SANSUI LM011
¥22,000(1台、1975年頃)
解説
LMシリーズのスピーカーシステム。
LM(Linear-Motion)シリーズでは、コーントゥイーター背面の空気を音道を設けることで外部に導いており、空気の粘性によるコーン紙への制動を減らすことでコーン紙前後の圧力を等しくし、前後対称のリニアな振動を実現しています。
また、背面の音圧を積極的に利用することで音質改善を図っており、無響室での周波数特性と実際のリスニングルームでのエネルギー特性とをほぼ一致させています。特に5kHz以上のエネルギー特性はフラットになっています。
低域には16.5cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このユニットにはマルチコルゲーション付きのノンプレス型コーン紙を採用しており、コーン紙に必要かつ十分な剛性と適度な内部損失をもたせ、分割振動を抑えています。また、軽量コーン紙によって振動系の軽量化を計っており、過渡応答の向上と明るい音質を目指しています。
ダンパーとエッジのサスペンションレシオを変えるため、エッジを波形とし、コーン紙円周原型保持特性を向上しています。これにより応答性の向上だけでなく、少入力時から大入力時までのリニアリティを改善しています。
振動板の中央には凹型ラジエーターを採用しており、ウーファー高域の位相特性を改善し、トゥイーターとのつながり付近での音質を向上しています。さらに高域の不必要帯域を急峻にカットすることでクロスオーバー周波数以上での音質を改善しています。
高域には6.5cmコーン型トゥイーターを搭載しています。
このユニットでは張り出し率の大きい凸型ラジエーターを採用することでコーン紙内周部での位相干渉を防いでいます。また、ボイスコイルには0.12mmC.C.A.W.(銅被膜アルミ線)を採用しており、振動系の軽量化と導電性の向上を図っています。
ネットワークのウーファー部にはダンピングファクターを劣化させる直流抵抗をできるだけ抑え、かつ大入力時の歪率を増加させない特殊コアを採用しています。
また、高域での損失が非常に少ない低損失・無極性電解コンデンサーを採用しており、10kHz以上での損失をカバーしています。
ハイレンジの調整が可能な連続可変式レベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーはバッフル面での200Hz~300Hzのかぶりを排除するため、バッフル幅をウーファーの横幅に合わせ、縦長の形状としています。また、ウーファー専用のバッフル板を追加した2重バッフル構造を採用することで、ウーファーのバッフル板を厚くし、バッフルの鳴りに起因する低域の無駄な響きをシャットアウトしています。バッフルの厚さはLM011で32mmとなっています。
機種の定格
型式 | 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ/LM方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:16.5cmコーン型 高域用:6.5cmコーン型 |
周波数特性 | 41Hz~20kHz |
最大許容入力 | 35W |
出力音圧レベル | 90dB(新JIS) |
インピーダンス | 8Ω |
クロスオーバー周波数 | 2kHz(12dB/oct) |
レベル調整 | 連続可変方式 |
外形寸法 | 幅248x高さ534x奥行194mm |
重量 | 8.1kg |