オーディオの足跡

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T-700Sの画像
 解説 

T-1000Sの高品位を忠実に継承し、細部に至るまでグレードアップを図ったステレオカセットデッキ。
特性・特徴ともにT-1000Sと同等の性能を実現していますが、T-1000Sと違いドルビーSを搭載していません。

パイオニア独自のFLAT SYSTEMを搭載しており、バイアス・感度・イコライザーの調整を行い、より高精度に周波数特性をフラット化しています。
FLAT SYSTEMの補正ポジションは、低域(400Hz)・中高域(3kHz)・超高域(15kHz)の3ポイントで、データ分析をバイアス64ステップ、レベル32ステップ、イコライザーは中高域16ステップ、超高域3ステップの分解能を有するマイコンが行い、テープにそれぞれ適正な数値を高精度かつ短時間で自動調整します。
また、バイアス調整はアップ・ダウンボタンにより、オートチューニング後にさらにマニュアル微調整が可能です。

デッキ主要スイッチポジションおよびFLAT SYSTEMのデータを記憶するラストメモリー機能を搭載しています。
FLAT SYSTEMで得たB.L.E(バイアス、感度、イコライザー)およびマニュアルで可変したバイアスなどのデータと、ラインストレート、ドルビーHX PRO、ドルビーノイズリダクション、メーターレンジ、ディスプレイオフなどの、ON/OFFのスイッチ位置、さらに電子カウンターの数字を電源OFFの状態でもメモリーしており、タイマー録音時にもFLAT SYSTEMを活用した録再が可能となっています。

徹底した高剛性構造による無振動・無共振化と、信号経路の最短化を満たすため、ミッドシップマウント・デザインを採用しています。これにより、内部構造を2枚のインナーシャーシによって3分割することにより、剛性を飛躍的に向上しており、しかも再生、録音、制御及びバイアス発振器の各回路を電気的に分離して、信号間の干渉を排除したレイアウトを実現しています。特にオーディオ信号のノイズ源となるFLディスプレイや制御回路、バイアス発振回路を左側に独立してレイアウトしています。
また、ミッドシップマウントによるNewダイレクトコンストラクションにより、ヘッド部を中央に配置したことにより、録音から再生に至る信号経路のシンプル化および最短化を図っています。

メカニズムにはZメカをより磨き上げて開発されたNewスラントZメカニズムを搭載しています。
テープトランスポート部全体を10゜傾斜させた設計となっており、これによってキャプスタン軸受けにかかる負荷が軽減され、軸ブレも低減し、回転を安定させています。また、膨大な実験と試聴を繰返して10度という角度を決定しており、これによってテープ片面だけに荷重がかかる問題を克服し、バランスが良くスムーズな走行性を獲得しています。
さらに巻取り側のキャプスタン軸受けには新素材FG(Fine Grain)メタルを採用しており、従来のオイルレスメタルを新製法によってポーラス(オイルを蓄える空孔)の分布を均一化することで、表面粗度を向上し、軸受けロスを約10%改善し、走行特性を高めてます。
また、ヘッドブロックには亜鉛ダイキャストの二重構造を採用しており、ヘッドタッチ精度を確保するとともに外部の微振動を排除しています。
またキャプスタンシャフトは、FS処理を施す事でテープスリップを防ぎ安定した走行を可能にしています。

テープの巻取りトルクをマイコンでコントロールするデジタルテンションコントロールを搭載しています。
巻き径の大きさに応じてマイコンがリールモーター電圧をコントロールしながら、適正なテープテンションで巻取りを行い、不安定になりがちだったテープの巻き始めのワウ・フラッターを改善します。

録再ヘッドには、優れた電磁変換特性を持つレーザーアモルファスヘッドを搭載しており、さらにコイル巻線にはPC-OCC(単結晶状高純度無酸素銅)を採用し、微小信号レベルの伝送損失を排除しています。

消去ヘッドには、消去周波数を210kHzにシフトした新開発の消去ヘッドが搭載されています。
ソースの高調波とバイアス電流との干渉によって生じるビートや混変調歪を抑制し、歪の少ない録音を実現しており、またバイアスとラップ回路のフィルターによる音質への影響を一段と低減しています。
さらに、消去ヘッド前面には録音済みテープの高域自己減磁作用を大幅に低減するセンダストガード構造を採用しています。

