Pioneer T-D7
¥65,000(1997年12月発売)
解説
デジタルプロセッシングシステムを搭載した3ヘッドカセットデッキ。
デッキ内部の信号処理にデジタルプロセッシングシステムを採用しています。
この方式では、再生ヘッドで読み取った音楽信号をデジタルの音楽信号に変換しており、その後の信号処理を劣化の少ないデジタル処理で行っています。これにより高域補正やレベル補正などでの劣化を抑えています。
さらに、CDプレイヤーにも搭載されたレガートリンクコンバージョンを搭載しており、20kHzを超える可聴帯域以上の音楽信号を可聴帯域内の信号と1/f特性から推定することで再現し、40kHzまでの広帯域再生を実現しています。
デジタル回路にデジタルノイズリダクションを搭載しています。
この回路では可聴周波数帯域をデジタルフィルタによって複数の帯域に分割し、音楽信号とノイズのレベル差を拡大することでヒスノイズを分離・除去しています。これによりドルビーNR on時にはS/N比90dBを実現しています。
このデジタルノイズリダクションは録音時にエンコードする必要がなく、ほかのデッキで録音されたテープや過去に録音されたテープでも高いS/N再生が可能です。
デジタルFLEX(Frequency Level Expander)を搭載しています。
この機能は高域の音質劣化によってこもって聴こえるテープで使用する機能で、自動的に高域レベルを1/f特性に合わせ込むことで高域特性の悪いテープでもクリアな音で再生できます。
デジタルXD(Extended Dynamic Range) FLAT Systemを搭載しています。
この回路では、使用するテープに応じてワンタッチで録音・再生周波数特性をデジタル処理でフラットにチューニングできます。使用するテープの高域録音特性をコンピューターが確認し、そのテープに最適なバイアス・コントロールを行うことでより高精度な補正能力と高域での広ダイナミックレンジを獲得しています。
デジタル入力端子を搭載しており、サンプリング周波数44.1kHzのOptical出力を持つデジタル機器から録音可能となっています。T-D7ではフロントにもデジタル入力端子を搭載しています。
さらにデジタルシンクロ機能を搭載しており、音楽信号入力に合わせて録音が自動的にスタートします。
デジタルALCA(Auto Level Control with tape Analysis)機能を搭載しています。
デジタル入力録音時に録音レベルを自動的に調整して最適レベルの録音が可能です。FLAT SYSTEMによるバイアス、感度の分析と、高域高レベル録音能力の分析からピーク録音レベルと初期録音レベルを設定し、入力信号に応じて録音レベルを設定しています。これにより異なる特性を持ったテープでも適切な録音レベルを判断して録音します。
アナログ入力時はマニュアル操作となっています。
Zコンセプトを採用しており、波形ひずみを低減し正確な信号伝達を追求しています。
T-D7ではZコンセプトによるステイブル・ディテクション、アキュレートトランスミッション、ジッターフリーコンバーションの3つの技術を採用しています。
ステイブルディテクションでは、カセットスタビライザー、デジタルテンションサーボ、ウイングシャーシを採用しています。
カセットスタビライザーでは本体の受け側に約70gの特殊スタビライザーを装備し、ソフトタッチでカセットハーフを効果的にホールドしています。これによりモーターの回転振動や音圧、外部からの振動による影響を抑えて安定走行を実現し、変調ノイズの少ないクリアな音を実現しています。
デジタルテンションサーボでは、テープの巻き径の大きさに応じてマイコンがリールモーターの電圧をコントロールし、適正なテープテンションで巻取りを行っています。これによりこれまで不安定になりがちだったテープの巻き始めのワウフラッターを改善しています。
ウイングシャーシでは電源トランス取付部とカセットメカ取付部の底板の形状を工夫しており、インシュレーターから効果的に振動を外部に逃がすことで回路基板を電源トランスやモーターの回転振動から隔離しています。
アキュレートトランスミッションでは、アンプ電源回路にアンプ専用トランス巻線から構成したハイスピードアクティブサーボレギュレーターを採用しています。これにより負荷変動による電源電圧変動を高速サーボによって安定させることができ、音楽信号の急激な変動にもスピーディに追従でき、ダイナミックレンジの広いソースをより忠実に録音再生します。
ジッターフリーコンバージョンではDACにスイッチドキャパシタフィルターを採用しており、帯域外のノイズを減衰させると共にクロックジッターによる精度を改善しています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/CタイプとドルビーHX-PROを搭載しています。
パワーローディング/イジェクト、タイムカウンター(録再の経過時間)機能を搭載しています。
4桁電子カウンターやテープ残量時間表示機能を搭載しています。
前後15曲の飛越選曲機能を搭載しています。
ヘッドホン端子を搭載しています。
タイマー録再機能を搭載しています。
オートテープセレクターを搭載しています。
CD-Deckシンクロ機能やオートスペース付きRECミュートを搭載しています。
ラストメモリー機能を搭載しており、FLAT Systemのデータや主要スイッチポジションなどを記録します。
これによりタイマー録音時にも高度な録音が可能です。
ワイヤレスリモコンが付属しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
ヘッド | 録再:PC-OCCハードパーマロイヘッドx1 |
モーター | DCサーボモーターx3 |
ワウ・フラッター | ±0.09%W・peak(EIAJ) 0.05%WRMS(JIS) |
周波数特性 | TypeIV(メタル):20Hz~21kHz ±3dB TypeII(クローム):20Hz~20kHz ±3dB TypeI(ノーマル):20Hz~20kHz ±3dB |
可聴周波数範囲 | TypeIV:20Hz~40kHz TypeII:20Hz~40kHz TypeI:20Hz~40kHz |
SN比(TypeIV、3%歪レベル) | Dolby NR off:82dB Dolby C NR:90dB |
アナログ入力感度/インピーダンス | RCA:100mV/23kΩ |
アナログ出力レベル/インピーダンス | RCA:0.5V/1.2kΩ |
デジタル入出力端子 | 光入力:2系統 光出力:1系統(入力信号がそのまま出力) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 19W |
外形寸法 | 幅420x高さ128x奥行280mm |
重量 | 5.0kg |
付属 | ワイヤレスリモコン |