Pioneer A-150D
¥118,000(1985年頃)
解説
アンプのトータルバランスの向上を目指し、トライ・アングル・ドライブ・システムとして開発されたプリメインアンプ。
電源部の強化を図るため、パワーアンプのLchとRchのそれぞれに独立した大型パワートランスを採用しており、2つのトランスからおのおのの出力段、電圧増幅段へパワーを供給しています。
さらに、イコライザーアンプの電源部にも専用のトランスを配し、LchとRchへ電流を供給するという贅沢な設計になっています。
電源トランスを分離するだけでなく、コンストラクション自体にもセパレートアンプの理想を追求しており、パワーアンプ部は電源トランスだけでなく、整流回路、電源コンデンサーも完全にLch、Rch専用のものを採用し、さらに各部品や配線、放熱器等のレイアウトを完全に分離し、信号が交差しないようにするなど、モノラル構成に徹しています。これにより左右の相互干渉がなく、混変調歪の発生を抑え、高セパレーションを実現しています。
トーンコントロール、モードをジャンプするラインストレート回路の採用などにより、優れた解像度と透明感を得ると共に、CDのようなソースの能力を発揮しています。
激しいピーク成分を持ったデジタルソースの急激なインピーダンスの変動にも対応するため、Lch、Rchの電源部には片ch20,000μFという大容量電源コンデンサーを採用しています。
さらに、パワートランジスタを片chあたり3個並列接続してトリプルプッシュプルにするなど、通常のアンプの2~3倍もある32Aという電流供給能力を達成しています。
スイッチング歪が原理的に発生しないノンスイッチング・サーキットを、さらに改良したノンスイッチング・サーキットTypeIIを搭載しており、スイッチング歪ゼロの領域をさらに拡大し、一層の広帯域化を図っています。
また、電源スイッチON直後や大信号入力時、外気温の変化などによって絶えずドリフトしているアイドル電流を安定化させ、これに起因するサーマル歪の発生を抑えています。
さらに、入力信号と出力信号の差を検出・補正することで、出力段の非直線歪を約1/30に向上させています。
パーツひとつひとつにも吟味がされており、コンデンサーや抵抗などの主要部品には銅製のリード線を採用しています。また、主要配線材と極太電源コードにも無酸素銅線を採用した他、入出力端子にも非磁性の錫メッキを施すなど、徹底した非磁性化を図っています。
さらに、スピーカーターミナルはケーブルをガッチリ圧着する万力タイプを採用し、ロスのない電流供給を行っています。また、アースポイントを電源系と信号系に分離するなど、細部に至るまで技術的追求と徹底した試聴を繰り返しています。
ハイブリッドMCトランスを採用しており、昇圧比を半減することによって高域特性を大幅に向上させています。
これにより、位相特性に優れ、DCR(直流抵抗)も低く、ダインピングの効いた素直な低域再生を実現しています。
インピーダンス値も2つ設け、各種カートリッジとのマッチングを可能にしています。
入力端子は5系統あり、特にCDポジションでは回路的に最短配線とし、高品質パーツを使用するなどデジタル優先の仕様となっています。
さらに、テープモニター2系統も装備しており、トータルで7つの入出力に対応しています。
写真のサイドウッドは別売りでした。
機種の定格
型式 | ノンスイッチング・プリメインアンプ | ||||
実効出力 |
|
||||
高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.003%(実効出力時) | ||||
混変調歪率(50Hz:7kHz=4:1) | 0.003%(20Hz~20kHz、120W、8Ω) | ||||
出力帯域幅 | 5Hz~60kHz(IHF、両ch駆動、THD0.01%) | ||||
出力端子 | Speaker(4Ω~16Ω):A、B、A+B Tape Rec:150mV |
||||
ダンピングファクター | 100(20Hz~20kHz、8Ω) | ||||
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/50kΩ Phono MC:0.15mV/3Ω、0.25mV/40Ω CD、Tuner、AUX、Tape Play1、2:150mV/30kΩ |
||||
Phono最大許容入力(1kHz、THD0.003%) | MM:250mV MC:18mV |
||||
周波数特性 | Phono MM:20Hz~20kHz ±0.2dB CD、Tuner、AUX、Tape Play:2Hz~100kHz +0 -3dB |
||||
SN比 (IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) |
Phono MM:90dB Phono MC:76dB CD、Tuner、AUX、Tape Play:110dB |
||||
ステレオセパレーション | 90dB(1kHz) | ||||
トーンコントロール | Bass:±8dB(100Hz) Treble:±8dB(10kHz) |
||||
フィルター | Low:15Hz、6dB/oct. | ||||
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力(電気用品取締法) | 350W | ||||
外形寸法 | 幅420x高さ151x奥行427mm | ||||
重量 | 16.6kg | ||||
別売 | サイドウッド JA-A120(¥4,000) |