性体を多用した防振構造となっています。

デジタルオーディオ・インターフェースでは1本でL/Rチャンネルの2つのデータを伝送しています。このため、LチャンネルデータとRチャンネルデータを交互に送受信する時間分割多重伝送方式を用いています。
サンプリング周波数が44.1kHzの場合、1秒間に44,100個ずつ、両チャンネルで88,200個伝送されており、一つのチャンネルデータ区間の長さは11.34μsecで、ひとつのワードを32ビットで構成しており、最初の4ビットは同期をとるためのSYNC部分で、次にオーディオデータの入る24ビットのフィールド、最後の4ビットはエンファシスON/OFFやサブコードなどデータに付随する情報をのせる部分となります。
このように組み立てたデータに、データ0に1回反転、データ1に2回反転を対応させたバイフェーズマークと呼ばれる変調をかけています。ただし、SYNC部分はプリアンブルと呼ばれる特殊なパターンがはめ込まれており、データによる反転対応が無視されて、ハイレベルが続く時間が他の部分より長くなっています。
D/Aコンバーターではこのプリアンブル部を使って同期をとっています。

サンプリング周波数の32kHz/44.1kHz/48kHzに自動切替え対応のインジケーターを搭載してます。

2系統のデジタル入出力端子を搭載しています。
また、ラインアウト端子はFIX(固定)とVARIABLE(可変)の2系統を搭載しており、金メッキ処理がされています。

音質を吟味した可変ボリュームを採用しており、ライン出力とヘッドホン出力のレベル調整が可能です。

機種の定格
型式 D/Aコンバーター
デジタル入力 0.5Vp-p±20%/75Ω
デジタル出力 0.5Vp-p±20%/75Ω
チャンネル数 2チャンネル
複号化 16ビット直線
周波数特性 5Hz~20kHz ±0.5dB(44.1kHz以上)
高調波歪率 0.004%以下(1kHz、44.1kHz、16ビット時)
ダイナミックレンジ 95dB以上(44.1kHz、16ビット時)
出力レベル/インピーダンス Line Out(固定):2V(デジタル信号、MAX)/10kΩ以上
Line Out(可変):0V~5V(デジタル信号、MAX)/10kΩ以上
Headphones:0mW~140mW(負荷32Ω、デジタル信号、MAX)/Low
電源 AC100V
消費電力 23W
外形寸法 幅430x高さ105x奥行410mm
重量 11.5kg