オーディオの足跡

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SA-9900の画像
 解説 

大出力、低歪化を追及し、さらにユニークなサイド端子方式を採用したプリメインアンプ。

サイド端子方式を採用しており、入力端子類はイコライザー基板と一体になり、フォノ端子とイコライザー端子を結ぶシールド線を排除しています。これによりシールド線の浮遊容量の影響による高域特性の劣化を防いでいます。

パワーアンプ部は3段ダーリントン接続による全段直結純コンプリメンタリーOCL回路を採用しており、出力段はパラレルプッシュプル方式としています。
また2段の差動アンプとバイアス補償回路により、外部温度などの変化があっても、スピーカー端子への直流成分を制御するなどで十分な安定度を得ています。

2ヶ所の定電流回路によってトランジスタの動作範囲を広げ、回路の裸特性を大きくとり、さらに出力段からのNFBだけでなく、差動部内でも適度なNFBをかけることで、裸特性の向上を図ってます。
また、出力段からNFBをかけることにより過渡特性の劣化や不安定さを解消しており、さらに、この回路に大きな時定数を持たせることにより超低域における位相ずれをなくしています。

定電流回路によって電源電圧の変動によるアイドル電流の変化が抑えられると共に、新開発のバイアス供給方式の採用により、トランジスタの自己過熱で生じる各トランジスタ間の温度差に対しても一定の補償を行うことができ、ハイパワー時から微小出力時まで安定したアイドル電流で過渡的なクロスオーバー歪を排除しています。
さらにドライバー段のエミッター抵抗を中点からフロートし、かなりの大振幅時までA級動作させることでこの段でのクロスオーバー歪を解消しています。

パワートランジスタには特性が良く揃い破壊強度の強いものを厳選して使うと共に、大型放熱器の採用などで万全を期した上、リレーによる電子式保護回路や電流制限回路などでトラブルにも対処しています。
さらに、新開発の温度検出回路を採用しており、放熱器の温度が85度以上になると、出力段供給電圧をコントロールして、常に放熱器の温度を一定以内に抑えています。

イコライザー回路は初段はローノイズFETによる差動増幅器とし、出力中点の安定化を図ると共に、聴感上のノイズレベルを引き下げる設計となっています。2段目の電圧増幅段は定電流負荷を用いて直線性の良い高増幅度を得て歪特性を改善しています。また、ノイズ選別されたトランジスタが使うことでSN比の改善を図っています。
回路には±48Vの高電圧が供給されており十分なダイナミックマージンを確保しています。またRIAAカーブのためのNFB素子には誤差の非常に少ないニクロム金属被膜抵抗と、スチロールコンデンサーを使用し、優れた特性を得ています。

Phono2の入力は-12dBまでのレベル調整が可能で、-6dBまではNFB回路で、-6dBから-12dBまではsy通力ボリュームで行っており、-6dB以上に絞った時には、最大許容入力が約2倍の1Vと大きくなります。
また、4点切換えのインピーダンス切換も搭載しています。

コントロール回路でも初段に直流NFBが100%かけられる、FETの差動増幅部を置き、電源も2電源方式で±48Vを供給しています。FETの採用でSN比を引き上げ、さらに2電源方式によってスイッチ切換時のクリックノイズを防止しています。
電圧増幅部もイコライザー回路と同様に定電流負荷として回路の裸特性を向上させ、またブートストラップ回路を使わないので低域での位相特性や過渡特性を向上させています。

トーン回路にはツイントーンコントロール方式を採用しています。メインだけの操作なら一般的なトーンコントロールとして、サブだけの操作なら超高域と超低域だけのコントロールが可能です。さらにメインとサブを組み合わせることで幅広いコントロールが可能です。
この2つのコントロールはメインがNFB型、サブがCR型となっています。また、トーンコントロールon/offスイッチを搭載しています。

ボリュームには減衰量が直読できるように、2dBステップのデシベル表示をした22接点の高精度印刷抵抗体による本格的アッテネーター型ボリュームを採用しています。このデシベル表示部分は、エッジライトによって照明されています。
また、3段に切換えができるレバー式アッテネーターも搭載しています。

電源部には22,000μFの大容量電解コンデンサーを2個搭載しています。

2段切換式のローカット/ハイカットフィルターを搭載しています。

デュプリケートスイッチを搭載しており、スイッチをonにすることでテープ1から2へ、2から1へテープダビングが行えます。

製品一台ごとにその製品を実測したデータが添付されています。

機種の定格
型式 ステレオプリメインアンプ
<パワーアンプ部>
回路方式 差動2段3段ダーリントンパラレルププッシュプル純コンプリメンタリーOCL
実効出力
(両ch駆動、20Hz~20kHz)
110W+110W(4Ω)
110W+110W(8Ω)
高調波歪率(20Hz~20kHz) 0.1%以下(実効出力時)
0.04%以下(55W出力時、8Ω)
0.04%以下(1W出力時、8Ω)
混変調歪率 0.1%以下(実効出力時)
0.04%以下(55W出力時、8Ω)
0.04%以下(1W出力時、8Ω)
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) 5Hz~40kHz(歪率0.1%)
周波数特性 10Hz~80kHz +0 -1dB
入力感度/インピーダンス Power amp in:1V/50kΩ
出力端子 Speaker A・B:4Ω~16Ω
Speaker A+B:8Ω~16Ω
Headphone:4Ω~16Ω
ダンピングファクター 30以上(20Hz~20kHz)
S/N 110dB以上(IHF、Aネットワーク、ショートサーキット)
<プリアンプ部>
回路方式 イコライザーアンプ:正負2電源、FET差動1段3段直結A級SEPP
コントロールアンプ:正負2電源、FET差動1段3段直結
入力感度/インピーダンス Phono1:2.5mV/50kΩ
Phono2:2.5~10mV/35kΩ、50kΩ、70kΩ、100kΩ
Tuner、Aux1、2、Tape PB1、2:150mV/50kΩ
Phono最大許容入力
(高調波歪率0.1%、1kHz)
Phono1:500mV
Phono2:500mV~1.0V
出力レベル/インピーダンス Tape Rec1、2:150mV
Pre out:2V/1kΩ
高調波歪率(20Hz~20kHz) 0.05%以下
周波数特性 Phono(RIAA偏差):30Hz~15kHz ±0.2dB
Tuner、Aux、Tape PB:7Hz~40kHz +0 -1dB
トーンコントロール 1.5dBステップ
Bass sub:±4.5dB(50Hz)
main:±7.5dB(100Hz)
Treble sub:±4.5dB(20kHz)
main:±7.5dB(10kHz)
フィルター Low:15Hz、30Hz、12dB/oct
High:8kHz、12kHz、12dB/oct
ミューティング 0、-15dB、-30dB
S/N(IHF、Aネットワーク、
ショートサーキット)
Phono:70dB以上
Tuner、Aux、Tape PB:95dB以上
<総合>
使用半導体 トランジスタ:74個
FET:10個
ダイオード他:33個
ACアウトレット 電源スイッチ連動:2系統
電源スイッチ非連動:1系統
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 270W(定格)
730W(最大)
外形寸法 幅420x高さ165x奥行403mm
重量 20.0kg