SANSUI SP-G88
¥59,800(1台、1987年頃)
解説
デジタルソースを高品質で再生するため、徹底した高剛性化を図ったスピーカーシステム。
低域にはマルチレイヤー・カーボン振動板を用いた32cmコーン型ウーファーを搭載しています。
この振動板は、ウーファー用の特殊高分子発泡体のコア材を開発し、裏スキン材として強度の高いグラスファイバー、表スキン材としてクロスカーボンを採用しています。
さらに、クロスカーボンは7分割貼りにして織目を揃え、さらにダイアフラムを高剛性化しており、カーブドコーン形状により実効エネルギーも向上しています。
中域にはカーボン振動板を使用した10cmコーン型スコーカーを採用しています。
このカーボン振動板は、中音域の輪郭をシャープにするために新たに開発した特殊ポリエステルのコア材に、表裏ともクロスカーボンを7分割貼りしたスコーカー専用のマルチレイヤー・カーボン・ダイアフラムとなっており、高域までスムーズなリニアリティを獲得しています。
高域には窒化チタンドームによる2.5cmドーム型トゥイーターを採用しています。
振動板のベース素材にチタンを採用し、さらに剛性を高め適度な内部損失を持たせるため、表面を特殊加工しており、これによって高音域再生能力を向上しています。
各ユニットのマグネットには、ツインマグネットシステムを採用しています。
これは、メインマグネットとは逆方向に着磁されたサブマグネットを取付けた構造となっており、これにより大型マグネットに匹敵する高磁束密度を確保しつつ、漏洩磁束を防ぐ事でネットワークへの悪影響を排除しています。
ウーファーとスコーカーユニットには、振動モード解析をもとに設計されたアルミダイキャストフレームが採用されています。
フレーム自体の共振を押さえ込むため太さの異なる2種類のブリッジ構造を採用しており、さらにユニットのエネルギーレベルに合わせて、ウーファーで8本、スコーカーで6本のブリッジでフレーム全体をより高剛性化しています。
ユニットの固定には鬼目ナットを採用しており、ウーファーには直径8mmのボルト8本、スコーカーには6mmのボルト8本、トゥイーターには5mmのボルトを4本使用し、エンクロージャーにしっかりと固定しています。
ネットワーク部は、ウーファーのは威圧による振動の悪影響をなくすためフローティング方式を採用しており、さらに吸音材の上に防振材を貼ったハードボードを置き各ネットワーク素子をバンド固定しており、またコイルからの磁束干渉を受けないよう、各ユニットごとに独立の3分割ネットワークとしています。
コイルと0.18φ50芯の極太配線材は全てOFC材を使用し、結線部は接触抵抗の少ないカシメ方式としています。
エンクロージャーには、ダイナミック・アイソレーション構造が採用されています。
この構造はウーファーからの振動による他ユニットへの悪影響を抑えるため、トゥイーターとスコーカーをサブバッフルに固定してフロントバッフルから分離し、さらに独立したエンクロージャーをもたせ、背圧による悪影響も抑えてます。
さらに、ユニットを固定したフロントバッフルに重心が偏りバランスが悪くなることで、エンクロージャーが前後に振動したりリアバッフルが共振するのを防ぐため、リアバッフルに厚さ25mmの音響用高密度ボードを2枚採用して前後のバランスをとっています。
また、回折現象による悪影響を防ぐため、4面ラウンドバッフルを採用しています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:32cmコーン型 中域用:10cmコーン型 高域用:2.5cmドーム型 |
周波数特性 | 36Hz~40kHz |
出力音圧レベル | 91dB/W/m |
最大入力 | 200W |
インピーダンス | 6Ω |
クロスオーバー周波数 | 700Hz、3.5kHz |
外形寸法 | 幅380x高さ690x奥行350mm |
重量 | 31.8kg |