SME SPA-1HL
¥650,000(1986年発売)
解説
トーンアームで有名なSMEが、トーンアーム以後の最大のパートであるフォノイコライザーに着目して開発したフォノイコライザーアンプ。
増幅素子には音質的・特性的な長所を重視し双3極管ECC83、ECC88を採用しています。
真空管は純粋に電子の移動によって電流が流れるため、ホールの移動によって電子の受け渡しがされるトランジスタに比べて高い信号通過スピードを保持しており、信号の処理能力が高くなっています。また、真空管は直線性にも優れ、大きなダイナミック・レベルが確保でき、抵抗や線材の影響を受けにくいなど、フォノイコライザーアンプに適した特性を持っています。
ECC83、ECC88はマランツ#7などの歴代の銘機で使用されたもので、優れた音質を持っています。
MCカートリッジのステップアップ用に新開発の昇圧トランスを搭載しています。
SPA-1HLではバランスタイプの昇圧トランスを採用しており、1次側巻線にセンタータップを設けてバランス受けとすることで、ハムレベルを小さく抑えるとともにプレイヤーのリード線から入るノイズやリード線の引き回しによる影響を排除しています。
シャーシはトランス部、アンプ部、電源部を3つのブロックに分割した独立3ブロック構造を採用しています。
これら3ブロックはスペース的にも電気的にも独立した構造となっており、相互干渉による歪を排除しています。
一般的なプリント基板は使用せずにワイヤー配線による基板を採用しており、回路自体での音質劣化を防いでいます。
この方式では基板を単なるリグ板とみなし、ハンドワイヤーで配線しており、プリント基板で配線間の容量が大きくなることで発生する発振やパターンの銅箔自体の薄さによる音質劣化を回避しています。
さらに、プリント基板で起こりがちなアースラインの複雑化も防止しています。
非磁性シャーシを採用することでマグネティックディストーションを排除しています。
機種の定格
型式 | フォノイコライザーアンプ |
ゲイン(1kHz) | Through:40.8dB Mid:64.0dB Low:75.8dB |
歪(1kHz、1V) | 0.0067%以下 |
最大出力電圧 | 30V(1kHz、47kΩ負荷) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 50W |
外形寸法 | 幅410x高さ110x奥行285mm |
重量 | 7.0kg |