Pioneer SX-757
¥78,500(1975年頃)
解説
ハイクラスなセパレートタイプに匹敵する性能を追求したステレオレシーバー。
パワーアンプ部には±2電源方式による差動増幅1段の純コンプリメンタリーOCL回路を採用しています。
この回路では差動部に特性の揃ったデュアルトランジスタを採用するなど、ハイパワーだけでなく低歪率の点にも配慮がされています。
電源部には15,000μFx2の大容量コンデンサーを使用しています。
イコライザーアンプ部は±2電源による差動1段増幅の高耐圧ローノイズICを使用しています。そして、正確さを要求される素子には誤差1%以下の金属皮膜抵抗や、誤差2%以下のスチロールコンデンサーなどの厳選したものを使用しており、RIAA偏差を±0.2dB以内に抑えています。
また、使われているICには+21V、-19Vの高電圧がかけられており、最大許容入力は200mVを得て、レコードのダイナミックレンジに十分に対応しています。
コントロール部はトーン段にイコライザー部と同じローノイズICを使用しており、低歪率と高出力を得ています。
トーンコントロールにはCR型回路を採用しており、Bass/Treble共に11ステップの可変式となっています。クリックストップ付きなため、つまみを回しても正確に元の位置に戻せます。
また、トーン回路OFFスイッチを設けており、トーンをフラットにすることができます。この場合トーン回路はバイパスされます。
メインボリュームにはアッテネーター型を採用しています。
これはdB表示による32ステップのもので、音の減衰量が正確に読み取れ、しかも左右の連動誤差も0~-70dBの全域で0.5dB以内となっており、音量の変化によって左右のバランスが変わるという心配がありません。
2系統のテープ入出力回路を搭載しています。
ローカットフィルターを搭載しています。
ラウドネスコンターを搭載しており、小音量再生時にも迫力のある音質が楽しめます。
フロントパネルにマイクジャックを搭載しています。
ファンクションスイッチがAux/Micの位置にある時にマイクジャックを差し込めばMicが優先されてAuxが切断されます。
チューナーのフロントエンド部では初段にデュアルゲートMOS-FETを採用した高周波増幅1段と、4連バリコンを組み合わせた構成を採用しています。雑音係数の低いFETの採用によって実用感度1.9μVを得ると共に妨害排除能力や優れた特性を得ています。
IF部には専用の高集積度ICをベースに差動IC2個と2素子セラミックフィルター3個を組合せ、5段のリミッターをかける回路構成を採用しています。
さらにこの回路では使用ICとは別にレシオ検波回路を設ける当時最新の設計を取り入れており、歪率やSN比をより有利なものとしています。また、3個のフィルター間のインピーダンス・マッチングを裁量にする設計などで同調点の幅を拡大し、多少の同調ずれがあっても歪を増加させない優れた同調特性を持っています。
MPX部には新開発の専用ICを用いたPLL方式を採用しています。
ON/OFFが可能なFMミューティング回路を搭載しており、不快な局間ノイズを消すことができます。
この回路はL/R独立の設計でクリック音の無いFMミューティングが可能です。
AMチューナー部には専用の高集積度ICを使用しており、高周波増幅1段と2連バリコンの構成となっています。
単体チューナーと同様に2メーター方式を採用しています。
大型フライホイールつきのチューニング機構を採用しています。
全ての入出力端子と回路を一枚の大型基板にまとめ、入力関係のシールド線を廃して音質の向上を図っています。
SX-757はカセットデッキCT-7Aとパネル面の高さが揃えられており、並べて使用すると統一されたデザインが楽しめます。
機種の定格
型式 | ステレオレシーバー |
<アンプ部> | |
回路方式 | 差動1段全段直結純コンプリメンタリーOCL |
実効出力(20Hz~20kHz、両ch駆動) | 55W+55W(4Ω) 50W+50W(8Ω) |
高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.1%(実効出力時) 0.03%(25W出力時、8Ω) 0.05%(1W出力時、8Ω) |
混変調歪率(50Hz:7kHz=4:1) | 0.1%(実効出力時) 0.03%(25W出力時、8Ω) 0.03%(1W出力時、8Ω) |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 5Hz~40kHz(歪率0.1%) |
出力端子 | Speaker:A/B(4~16Ω)、A+B(8~16Ω) Headphone:4~16Ω |
ダンピングファクター | 30(20Hz~20kHz、8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Phono:2.5mV/50kΩ Mic:5mV/50kΩ Tuner、Aux、Tape play1/2/2(DIN):150mV/50kΩ |
Phono最大許容入力(高調波歪率0.1%) | 200mV(1kHz) |
出力レベル/インピーダンス | Tape rec1/2:150mV Tape rec2(DIN):30mV/80kΩ |
周波数特性 | Phono(RIAA偏差):30Hz~15kHz ±0.2dB Tuner、Aux、Tape play:10Hz~50kHz +0 -1dB |
トーンコントロール | Bass:+8dB、-7dB(100Hz) Treble:+9dB -7dB(10kHz) |
フィルター | 30Hz(6dB/oct) |
ラウドネスコンター(Volume-40dB) | +6dB(100Hz)、+3dB(10kHz) |
S/N比(IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) | Phono:70dB Tuner、Aux、Tape play:90dB |
<FMチューナー部> | |
実用感度 | S/N 50dB mono:4μV stereo:50μV IHF mono:1.9μV |
S/N | mono:78dB stereo:75dB |
高調波歪率 | mono:0.1%(100Hz) 0.1%(1kHz) 0.2%(10kHz) stereo:0.25%(100Hz) 0.25%(1kHz) 0.5%(10kHz) |
キャプチャーレシオ | 1.2dB |
実効選択度 | 80dB(400kHz) |
周波数特性 | 50Hz~10kHz +0.2 -0.5dB 20Hz~15kHz +0.2 -2.0dB |
セパレーション | 40dB(1kHz) 35dB(50Hz~10kHz) |
イメージ妨害比 | 90dB |
IF妨害比 | 90dB |
スプリアス妨害比 | 90dB |
AM抑圧比 | 55dB |
キャリアリーク抑圧比 | 65dB |
ステレオ切換レベル(ミューティング動作レベル) | 2.2μV |
アンテナ | 300Ω平衡型 75Ω不平衡型 |
<AMチューナー部> | |
実用感度 | 300μV/m(バーアンテナ) 15μV(IHF) |
選択度 | 35dB |
S/N比 | 50dB |
イメージ妨害比 | 40dB |
IF妨害比 | 70dB |
<総合> | |
使用半導体 | FET:3個 IC:9個 トランジスタ:35個 ダイオード他:37個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
ACアウトレット | 電源スイッチ連動:1系統 電源スイッチ非連動:1系統 |
消費電力 | 140W(電気用品取締法) 330W(最大) |
外形寸法 | 幅455x高さ160x奥行369mm |
重量 | 14.3kg |