Pioneer M-70
¥100,000(1990年発売)
解説
2ch/4ch切換え機能を搭載したAVパワーアンプ。
徹底した信号経路の最短化を図り、ダイレクトコンストラクションを搭載しています。
ダイレクトコンストラクションでは、入力信号はノイズ対策を施したシールドケースに収められたセレクターを経た後、フロントの部から真鍮ロングシャフトによりコントロールされる最短位置に設けたメインボリュームユニットにダイレクトに入ります。
レベル調整された信号は最短の距離で増幅部へ導かれ、ストレートにスピーカー端子に出力されます。
この信号の流れに無理のかからないように検討された回路レイアウトにより、80cmという最短化を実現しており、信号の歪や音質劣化の要因となっていた線材の使用を最小限にしています。
パワーアンプ部では、トランジスタの非直線性をキャンセルするため、パイオニア独自のスーパーリニアサーキットを採用しています。
これは、トランジスタが持っている非直線性を、全く逆の特性を持つ別のトランジスタと組合わせる事で、互いの非直線性を打ち消しあうという回路技術で、低歪の優れた特性を引き出しています。
このため、増幅段全体での帰還量をごく僅かに抑える事が可能になり、音質に悪影響を及ぼすコンデンサーの数や容量も減少しています。
電源部や大電流部で発生するノイズ電流が、信号経路に侵入することで入力信号を劣化させるのを防止するため、クリーングランドシステムが採用されています。
従来シャーシに単に固定されていた電源トランスとヒートシンクを、厳重な絶縁構造として取り付け、ノイズが侵入する接点を極力減らし、入力信号の経路とノイズの侵入経路とを分離しています。
さらにノイズの発生源である電源に戻るようにバイパス設定しており、これらの対策によってノイズ電流による悪影響を低く抑えています。
内部や外部からの様々な振動が回路基板を揺すって回路の不安定化を招き、ノイズや歪の発生の原因となるのを防ぐため、無振動・無共振化設計を徹底しています。
塩ビシートと鋼板の異種素材のサンドイッチ構造により振動減衰特性を大きく高めたボトムプレートとシールドケースを持つハイブリッドシャーシをはじめ、振動の分散・吸収効果が高く、強度も同時に向上したハニカム形状のヒートシンクとハニカムフレームによる強固な高剛性構造を構築しています。
さらに、シャーシフレームを直接ささえる5個のインシュレーターを採用しています。
各チャンネル同一の回路設計やスーパーリニアサーキット、ダイレクトコンストラクション、強力電源部により、2ch駆動時で120W+120W、4ch駆動時で70Wx4(いずれも6Ω)の出力を実現しています。
2ch/4ch切換え機能を搭載しており、入力は2系統3入力、スピーカー出力も2系統3出力となっています。
インプットセレクターにより、2ch、2chx2、4chのパワーアンプとして機能させれます。
デジタルサラウンドフィールドプロセッサーSP-91Dなどと組合わせて使う際のため、オートアウトプットセレクターを搭載しています。
これは、例えばSP-91Dにはサラウンドフィールドコントロールとドルビープロロジックデコードの機能があり、この2つのモード再生では、それぞれプロセッシングフロントスピーカーとセンタースピーカーというように出力するスピーカーの配置が異なります。
オートアウトプットセレクターでは、再生する入力モードを選ぶとそれに応じて自動的にプロセッシングフロントスピーカーかセンタースピーカーに切り換わります。
機種の定格
型式 |
AVパワーアンプ |
定格出力(20Hz~20kHz) |
2ch駆動: |
150W+150W(4Ω、0.02%)
120W+120W(6Ω、0.01%)
100W+100W(8Ω、0.009%) |
4ch駆動: |
75Wx4(4Ω、0.04%)
70Wx4(6Ω、0.03%)
55Wx4(8Ω、0.02%) |
|
ダイナミックパワー(EIAJテストシグナル) |
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高調波歪率(2ch駆動) |
0.005%(20Hz~20kHz、50W、8Ω) |
入力感度/インピーダンス |
Amp1、2:1V/40kΩ |
周波数特性 |
5Hz~150kHz +0 -3dB |
SN比(Aネットワーク、ショートサーキット) |
2ch駆動:120dB |
電源電圧 |
AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) |
320W |
外形寸法 |
幅420x高さ163x奥行424mm |
重量 |
20.2kg |