オーディオの足跡

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 解説 

クォーツPLL方式を採用したアームレスプレイヤー。

ユニバーサル式のアーム取付ボードを採用しており、16インチロングアームを除く国内外のトーンアームが使用できます。
取付ボードにはメタリック仕上げを施した積層合板を採用しており、穴あけ加工が容易に行えます。

ターンテーブル部にはダイレクトドライブ方式を採用しており、伝達機構を経由せずにモーター軸がターンテーブルをダイレクトに駆動しています。
駆動モーターにはハイトルクのブラシレスDCサーボホールモーターを採用しています。
DDモーター自身の性能を大きく左右する磁極切換(スイッチング回路)にはパイオニアが独自に製法を開発したホール素子(3個)の応用によるブラシレス型を採用しており、高いS/Nと信頼性を実現しています。

XLC-1850ではサーボ回路に検出精度の高いクォーツPLL方式を採用しており、モーターの回転軸に取付られたジェネレーター(発電機)の出力パルスと、水晶を用いた基準信号のパルスを比較することで、単に両方の周波数差だけでなく位相差(進み・遅れの時間差)も検出し、回転数を制御しています。これにより従来の方式では捉えにくいとされていた周期の長い微弱な速度変化も正確に検知し、常に正しい回転数を維持します。

速度微調整時の回転数表示には従来のストロボスコープに代わって直読式のピッチインジケーターを採用しています。
正確な回転数に対する偏差を数値で直読できるため、レコードを同一ピッチで比較演奏したり、レコードのピッチを楽器のピッチに合わせる際の確認が行いやすくなっています。
このインジケーターはクォーツロックON時はQuartzの文字が点灯されて正しい回転数に同期します。この際に外部からの無理な力で制動された時にはランプが消えます。また、クォーツロックOFFの時にはピッチインジケーターのメモリが点灯し、ターンテーブルの回転数をメーター駆動用のシュミット回路と積分回路の組み合わせによって計測し、回転数をアナログ表示できます。
調整時にメーターの指示角と同じ感覚で回せるよう微調整用ボリュームには特殊な抵抗カーブを採用しており、使い勝手を考慮しています。

電子機器のクイックストップ機構を搭載しています。
この方式では、ストップボタンを押すと制御回路がモーターを逆方向に回すトルクを発生するように切換り、急激にブレーキをかけます。そして回転がほぼ停止状態になったときに電源はOFFとなり、ターンテーブルは停止します。
この駆動回路はモーターの回転数が早くなった時にも電子式ブレーキがかかり、素早く応答します。45rpmから33 1/3rpmへの速度切換時にもサーボがかかり、ただちに定速回転となります。

制御回路と駆動回路をIC化することで性能劣化の要因となる不安定要素を取り除いています。
駆動回路用にはバイポーラ型ICを、制御回路用にはMOS型ICを採用しています。

キャビネットには厚さ4mm、重さ4.7kgのアルミダイキャストを採用すると共に、共振モードの解析によるハウリング防止構造を採用しています。
キャビネットの周辺を24のリブを用いたボックス構造としており、さらに底蓋にはQの低い(共振が起きにくい)新素材を採用しています。さらに特殊ゴムとダイキャストソリッドを組み合わせたインシュレーターをキャビネット本体にダイレクトに取り付けることでハウリングマージンを3dB高めています。

電源部にはカットコアトランスを採用しています。
カットコアトランスはリーケージフラックスの発生が少なく、レギュレーションにも優れています。このトランスをキャビネットボードにフローティングマウントすることで雑音発生による音質への影響を抑えています。

操作部にはプッシュ式を採用しています。
1枚のダイキャストパネルに集中レイアウトすることでワンタッチでの操作を可能にしています。

ダストカバーには取り外し可能な透明アクリルダストカバーを採用しています。

ワンタッチ式のユニバーサルアームレストが付属しています。
取付はワンタッチ式となっており、底部の粘着テープによってどの位置でも装着できます。

機種の定格
型式 レコードプレイヤー
駆動方式 ダイレクトドライブ
駆動モーター クォーツPLLブラシレスDCサーボホールモーター
ターンテーブル 32cmアルミダイカスト製
慣性質量 350kg-cm2
回転数 33・1/3、45rpm
回転数微調整 ±6%
回転ムラ 0.025%以下(WRMS)
S/N 63dB以上(JIS)
75dB以上(DIN-B)
負荷変動 0%(針圧120g以内)
起動特性 1/2回転
回転数偏差 ±0.002%
ドリフト 時間ドリフト:0.0003%/h以下
温度ドリフト:0.00004%/℃以下
付属機構 ピッチインジケーター
高さ調整つきインシュレーター
透明アクリルダストカバー(フリーストップヒンジ)
電子式クイックストップ機構
キャビネット アルミダイカストキャビネット
使用半導体 IC:5個
トランジスタ:2個
ダイオード:4個
ホール素子:3個
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 12W
外形寸法 幅490x高さ185x奥行406mm
重量 14kg
付属 EPアダプター
六角アダプター
アーム取付指示紙
SME 3009/SII用アーム取付パネル
ユニバーサルアームレスト

