Pioneer D-07
¥140,000(1993年発売)
解説
96kHzハイサンプリングへの対応やレガート・リンク・コンバージョンを搭載したDATデッキ。
20kHzを超える高域成分の録音・再生のため、サンプリング周波数を従来の48kHzから2倍の96kHzに高めたハイサンプリング対応のワイドモードを開発し、これにより録音・再生周波数も従来の2倍の44kHzに達しています。この技術の達成のため、テープスピードの倍速化をはじめ、従来2,000rpmだったドラム回転数もワイドモード時で4,000rpmまで高速化し、さらにヘッドアンプの帯域も4.7MHzから9.6MHzと倍にしています。
※ワイドモードで録音されたものは従来の標準SPモード、長時間LPモードでは再生ができず、ワイドモードでは再生時間がSPモードの半分となります。
標準モード時でもオーバー20kHzの自然な音楽再生を実現するため、レガート・リンク・コンバージョンを搭載しています。
レガート・リンク・コンバージョンは、自然界の音や音楽の持つ周波数成分を、よりオリジナルの信号波形に近づける技術で、テープに記録された信号をもとにデジタル信号処理し、データの間をなめらかな関数曲線で結ぶ事で、テープに記録する前のよりオリジナルに近い音の再生が可能となっています。
また、記録前のオリジナル信号を推定し、1/f減衰特性にしたがって20kHz以上の音の再現も行うことで、より自然な音の再生を図っています。
A/D変換部には18ビットのマルチビット方式コンバーターを搭載してます。さらに、ディザ回路の搭載により、非直線歪やゼロクロス歪の発生を抑えています。
D/A変換部にはオリジナル開発のハイスピード・パルスフローD/Aコンバーターをツインで搭載しています。256fsと極めて高いオーバーサンプリングで動作させることにより、よりなめらかで自然な音の再生を図ってます。
システムクロックには、オーディオ系とデジタル系を分離して供給するクリーンクロック回路を採用しており、システムをコントロールするクロックの発振そのものを、独立して駆動することで、SN比や歪率の改善を実現しています。
ヘッドにはAT(All Track)ヘッドを搭載しています。
ワイドモード時のヘッド回転高速化に対応するため精密技術を投入しており、トラックのトレース方向に対して20μmの均一なトラック加工を施したAT構造となっています。さらにヘッド両側にガラスを溶着して耐摩耗性を向上しており、ギャップには特殊なポリシング加工を施し、テープタッチの安定性を向上させています。
フロントパネル周辺の微振動を抑える防振ゴムを併用したパネルスタビライザーや、テープを確実にホールドし振動による音質劣化を防ぐカセットスタビライザー、メカニズムや回路を支えるハニカムシャーシ、大型インシュレーター、ボンネット制振構造の採用などにより振動の影響を低減しています。
曲名、タイトルなど好みの情報を記録できるキャラクターレコーディング(キャラクターパック)機能を搭載しています。各曲のはじめ(スタートID部分)に曲名、演奏者名、ソースのタイトルなど好みの情報を最大60文字まで記録でき、データの記録はリモコン、本体のどちらでも可能となっています。
また、記録された情報は各曲のスタート時にディスプレイにスクロール表示され、その曲の演奏中はボタン操作により再度表示させることが可能です。
CD-QコードシンクロスタートID記録機能を搭載しており、CDからのデジタル入力録音時に、デジタルインターフェイスによってD-07に伝送されるCD-Qコードデータ中のトラックナンバー、インデックスによりスタートIDを自動記録し、従来の2秒間の無音部分による各曲の替わり目の検知にかえ、曲間に無音部分がなくても、確実にスタートIDの記録が可能となっています。
これによりフェードイン、フェードアウト部分によるスタートIDの記録ミスが解消されています。
テープのトータル曲数とトータル時間、各曲の演奏時間、各曲の開始時間、記録部分の残量などの情報をテープの最初の位置に記録するTOC(Table of Contents)機能を搭載しています。
フェードイン、フェードアウトがデジタル入力録音時、再生時、アナログ入力録音時、再生時ともに機能するデジタルフェーダーを搭載しています。
さらに、再生時のオペレーション機能には、TOC情報をもとにマイコンがランダムに選曲して再生するランダムプレイや、現在位置から希望する時間だけ前後にスキップして再生するタイムスキップ、ボタンを押した時点のテープ上のポイントをマイコンが記憶し、そのポイントをワンタッチで再生するワンポイントメモリー、スタートIDの記録や頭出しに便利なファインキュー/レビューなどを搭載しています。
標準のSPモードに加え、44kHzまでの広帯域の録音再生が可能なワイドモード、衛星放送やFM放送などのエアチェックに有利な最長4時間(120分テープ使用時)の長時間LPモードの3つのモードを搭載しています。
広帯域化に答えるため、厳選したパーツを採用しています。
機種の定格
型式 | 回転ヘッド方式デジタルオーディオテープレコーダー |
テープスピード | 8.15mm/s(SP)、4.075mm/s(LP)、16.3mm/s(WIDE) |
録音時間 | SP:最大120分 LP:最大240分 WIDE:最大60分 |
量子化ビット数 | 16ビットリニア 12ビットノンリニア |
サンプリング周波数(SCMS搭載) | 48kHz(録音/再生) 44.1kHz(デジタル録音のみ/再生) 32kHz(SP:デジタル録音のみ/再生) 32kHz(LP:録音/再生) 96kHz(アナログ録音のみ/再生) |
録音周波数特性 | SP:2Hz~22kHz LP:2Hz~14.5kHz WIDE:2Hz~44kHz |
SN比 | 92dB以上 |
ダイナミックレンジ | 93dB以上 |
全高調波歪率 | 0.004%以下(1kHz) |
ワウフラッター | 測定限界(±0.001%W・Peak)以下 |
アナログ入出力端子 | ライン入力:RCA Pin、1系統、500mV ライン出力:RCA Pin、1系統、500mV |
デジタル入出力端子 | 同軸入力端子:RCA Pin、1系統、0.5Vp-p 同軸出力端子:RCA Pin、1系統、0.5Vp-p 光入力端子:1系統 光出力端子:1系統 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 32W |
最大外形寸法 | 幅440x高さ141x奥行375mm |
重量 | 8kg |
付属 | ワイヤレスリモコン CU-D010 |