オーディオの足跡

PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

ST-2000の画像
 解説 

PLL MPX回路を採用したFM/AMチューナー。

FMフロントエンド部にはデュアルゲートMOS FETを2個使用しています。
これによりAGC(Automatic Gain Control)特性は大幅に改善されており、どのような強さの電波(100μV~1,000,000μV)でも、AGCによってほぼ一定の強さのIF信号に変換してIF増幅段に入力できるようになり、歪率、セパレーション、選択度等の諸特性が電波の強さによる悪影響を受けにくくなっています。

バリコンにはFM4連とAM3連の7連バリコンを採用しています。

FMステレオ復調回路にはPLL(Phase Locked Loop)回路を採用しています。
 ステレオコンポジット信号の復調を行うには、その信号に含まれている19kHzパイロット信号を取り出して38kHzの信号を作り出す必要があります。この際に従来のチューナーでは素子の非直線性を利用した周波数逓倍方式を使用していました。この方式では2~3個のコイルを必要としており、IC化された復調器によって十分なセパレーションを得ています。しかしコイルを複数個用いることで経年変化による調整ズレが起き、初期のセパレーションが保証できなくなります。しかも外来雑音に十分耐えるようコイルのQを大きくするとますます経時変化に弱くなってしまいます。
 PLL回路では自動的にパイロット信号と38kHz信号との位相関係を一致させる機能があるため、位相ずれによるセパレーションの悪化が極めて小さくなっています。また、コイル2~3個に相当する調整個所が半固定ボリューム1個になるため経時変化に強く、しかも位相ずれが発生しても自動調整されます。さらに、周波数の選択制と発振周波数の持続性(短時間のメモリー)を備えているため、コイルによる同調回路に比べて雑音に強く、安定したステレオ復調が期待できます。

FM IF段にはICを2個使用しており、このICによって4段の差動増幅回路を構成することで十分なリミッターをきかせています。
また、セラミックフィルタ3個とIFT1個を組み合わせることで選択度を上げています。

RFB(Radio Frequency Bypass)・AGCを採用しています。
電波の入り口に設けられたRFB・AGCは、放送局が混信妨害排除のために出力を増強した際、チューナーが過大入力を受信しても歪が急増するのを抑える役割を持っています。
これにより安定したAM放送の受信を可能んしいています。

出力調整用ボリュームを搭載しています。

ハイブレンドスイッチを搭載しており、入力信号の弱い局を受信した時にステレオの効果を失わずにノイズを消すことができます。

FMミューティングスイッチを搭載しており、局間ノイズや離調時のノイズをシャットアウトしています。

大型メーターを2個搭載しています。

機種の定格
型式 FM/AMチューナー
<FMチューナー部>
受信周波数 76~90MHz
アンテナインピーダンス 300Ω(平衡)、75Ω(不平衡)
感度 1.7μV(IHF)
クワイティングスロープ 3μV:48dB
10μV:57dB
50μV:70dB
歪率 mono:0.3%
stereo:0.5%
SN比 72dB(100%変調、100μV入力)
キャプチャーレシオ 1.3dB
選択度 65dB(IHF)
イメージ比 100dB
IF妨害比 85dB
AM抑圧比 55dB
ハーモニックスプリアスレスポンス 100dB
<FM-MPX部>
セパレーション 45dB(400Hz)
37dB(100Hz~8kHz)
30dB(50Hz~13kHz)
キャリアリーケージ 60dB
歪率 0.5%
SN比 60dB
周波数特性 50Hz~15kHz +0.3 -1.0dB
100Hz~10kHz +0.3 -0.5dB
<AMチューナー部>
受信周波数 535~1605kHz
感度 400μV/m以下(輻射、バーアンテナ)
イメージ比 55dB以上(1400kHz)
IF妨害比 60dB以上(600kHz)
SN比 45dB
選択度 26dB
歪率 2%以下
<総合>
定格出力 FM(400Hz、100%変調):1V
AM(400Hz、30%変調):300mV
出力インピーダンス 10kΩ
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 18W(電気用品取締法)
外形寸法 幅417x高さ157x奥行297mm
重量 6.4kg