Pioneer M-90
¥200,000(1986年発売)
解説
デジタルソースに対応するため、パイオニアが持てる技術を惜しみなく投入し、完成したステレオパワーアンプ。
電源部は徹底して分離することで相互干渉を防止しており、大型トランスを左右独立で使用すると共に、トータル48,000μFにおよぶ電解コンデンサーを採用しています。
また、ハイスピード・ローノイズダイオードによるブリッジ整流回路を左右それぞれのプラス側とマイナス側に独立して使用するなど、実に47Aという大電流供給能力を達成しています。
パワートランジスタにはPc=130Wタイプの4パラレル・プッシュプル構成を採用しています。
コントロールアンプからのノーマル入力端子とは別に、CDプレイヤーとパワーアンプを直結するCDダイレクト入力端子を搭載しています。また、Lineダイレクト端子も搭載しており、CDダイレクト端子同様の使いこなしが可能です。
このCD/Lineダイレクト端子には専用の出力端子も装備しており、コントロールアンプにリターンさせる事も可能です。
信号経路をなるべく短くするため、ボリューム自体はリアパネルの側、入力端子の間近に配置し、アルミ製リモートシャフトを介してフロントからコントロールできるようにしています。
スイッチング歪が原理的に発生しないノンスイッチング・サーキットにさらに磨きをかけたノンスイッチング・サーキットTypeIIを搭載しており、スイッチング歪ゼロの領域をより拡大し、一層の広帯域化を図っています。
また、電源スイッチON直後や大信号入力時、外気温の変化などによって絶えずドリフトしているアイドル電流を安定させ、これに起因するサーマル歪の発生を抑えています。
さらに、入力信号と出力信号の差を検出・補正しており、出力段の非直線歪を1/30以下に抑えています。
磁気歪を低減すると共に異金属の張り合わせによる振動減衰量を向上させるため、銅メッキシャーシを採用しています。
また、ビスにも銅メッキビスを採用しています。
4つの脚としてのインシュレーターに加え、本体のセンターにもインシュレーターを装着した5点支持方式を採用しています。これにより、重いトランスが中心でもしっかりと支えられる構造となっています。
39mmx98mmの大型サイズで出力を鮮やかに表示する左右独立インジケーターを搭載しており、2mWから300Wまでの出力変化を切換え無しで直読できます。
また、ピークパワーを読取りやすくするため、0.6秒間のピークホールド機能を内蔵しています。
インジケーターはスイッチによりOFFも可能です。
より高い品質を実現するため、パーツ類も厳選して使用されています。
配線材には信頼性の高い無酸素銅線配線材、歪の発生を抑えるための黄銅キャップカーボン抵抗、直流抵抗、インダクタンスを軽減する70μm銅箔基盤、樹脂ケースコンデンサー、金メッキ入力ピンジャック、大型ターミナル、極性表示付き無酸素銅線ACコードなどが採用されています。
4Ω/8Ωの出力切換えスイッチを搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
定格出力 (20Hz~20kHz、両ch駆動) |
200W+200W(4Ω) 200W+200W(8Ω) |
高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.003%(8Ω、定格出力時) |
混変調歪率(50Hz:7kHz=4:1) | 0.002%(20Hz~20kHz、200W、8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Control Amp In、CD Direct、Line、Direct:1V/50kΩ |
出力端子 | CD/Line Direct Out、Speaker A、B、Headphone |
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.1dB |
SN比 | 125dB(IHF、ショートサーキット・Aネットワーク) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 410W |
外形寸法 | 幅457x高さ154x奥行430mm |
重量 | 20.9kg |