1.磁気パルス検出型周波数発電機
ローターマグネット(回転子磁石)下面に磁気パルスを着磁し、それと対面して取り付けられている速度検出基板によってモーターの回転速度に応じた交流信号(電圧)を取り出しています。
2/3.位相比較器、周波数比較器
周波数発電機から得られた交流信号は増幅され、波形整形、合成および逓倍回路を経過し、速度切替分周回路を経た基準信号と位相比較し、位相差に応じた制御電圧を検出して直流信号に変換します。そして周波数比較器の出力と合成され、制御回路に送りこまれます。これによって位相同期(Phase Lock)がされ、正確なサーボコントロールが保証されます。また、周波数比較器は位相比較器と並列に入り、モーターの過渡特性などPLLループの特性を改善しています。
4.両方向判別回路、比較制御回路
各信号の合成出力の大小や制御出力の方向(加速、減速)をキャッチし、正確かつ迅速に制御信号を増幅し、両方向駆動回路に伝送します。
5.両方向駆動回路
制御回路および位置信号合成回路により加わる制御信号に応じてモーターへの電流を送り込んでいます。この場合、加速および減速の両方向に対して制御トルクが働くため、外乱によるモーターの速度変化に対する過渡応答や回転数に対する切替時間など、優れた応答性を持っています。
6/7.位置検出部、位置信号合成回路
モーター内部に電気的位相角120゜で3つのホール素子が配置されています。これらのホール素子はモーター回転によって順次信号電圧を発生し、位置信号合成回路で所定の信号に合成され、両方向駆動回路のトランジスタをスイッチング(巻線電流切替操作)します。
8.逆転防止回路
この回路は通常動作には関係しませんが、手で強制的に逆回転させても正常動作する様に考慮された保護回路としての機能を持っています。
9.水晶発振器
フォノモーターの回転数を制御する基準信号を発生させます。温度や湿度の影響や、経年変化の少ない水晶振動子を使用しています。トリマコンデンサで厳密に微細な周波数差を補正し、正確を期した高安定・高精度な回路となっています。
10.分周回路
水晶発振器は、より安定な働きと合理性を考慮して実際に使われる周波数より高い値(3,072MHz)を用いています。これを分周して6kHzにしています。
11.速度可変用副発振器
再生部のピッチを変えたい時は基準周波数を変える必要があります。クォーツロックをoffにするとモーターの回転はこの回路の周波数に同期しています。
12.回転数検出回路
周波数発電機によって得られた回転数比較信号をモーター部の信号に影響を与えないよう入力インピーダンスの高い回路で反転させ、レベル調整した後にローパスフィルターで直流信号にし、メーター駆動回路に送り込みます。
13.メーター駆動回路(ロックOFF時のみ動作)
回転数検出回路で得られた直流信号のレベル比較を2個のオペアンプで構成された差動アンプで行い、メーターを駆動させています。
14.ロック判別回路(クォーツロックON時のみ動作)
メーター駆動回路の差動アンプの出力でアナログ的OR動作をする回路に通し、ロックを判別しています。
15.スタート・ストップ、フリップフロップ回路
スタート・ストップボタンを押すとフリップフロップ回路はH/Lの2状態に変化し、AND回路に指示を出すとともに各発振器のON-OFFを命令します。電源をONにしただけの状態ではフリップフロップ回路は必ずストップの状態にセットされるようになっています。
16.停止検出回路
モーターの周波数発電機によって得られた回転数比較信号をシュミット回路に入力し、回転停止を検出しています。
17.AND回路
AND回路はフリップフロップ回路がストップ状態で、かつ停止検出回路が出た時だけ電源回路をOFFにしています。

・電源スイッチをONにすると、フリップフロップ回路は必ずSTOP側にセットされているため、メーターは点灯しますがモーターは回りません。
・スタートボタンを押すとフリップフロップ回路が反転し、AND回路が働いて電源が入り、モーターが回転します。
・ストップボタンを押すとフリップフロップ回路が再び反転し、AND回路にはストップ指示を出すと共に、基準発振周波数を止めます。基準周波数が0Hzになるため、制御回路及び制御方向指示回路によって逆転トルクが発生するように両方向駆動回路に信号が送られ、周波数発電機の周波数は低下します。
・この周波数がほぼ0Hzになると停止検出の指示によってAND回路が動作し、モーター電源をOFFにし、回転は完全に停止します。

・シュミットトリガ回路
周波数発電機から出ているモーターの回転数に比例した交流波形のレベルを一定の高さに揃え、積分回路で周波数-電圧交換を行った時に、正確に周波数に比例した電圧が出るようにしています。
・積分回路
モーターの回転数に比例した周波数を持つ交流電圧をモーターの回転数に比例した直流電圧に変換します。つまりF-V(周波数-電圧)変換器です。
・差動増幅回路
積分回路で交換されて出てきたモーターの回転数に比例した直流電圧は基準電圧とこの回路で比較されます。図のAとBの電圧が等しければモーターは規定の回転数をしていることになり、メーターへの電圧は0であり、メーターは中央のスピード偏差0を示します。モーターの回転数が規定回転数よりも高ければ、Aの電圧はBより高くなり、A-Bの電圧は差動増幅回路で増幅され、メーターへ+の電圧が加わり、メーターは+方向を示します。モーターの回転数が規定回転数よりも遅い場合はその逆となります。