OTTO/SANYO SX-661
¥60,000(1台、1976年頃)
解説
ノンカラーレーションを追求したスピーカーシステム。
低域には30cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットにはドイツのクルトミューラー社にオーダーした内部損失の大きな厚手抄造コーン紙を採用するとともに、115゜開口角で83.00mmφの無垢アルミ削り出しRS(レゾナンス・サプレス)サブコーンをエポキシ系接着剤で、コーン紙のネックとボイスコイルボビンに一体化しています。
これにより剛性の向上を実現しており、2kHz以下の共振を殆ど抑えるとともに有害なピークを抑え、さらに2kHz(6dB/oct)のスムーズな高域減衰特性を得ています。
中域には3.9cmソフトドーム型スコーカーを搭載しています。
このユニットのダイアフラムはドイツのミクロフォンバウ社へのオーダー品で、曲率半径21mmとなっています。また、表面塗布材はアクリルブチル系を主体に4層に塗り分けることで低歪率を得ています。
高域には2.7cmソフトドーム型ツィーターを搭載しています。
曲率半径14.95mmのダイアフラムはウーファーと同様にクルトミューラー社製で、トランジェントと能率を考慮して軽量(420mg)であることを第一条件として設計されています。この振動板はダイアフラム素材をエッジごと一体成型しており、4種類の塗布剤を塗り分けています。さらに磁気回路のポールピースに応答速度の早い純鉄を採用しており、その先端部をダイアフラムと同じ曲率半径で仕上げることでダイアフラム全面の空気負荷の均一化を図っています。
ネットワーク部では、最大の歪発生源といわれるL(チョークコイル)に歪率0.05%と空芯に匹敵するE型オリエントコアを採用しています。またコンデンサーにはtanδが小さくて対周波数的にリニアな特性の無極性電解コンデンサーを選別して使用しています。
各素子は取付配置にも配慮がはらわれており、その上で数えきれない実測と試聴との裏付けから決定されています。
エンクロージャーはバッフル板に24mmの合板、側板に21mm厚の高密度パーティクルボードを使用しており、音響抵抗デバイスで内部を2分することでキャビネットを補強するとともに、等価容量拡大とウーファー制動能力改善を図っています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・密閉方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:30cmコーン型 中域用:3.9cmドーム型 高域用:2.7cmドーム型 |
インピーダンス | 8Ω |
最大許容入力 | 60W |
出力音圧レベル | 88dB/W/m |
最低共振周波数 | 40Hz~45Hz |
周波数特性 | fo~20kHz |
クロスオーバー周波数 | 700Hz、5.5kHz |
ネットワーク | 3ウェイ、12dB/oct |
レベルコントロール | 中域:連続可変式 高域:連続可変式 |
エンクロージャー材質 | 高密度パーチクルボード |
エンクロージャー仕上げ | ブビンガ材突き板オープンポーラス仕上げ |
外形寸法 | 幅380x高さ680x奥行330mm |
重量 | 23kg |