SANSUI SD-5000
¥119,000(1973年頃)
解説
音質や操作性、テープ保護などの基本性能を徹底的に検討したテープデッキ。
2チャンネル録音と再生に加え、リバース再生が可能です。
ヘッド部には新開発の硬質パーマロイヘッドを採用しています。
コア材に磁気飽和点が高く電磁変換特性が最も優れた硬質パーマロイを採用しており、従来のパーマロイの5倍以上の耐摩耗性を獲得しています。
また、4トラック用としては特に大型のコアを採用し耐入力を十分に持たせるとともに低域のレンジを20Hzまでカバーし、精密加工による正確なギャップと均一な鏡面ラップ仕上げによって高域特性も改善しています。さらにヘッド形状にはハイパボリック型を採用しヘッドタッチを改善して低域でのうねりを抑えています。
メカニズム部には3モーターメカニズムを採用しています。
キャプスタンモーターには4極/8極ヒステリシス・シンクロナス型モーターを使用しており、ローターのダイナミックバランスに完璧な調整を施すと共に回転慣性効率の良い大型フライホイールを使用することでワウ・フラッターや速度偏差を低減しています。
また、2個のリールモーターには6極インダクション型を使用しています。
キャプスタン軸の駆動はベルトドライブ方式となっており、19cm/sと9.5cm/sの速度切替はモーターの極数の切替で電気的に行っています。
キャプスタン軸には特殊ステンレス鋼を特殊焼入れしたものを使用しており、精密なセンターレス研磨の後、スーパーフィニッシュ仕上げが施されています。
さらにキャプスタンの良否を決定する真円度については、世界的に使用されている英国製タリーロンド真円度測定機によって一本一本念入りに検査されており、0.5μ以下という精密な値に抑えられています。
ワウ・フラッター特性をさらに改善するため大型フライホイールによるインピーダンスローラーを採用すると同時にヘッド直前での有害な振動による変調ノイズを除去しています。また、テープの張力は左右2本のテンションアームによって一定に保たれており、無理な力がテープに加わるのを防いでいます。
これらの機構はダイキャスト製トランスポートベースにしっかりと固定されており、振動やショックによる影響を防いでいます。
メカのコントロールは電磁プランジャーとリレーによるフェザータッチのオールプッシュボタン方式となっています。
操作ボタンはそれぞれが完全に独立しており、いちいちストップボタンを経由しなくても自由に操作ボタンが押せるため、希望する動作に素早く移れます。
また、各操作ボタンごとに遅延回路が組み込まれており、テープに無理な力が加わらず、張力が一定になるまでキャプスタンにピンチローラーが圧着しない方式になっています。
早送り中にプレイボタンを押してもテープがたるんだり切れたりすることがありません。
イコライザー回路にはリニアリティが高く低歪率な3段増幅のE-ENF型を採用しています。さらに、アンプ全体の飽和レベルを十分に高くとっているため、大入力による歪がありません。
バイアス発振回路にはプッシュプル方式を採用しており、バイアス波形が正確で歪が最小になるよう設計されています。
録音バイアスセレクターを搭載しており、ローノイズ・テープへの対応を図っています。
HIGHモードでは、STANDARDモード時よりも録音バイアスが深くなり、録音レベルも3dBアップします。
レコードセレクターを搭載しており、ステレオとモノラルの録音選択ができます。また、スタンバイの位置にしておけば誤って録音ボタンを押しても録音動作に入りません。
また、後追い録音も可能となっています。
エコー録音プラグが付属しており、これをDINソケットに差し込めばライン入力に自由にエコーを加えて録音することができます。
また、マイクとラインの入力レベル調整が別々についているため、ミキシング録音やサウンド・オン・サウンドなどが可能です。
センシング箔によるオートリバース方式を採用しています。
2個の大型VUメーターを搭載しています。
このメーターのスケールは直線に近いエキスパンデッド・タイプとなっており、低レベルと高レベルの間隔が広く、正確な監視が可能です。
キューボタンとポーズボタンを搭載しています。
サンスイ独自のリールクランパーを採用しています。
各チャンネルごとに独立したレベル調整を備えています。
別売のワイヤードリモコンに対応しており、4m離れた場所からの操作が可能です。
機種の定格
型式 | ステレオテープデッキ |
トラック方式 | 4トラック2チャンネル録音・再生 |
リール寸法 | 最大7号 |
テープスピード及び偏差 | 19cm/s、9.5cm/s、±0.5% |
ヘッド | 消去:4トラック・2チャンネル 録音:4トラック・2チャンネル 再生:4トラック・2チャンネル リバース再生:4トラック・2チャンネル |
モーター | キャプスタン用:4極/8極・2スピードヒステリシスシンクロナスモーター リール用:6極インダクションモーターx2 |
早巻時間 | 約90秒(1,200フィートテープ) |
ワウ・フラッター | 0.08%以下(19cm/s) 0.12%以下(9.5cm/s) |
周波数特性 | 19cm/s:15Hz~25kHz(20Hz~20kHz ±3dB) 9.5cm/s:15Hz~15kHz(30Hz~12kHz ±3dB) |
SN比(総合歪率に対して) | 60dB以上 |
クロストーク | 60dB以上(トラック間、1kHz) |
チャンネルセパレーション | 50dB以上(1kHz) |
再生プリアンプ歪率 | 0.15%以下(1kHz、出力1.2V) |
テープ録音再生歪率 | 1.2%以下(1kHz、0VU = 0.3V) 3%以下(1kHz、+6VU) |
消去効果 | 60dB以上 |
入力感度/インピーダンス | Mic:0.5mV/50kΩ Line:70mV/100kΩ DIN:14mV/100kΩ |
出力レベル | High:1.2V最大(0VU = 0.775V) Low、DIN:0.35V最大(0VU = 0.225V) |
バイアス周波数 | 100kHz |
ミキシング回路 | Line1とLine2、Line1とMIC |
録音モード | Stand-By、Stereo、Mono-L、R |
モニター | Playback、Source |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 95W |
外形寸法 | 幅420x高さ486x奥行253mm |
重量 | 20.2kg |
別売 | リモートコントローラー SRC-2(6,900) |