Pioneer S-77twinSD
¥60,000(1台、1989年発売)
解説
バーチカルツイン方式を採用した、トールボーイタイプのスピーカーシステム。
トゥイーターを中心に、上下に2つのウーファーを挟んだバーチカルツイン・システムは、2つのウーファーの音響エネルギーがトゥイーターの軸に一致するため、低域から高域までの音がトゥイーターを中心にでているように聴こえます。
これにより、広大な音場感、明確な音像定位を実現しています。
さらに、S-1000twinで開発された新技術、「波面コントロール技術」を採用しています。音のは面がどのように拡がっていくか、を科学的に解明し、「ウーファーとトゥイーターを時間軸でコントロールする。」「指向性をコントロールする。」「電気的な位相をコントロールする。」「バッフルの波面回折をコントロールする。」という4つのポイントにわたり配慮されており、トゥイーターの取付位置などを調整しています。
この結果、優れた音場再生と音像定位を実現しています。
低域にはTAD(Technical Audio Devices)ユニットでも使用されているパルプコーンに高分子フィルムをラミネートした18cmコーン型ウーファーを2個採用しています。
さらに、振動板の高剛性化、フレーム構造の改善など、大幅な見直しを行っており、また磁気回路の磁束密度を約5%向上させています。
これによりスケールのある低音を実現しています。
高域には波面コントロール技術を投入したW.F.(ウェイブフロント)ダイレクターを採用した、2.5cmセラミックカーボンドームトゥイーターを採用しています。
ウーファーとのエネルギーレスポンスを時間軸でコントロールし、加えてホーン形状による指向性のコントロールを行っています。
これにより、視聴者の聴取位置における波面が一致しています。
また、磁気回路にはネオジウムマグネットを採用し、小型・高密度化を実現しており、この結果、バッフル板のなかへのマウントが可能となり、エンクロージャー内部の音圧による影響を少なくしています。
さらに、W.F.ダイレクターとの接合もフローティング構造として、不要振動を遮断しています。
またダイレクターは、余分な振動を発生しない特殊弾性体で成形したもので、自身の振動も吸収しています。
ネットワークは、各ユニットの相互干渉を防止するため、ウーファー用、トゥイーター用とを独立分離させた分散配置を採用しています。
さらにウーファー用のネットワーク基板は、エンクロージャーからフローティングさせ、エンクロージャーからの振動の影響を低減しています。
またハンダを使わずにカシメ接続やOFCワイヤーを使用したチョークコイル、コードなどにより、伝送ロスを低減しています。
エンクロージャーは、バッフルにユニットの余分な振動を伝えないために、ミッドシップマウント方式を採用しています。
ウーファーは、エンクロージャー内部に設けたインナーバッフルに固定し、トゥイーターはスペーサーを介してバッフル裏面から固定しています。
これにより、ユニット間の相互干渉を防止し、さらにはバッフルの不要振動の発生が抑えられています。
また、バッフルには、50mmの極厚タイプを採用しており、ラウンド処理も大きくとることにより、回折現象の少ない、自然な音場感を得ています。
スピーカーターミナルはバイワイヤリング接続が可能となっています。
機種の定格
方式 | 2ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・トールボーイ型 |
使用ユニット | 低域用:18cmコーン型x2 高域用:2.5cmドーム型+W.F.ダイレクター |
インピーダンス | 6Ω |
再生周波数帯域 | 35Hz~40000Hz |
出力音圧レベル | 91dB/W/m |
最大入力 | 150W(EIAJ) |
クロスオーバー周波数 | 2500Hz |
外形寸法 | 幅268x高さ960x奥行376mm |
重量 | 29kg |