電源部には±独立バイファイラ巻線・±独立電源を採用しています。
+電源と−電源を電源トランスの二次巻線からアースパターンに至るまで分離させ、そして基準用電源回路も独立させた4電源構成±電源回路とし、基準電圧の外部変動による影響を排除しています。
これにより電源回路内部で発生するノイズ成分を大幅に抑え、ノイズレベルは10dB以上低減され、さらに電源回路性能の目安となる出力インピーダンス特性は、可聴帯域内で1mΩ以下、1kHzにおいては30μΩ(0.00003Ω)という低数値を実現しています。
また、+と−専用胴巻き音響用コンデンサーや銅製ヒートシンク等を採用し、より高音質化を図っています。

キャプスタンモーターから発生する高次振動がシャーシなどから各部に伝わり、音質に悪影響を与えるのを防ぐため、M.V.I(Motor Vibration Insulator)を搭載しています。
モーターとメカシャーシの間に、重量のある特殊強化樹脂製モーターブラケットと無反発ゴムを使ったインシュレーターを設置し、モーターの振動エネルギーを効果的に吸収し、メカ部への振動を防いでいます。

銅メッキハニカムシャーシや大型インシュレーターなどを採用しており、内部、外部の振動を多方向に拡散し、音の濁りを解消しています。

録音ボリュームには高精度ボリュームユニットを採用しており、位相差やノイズ混入などによる音質劣化を抑えています。

ラインストレート機能を搭載しており、バランスボリュームをカットして最短経路で録音アンプへ接続できます。
また、入力ボリュームは入力端子の間近に配置して、真鍮製シャフトによりコントロールするなど配線距離の最短化が図られています。

瞬間的なピーク信号によりテープを歪ませやすいデジタルソースでも正確な録音レベルをセットできるピークレベルキャリブレーション機能を搭載してます。
録音ソースのピークレベルを一旦ホールドさせると、マイコンがアシストして録音ボリュームを調整することで、適正レベルが簡単にセットできます。

メーターレンジ切換え機能を備えた17セグメントメーターを搭載しており、通常時は-35dB~+8dB、エクスパンドレンジモードでは-7dB~+8dBまでを1dBステップで表示し、正確な録音レベル調整が可能です。

外部振動を遮断するアイソレーテッドカセットドアやハーフの振動を抑え音の濁りを追放するカセットスタビライザーを採用しています。

ドルビーHX PRO、CD-DECKシンクロ対応機能、FLディスプレイ部からのノイズ発生を防ぐディスプレイOFF機能、テープカウンター(インデックス)・タイムカウンター(録再の経過時間)・リメインカウンターの使い分けが可能な3モードカウンター、カウンター0000位置までワンタッチで巻き戻し後自動的に再生を始めるテープリターン&リターンプレイ、リピート再生、オートスペースRECミュートなどの機能を搭載しています。

ワイヤレスリモコンが付属しています。

機種の定格
型式 3ヘッドデッキ
トラック方式 4トラック・2チャンネルステレオ
ヘッド コンビネーション型
(レーザーアモルファス録音ヘッド/レーザーアモルファス再生ヘッド)
センダストガード付ダブルギャップフェライト消去ヘッド
モーター キャプスタン用:DCサーボモーター
リール用:DCモーター
メカニズム駆動用:DCモーター
ワウ・フラッター ±0.04%W・peak(EIAJ)
0.022%WRMS(JIS)
早巻き時間(C-60) 約75秒
周波数特性(EIAJ) TypeIV(メタル):15Hz~22kHz ±3dB(-20dB録音)
TypeII(クローム):15Hz~20kHz ±3dB(-20dB録音)
TypeI(ノーマル):15Hz~20kHz ±3dB(-20dB録音)
SN比(TypeIV) 58dB(EIAJ/ピーク録音レベル、聴感補正)
Dolby NR off:63dB以上(第3次高調波歪率3%、聴感補正、20Hz~20kHz、B.P.F)
Dolby B NR:71dB以上(第3次高調波歪率3%、聴感補正、20Hz~20kHz、B.P.F)
Dolby C NR:80dB以上(第3次高調波歪率3%、聴感補正、20Hz~20kHz、B.P.F)
入力感度/インピーダンス Line:95mV/47kΩ
出力レベル/インピーダンス Line:0.5V/1.8kΩ
Headphone:5.5mW/8Ω(ボリューム最大時)
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 21W
外形寸法 幅440x高さ141x奥行375mm
重量 8.4kg
付属 リモコン CU-T012