オーディオの足跡

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TA-FA70ESの画像
 解説 

ソニーESアンプのリファレンスとして開発されたプリメインアンプ。

回路全段をMOS-FETで構成しています。
MOS-FETは増幅素子として高周波特性が良好で、スイッチング速度も優れているという特長を持っています。また、入力インピーダンスが高いため前後段が相互干渉を起こしにくいというメリットも持っています。さらに歪特性でも耳につきやすい3次や5次といった奇数次の校長はひずみが少なく、プッシュプル回路のつなぎめで発生するクロスオーバー歪も通常のバイポーラ型とrなジスタに比べて大幅に小さくできます。

ファイナル段にのパワーMOS-FETには非磁性タイプを採用しており、金メッキを施して使用しています。

全段MOS-FET構成の良さを生かすため、バイアス回路ではMOS-FETと同じ温度特性を持つオプティカル素子を挿入することでアイドリング電流の変動を抑えて動作をより安定させ、さらにバイアス回路内のカップリングコンデンサーも大容量化することでインピーダンスを低下させています。これにより不要な高調波の発生を徹底的に抑え、歪の少ない音を実現しています。

フィックスド・オプティカル・バイアス回路を採用しています。
MOS-FETには、素子の温度が変動しても安定した動作が行えるという特長があります。TA-FA70ESではこの特長を生かし、トランジスタの温度検出とその補償を廃止し、熱センサーはシャーシ内の緩やかな温度変化を検知するだけの、事実上の固定バイアス回路としています。これによりバイアス電流が安定させ、音楽信号のピークが過ぎた直後などの不安定感を排除し、バイポーラ型トランジスタでは困難なのびのびとした音質を実現しています。

電源部には改良型トーラス・トロイダルトランスを搭載しています。
トーラス・トロイダルトランスは鉄芯(コア)の断面を楕円形にすることでコアとコイルの密着性を高めて振動を低減しています。これにより巻線の全長も短くできることでインピーダンスが下がり、結果的に同サイズでの電力容量アップを実現しています。
TA-FA70ESに搭載された改良型トーラス・トロイダルトランスではまず容量を大幅に増やしており、600VAにまで増加を図っています。さらに、従来外側に巻かれていた1次巻線(AC100V側)を内側に変更し、2次巻線を外側にすることでAC100Vラインに含まれるノイズを封入してシャーシ内に放射しない構成としています。また、+側と−側の巻線の長さが等しくなるバイファイラワイヤリングを採用しており、聴感上のSN比を向上させています。

電源回路にはアドバンストS.T.D.電源を採用しています。
S.T.D.電源は電源部の整流回路以降を電圧増幅段(Aクラス段)と電力増幅段(パワー段)それぞれ専用に設けることで、電流変化の大きい電力増幅弾が電圧増幅段に与える影響を排除しています。
アドバンストS.T.D.電源ではさらなる改善を図っており、トランスのサイズアップと大容量電解コンデンサーの仕様変更と相まってより安定した電源供給能力を獲得しています。

内部レイアウトはツインモノラルコンストラクションを採用しており、シャーシの中心に電源部を据え、電源部を挟むように左右のパワーアンプ部とヒートシンクがほぼ対称に配置されています。また、ヒートシンクもフィンを内側にし、ファイナル段のパワーMOS-FETが互いに遠く、またトランスからも離れるように配置しています。
こうすることでクロストークの少ない良好なチャンネルセパレーションを獲得しています。

シャーシ内は5ブロック構成となっており、大電流を扱うパワーアンプ部や電源部が小信号のプリアンプ部などへ与える影響を低減するため、シャーシ内を1プリアンプ部、2電源部、3Lch用パワー部、4Rch用パワー部、5コントロール部に分離しています。これにより電磁気的にも振動面でも相互干渉を低減しています。

FBシャーシとヒートシンクを銅メッキ処理することで渦電流を低減しています。

脚部には偏心インシュレーターを採用しています。

MM/MCカートリッジに対応したフォノ入力回路にはFETを採用しています。

不活性ガス封入リレーやカーボン抵抗、OFC内部配線材、高音質電解コンデンサーなどの厳選したパーツを採用しています。

伝送路でのノイズの影響を受けにくいXLRタイプ端子によるバランス入力を搭載しています。
入力回路には耐熱絶縁処理を施した金属基板にパーツを表面実装したメタルコアモジュールを採用しています。

ピュアインプットサーキットを採用しており、入力端子からマスターボリュームに至るまでの接点数を大幅に削減することで微弱なオーディオ信号を保護しています。

トーンコントロール部にはターンオーバー切替機能を搭載しています。

ソースダイレクトスイッチを搭載しており、トーンコントロール回路やバランスコントロール回路が不要な時はこれらの回路をバイパスできます。

プリアウト端子を搭載しています。

・製品版の内部レイアウトと試作版?の内部レイアウト

1997年2月のカタログでは完成品ではなく試作モデルの内部レイアウトとリアパネルが掲載されていました。発売直前になって変更があったようです。よく見ると細かい部分に変更があり、確認した範囲だと
 ・トランス上部の形状変更。
 ・金メッキされたスピーカー端子の形状変更。
 ・ファイナル段パワーMOS-FETをアルミ板で挟み込んで固定していたのを省略。
 ・フロントパネル固定部分の形状が台形から四角形に変更。
 ・リアパネルの黒色の塗装部分が縮小。
 ・サイドのフレームに振動低減用のクッション材?が追加。
 ・フレームの四隅に黒い補強板の追加。
などの変更がされているようです。

パワートランジスタ固定部

・パワーMOS-FETの固定部

1997年2月のカタログでは説明文でもパワーMOS FETの固定方法を紹介してました。

説明文によると、ヒートシンクに板厚のあるアルミ板で挟みこむように固定することで、振動の影響と非線形なヒステリシス応答を排除していたようです。

機種の定格
型式 プリメインアンプ
実効出力(20Hz~20kHz) 120W+120W(4Ω)
100W+100W(6Ω)
80W+80W(8Ω)
入力感度/インピーダンス Phono MM:2.5mV/50kΩ
Phono MC:170μV/100Ω
Line:150mV/50kΩ
出力レベル/インピーダンス Rec out:150mV/1kΩ
Headphone:25mW(8Ω)
全高調波歪率 0.008%(10W出力時、8Ω)
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) 0.008%(定格出力時、8Ω)
周波数特性 Phono MM:20Hz~20kHz ±0.2dB
Line:2Hz~100kHz +0 -3dB
SN比 Phono MM:87dB
Phono MC:76dB
Line:105dB
トーンコントロール
Bass:

Treble:
±8dB(100Hz、ターンオーバー400Hz)
±6dB(100Hz、ターンオーバー200Hz)
±7dB(10kHz、ターンオーバー3kHz)
±5dB(10kHz、ターンオーバー6kHz)
付属機能 ソースダイレクトスイッチ
Rec out off
Rec outセレクター
ターンオーバー切替機能
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 230W
外形寸法 幅430x高さ175x奥行450mm
重量 約23kg