Pioneer PL-780
¥69,800(1981年発売)
解説
リニアDDアームを搭載したリニアトラッキングプレイヤー。
リニアトラッキング方式の基本性能に独自開発の技術を加えたリニアDDアームを搭載しています。
一般的なリニアトラッキング方式では、トラッキングエラーが0になるなどの長所を持つ反面、SN比が悪く再生音を濁らせるという欠点を持っていました。これは、アームの直接駆動力を回転式モーターなどからギアやベルトを介して機械的に得ていたためで、モーターの振動や動力伝達部の応答速度の遅れが音質劣化を招いていました。
リニアDDアームでは一般のDD型モーターを直線にしたものを使用しており、機械的な変換機構を一切介在させずに電気エネルギーをダイレクトに直線エネルギーとして取り出しています。このため機械的な接触が無くなり、音質劣化の原因となる振動などの問題を解決しています。
さらに、電子フルオート機構との組合せによって静かで精度の高いアーム駆動を実現しています。
カートリッジにはパイオニアが独自に開発した新構造のMCカートリッジを搭載しています。
このカートリッジでは効率的な発電機構によって1.5mVの高出力を得ています。そのため専用アンプやヘッドアンプが不必要で、直接アンプのMMポジションに接続して使用できます。
さらに、この新構造はシンプル化を徹底しており、従来のMCカートリッジでは困難だった針交換を容易としています。
駆動モーターにはSH・ローター方式コアレスモーターを採用しています。
コギングの無いコアレスモーターと回転精度を高めたSH・ローター方式とによってモーターの裸特性を飛躍的に向上し、優れた特性を実現してます。
さらに、サーボ回路にはクォーツPLLを採用しており、安定性を向上すると共に耐負荷特性を大幅に向上しています。
アームパイプの素材には軽量・高剛性のカーボングラファイトを採用しています。また、ヘッドシェルにもカーボンファイバーを使用し、ローマスで共振の殆ど無いトーンアームを実現しています。さらにアーム構造には質量集中の理論を応用しており、優れたトラッカビリティを発揮しています。
また、内部リード線には無酸素銅線を使用しており、音質改善を図っています。
このクラスのリニアプレイヤーでは初めてユニバーサルトーンアームを装備しており、市販されているカートリッジの殆どが装着可能です。
精度の高い電子フルオート機構を採用しており、リニアトラッキング動作やフォノモーターの回転・停止・回転数切換は新開発のマイコンが制御しています。
機種の定格
型式 | レコードプレイヤー |
<フォノモーター部> | |
モーター | コアレスクォーツPLL DCサーボホールモーター |
軸受け方式 | SH・ローター方式 |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
ターンテーブル | 32cmアルミダイキャスト |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
回転数切換 | タクトスイッチ電子式 |
回転ムラ | 0.012%以下(WRMS、FG直読法) 0.025%以下(WRMS、JIS) |
S/N | 78dB以上(DIN-B) |
起動特性 | 1/3回転以内 |
回転数偏差 | 0.002%以内 |
ドリフト | 時間ドリフト:0.00008%/h以下 温度ドリフト:0.00003%/℃以下 |
<トーンアーム部> | |
型式 | リニアDDスタティックバランスリニアトラッキングアーム |
実効長 | 162mm |
オーバーハング | 0mm |
適合カートリッジ自重 | 3g~8g(ヘッドシェル含まず) |
ヘッドシェル | カーボンファイバー製 |
トラッキングエラー | 0.25゜以内 |
針圧可変範囲 | 0~3g |
<カートリッジ部> | |
型式 | MC型 |
針先 | 0.3x0.7mil楕円ダイヤモンド針 |
交換針 | PN-4MC |
出力電圧 | 1.5mV(1kHz、50mm/sec.水平) |
負荷抵抗 | 30kΩ~100kΩ |
適正負荷抵抗・負荷容量 | 40kΩ・170pF~300pF |
適正針圧 | 2g±0.3g |
周波数特性 | 10Hz~35kHz |
<その他> | |
付属機構 | 2スピード切換ロケートボタンによる両方向トーンアームリモート操作機能 マニュアル操作機能 フェールセーフ機能 |
使用半導体等 | ICx10 トランジスタx6 フォトトランジスタx3 ダイオードx6 cdsx1 ホール素子x2 LEDx12 水晶x1 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 12W |
外形寸法 | 幅420x高さ120x奥行427mm ダストカバー全開時:幅420x高さ405x奥行427mm |
重量 | 8.3kg |