OTTO/SANYO DCA-V3
¥67,000(1978年頃)
解説
H-R ICパルス電源を採用したプリメインアンプ。
電源部にH-R ICパルス電源を採用しています。
この電源ではAC電源をダイレクトに整流して直流にしたあと35kHzという超高周波のパルスに変換し、高周波フェライトコアトランスで降圧-整流し、希望の直流電圧を得ています。
さらに電源の直流出力端子からフィードバックをかけており、誤差増幅回路で出力端子の電圧変動をキャッチしてその信号をフォトカプラーでパルス幅変調器へ伝達しています。パルス幅変調器ではスイッチングトランジスタの通算時間をコントロールするPWM(Pulse Width Modulation)制御方式によって定電圧化しています。PWM制御はDC出力電圧が40Vより上昇した時パルス幅を狭く、下降した時は広くして定電圧化しています。
パルス電源では電圧変動の検出部が直流(DC)整流されて平滑回路が通ったあと、電源狩尾の出力端にあり、電源回路の全てが安定化のためにフィードバックループに含まれることになり、電圧変動が非常に少なくなっています。例えば、入力電圧(動作電圧)が85V~135Vと許容範囲が非常に広いことと同時に、負荷電圧変動率が0~2.3Aで2%以内に抑えられています。
従来のパルス電源はスイッチング周波数が20kHzぐらいなのに比べ、DCA-V3では35kHzと非常に高くなっています。これは高耐圧で高速スイッチングが可能なハイブリッドICを開発することで実現したもので、部品点数を著しく減少し、信頼性が向上しています。
パルス電源は高周波を扱うため、外に漏れるとアンプに大きな影響を与えてしまいます。これを防ぐため、全体をCANシールドすることで不要輻射を低減しています。
パワーアンプ部の回路構成は、FETソースフォロア差動入力、2段目エミッタフォロアー差動増幅、ローディストーションパワーICで構成されています。
パワーICはダーリントン接続2段ピュアコンプリメンタリーでDCアンプ構成となっています。また、各ステージで使用されているトランジスタはとりわけローノイズなHigh-ftトランジスタを厳選して使用しています。
トーンコントロール回路にはBAX型を採用しています。
回路構成はエミッタフォロアー入力-トーンコントロールICで構成されています。また、トーンコントロールを使用しない時はTone SW offでトーン素子がトーン回路から外れて純粋なフラットアンプとなります。
イコライザ回路は3段構成となっており、スーパーローノイズFETによる差動入力カレントミラー回路、2段目エミッタ接地増幅、終段ピュアコンプリメンタリーSEPP-OCLで構成されています。
初段にに使用されているFETは極めてローノイズ仕様のもので、2つのFETの特性を電気的にも熱的にも揃えてあり、初段の素子にトランジスタを用いたものに比べてカートリッジ実装時のSN比は優れたものとなっています。
MCヘッドアンプを搭載しています。
回路構成はローノイズデュアルトランジスタによるパラレルコンプリメンタリー回路を採用しており、片チャンネル当りトランジスタを4個使用しています。
高速応答の保護回路を搭載しています。
パワーICの温度が85℃以上になったり、スピーカーに有害なDC成分が発生した時にすばやく動作する高速応答設計となっています。
ローフィルターとサブソニックフィルターを搭載しています。
テープモニタースイッチやデュプリケートスイッチを搭載しています。
Phono端子には金メッキ端子を採用しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
<アンプ部> | |
実効出力 | 60W+60W(8Ω、両ch動作、20Hz~20kHz、0.02%歪) |
全高調波歪率(Aux-SP端子) | 0.02%(定格出力時、20Hz~20kHz) 0.005%(-3dB出力時、1kHz) |
混変調歪率 | 0.02%(定格出力時) |
ダンピングファクター | 50(8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Phono1:2.5mV/47kΩ Phono2:0.06mV/22kΩ Aux、Tuner、Tape1/2:150mV/47kΩ Main input:1000mV/47kΩ |
出力電圧/インピーダンス | Rec out1/2:150mV Pre output:1000mV/2.2kΩ Phones:25mW/8Ω |
周波数特性 | 10Hz~30kHz +0 -3dB(Tuner、Aux、Tape - SP out) DC~50kHz +0 -3dB(Main input - SP out) |
RIAA偏差 | 20Hz~20kHz ±0.3dB |
トーンコントロール | Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10db(10kHz) |
フィルター特性 | 20Hz/5Hz、6dB/oct |
ラウドネス特性 | +8dB(100Hz) +3dB(10kHz) |
S/N比 | Phono1(MM):90dB Phono2(MC):80dB Aux、Tuner、Tape:95dB Main input:100dB |
クロストーク(1kHz) | Phono1/2:50dB以上 Aux、Tuner、Tape:60dB以上 Main input:70dB以上 |
最大許容入力 | Phono1(MM):200mV Phono2(MC):5mV Aux/Tape:10V |
<パルス電源> | |
電圧変換方式 | パルス幅変調整流方式(定電圧) |
入力電圧(動作電圧) | 85V~135V |
出力電圧 | 40V |
入力電圧変動率 | 1%以内(85V~135V) |
負荷電圧変動率 | 2%以内(0~2.3A) |
外形寸法 | 幅148.4x高さ52.0x奥行123.4mm |
重量 | 650g |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
定格消費電力 | 100W |
外形寸法 | 幅440x高さ89.5x奥行304mm |
重量 | 6.2kg |