OPTONICA CP-3900
価格不明(1台、1974年頃)
解説
リボン型ツィーターとB&Bウーファーを搭載したブックシェルフ型スピーカーシステム。
低域には25cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットの振動板にはB&B(Beating Pulp and excellent Bast Fiber)コーンを採用しています。これは従来の北米産パルプに強靭性で知られる日本特有の和紙を特殊処理して配合したもので、低域において歪を抑え、ピストン領域の広いコーンを実現しています。
また、磁気回路のポールピース底部に低電気抵抗のAlショートリング(58φx42φx1mm)を設けており、ウーファーに大きな入力が入った時にボイスコイルから発生する交流磁束のうち磁気回路を一巡する磁束を打ち消し、第2高調波歪の発生を抑えています。
中域には8cmコーン型スコーカーを搭載しています。
あえて8cmの小口径としたことで、有効振動半径28mmのこのユニットは6kHzまで完全ピストン領域を実現し、分割振動を抑えて低歪化を実現しています。また、バックキャビティにも吸音材を充填し、内部共振による歪の発生を防いでいます。
高域にはリボン型ツィーターであるRT-018を搭載しています。
このユニットでは振動板素材に厚さ7ミクロンで高純度の硬質アルミ箔を使用しており、振動板質量は7.5mgという軽さを実現しており、優れた過渡特性を得ています。また、有効振動箔は幅7mm、長さ60mmの線状音源であり、優れた左右方向の指向特性を実現しています。
リボン型ツィーターはアルミ箔振動板自体が負荷インピーダンスとなり、その値は0.04Ωと極端に低い値となるため、ネットワーク回路の後に直接接続してもミスマッチング状態になり駆動できません。また、このアルミ箔振動板には瞬間的に10A程度の大電流が流れるため、低損失、低歪、広帯域のマッチングトランスが必要となります。RT-018ではツィーター内部に特別仕様のマッチングトランスを組み込んで対応しています。
ネットワーク部はヒアリングテストを重視してクロスオーバー周波数を決定しており、ウーファーとスコーカーは12dB/oct、ツィーターのみ18dB/octに設定しています。また、スコーカー及びツィーター部回路には内部損失の少ないメタライズドポリエステルフィルムコンデンサを4ヶ所に採用しています。
ネットワークのウーファー部にはリアクタンス補償回路を搭載しています。
この回路はウーファーと並列にコンデンサと抵抗を挿入したもので、周波数が高くなると共にウーfーアのインピーダンスが上昇するのを補償しています。これにより伝達特性と過渡特性を改善しています。
中域と高域用にレベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーのバッフル板には21mmラワン合板と1mmメラミン板の二重構造を採用しており、音響特性の向上を図っています。
外観はローズウッドの突板仕上げが施されています。
また、従来のエンクロージャーであったバッフル板エッジ部の突起を削除することで回折効果の改善を図っています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット等 | 低域用:25cmコーン型 中域用:8cmコーン型 高域用:リボン型(RT-018) |
再生周波数帯域 | 40Hz~40kHz |
音圧レベル | 90dB/W/m |
最大許容入力 | 40W(MPO) |
インピーダンス | 8Ω |
クロスオーバー周波数 | 1.5kHz、6kHz (LC形12dB/oct、ツィーターローカットのみ18dB/oct) |
レベルコントロール | 中域、高域独立式 +2dB~-∞連続可変 |
内容積 | 40リットル |
外形寸法 | 幅320x高さ580x奥行324mm |
重量 | 15kg |