Pioneer A-0012
¥190,000(1979年頃)
解説
超広帯域にわたって低歪率でフルパワー再生するマグニワイド・パワーレンジ思想を実現するため、新素子、新回路を開発して実現したプリメインアンプ。
A-0012では高域スイッチング特性に優れた集団トランジスターRETを採用しています。この素子は、高周波特性に優れた小さなトランジスターを数百個並列合成したもので、破壊強度が高く、高い周波数でも低歪で大出力を取り出すことができます。
また、低域の特性向上のためにDCアンプ構成とし、超低域まで周波数特性を伸ばすとともに、中低域の位相特性を向上させています。
電源部は、動特性を重視した左右独立の大型トランスと、18,000μFx4のコンデンサーによる構成となっています。
さらに、大電流が流れるパワー部からスピーカー端子までを抵抗値が従来の太線の1/4になる極太14番線で配線しています。また、電源コンデンサーのアースラインには純銅板を使用すると同時に、各回路のプリント基板の銅箔を70μ厚に倍増するなど、徹底した低インピーダンス設計となっています。
AB級動作を採用しており、音楽信号の大部分をしめる3Wまでを、スイッチング歪、クロスオーバー歪が本質的になく、音質に定評のあるA級で動作します。
また、電力の利用率は一般のB級アンプに近い高能率なため、ピーク時における再生では120Wまでのダイナミックレンジを得る事が可能です。
MCヘッドアンプ、イコライザーアンプ、フラットアンプ、パワーアンプの4DC構成となっており、バッファーアンプを含めると実質的には5DCアンプと呼べる回路構成となっています。
全ての増幅段がDC化しているため、増幅回路のNFBループ内にある位相歪の原因となるコンデンサーが無く、広帯域にわたりフラットな位相特性を持ち、安定した動作が得られています。また、スピーカーからの逆起電力の制動を含めた過渡応答特性を高めています。
イコライザーアンプ部では、初段差動部に雑音特性の優れたローノイズデュアルFETを採用しています。
デュアルFETは、素子全体が高SN比であると同時に、カスケード接続によってFETのドレインーゲート間の電圧を抑えてノイズの発生を防ぐ事で、より高SN比を得ています。
MCヘッドアンプ部は全体を2系統にわけ、新開発のローノイズNPN・PNPトランジスタを2個ずつ平行接続する初段パラレル接続シンメトリカル3段直結A級SEPP-DCアンプ構成となっており、裸特性を重視してNFBをかけない時の直線性を向上させています。
また、シンメトリカル回路構成をとることで、SN比を向上させています。
フラットアンプ部は全段をDC化して音質を向上させています。
また、より純度の高い再生音を追及するためフラットアンプ・バイパススイッチを搭載しており、フラットアンプをジャンプしてバッファーアンプとパワーアンプを直結できます。
負荷抵抗5種類、負荷容量5種類が独立して選べ、合計25種類のカートリッジロードが設定できる切換えスイッチを搭載しています。
一般のBass/Trebleのメインコントロールの他に、サブコントロールとしての超低域と超高域のコントロールつまみを設けたツイントーンコントロールを搭載しています。
また、トーンコントロール回路をバイパスしてフラットな特性が得られるトーンON-OFFスイッチを搭載しています。
スロープ切換えが可能なサブソニックフィルターを搭載しています。
ボリュームには、摺動子や端子に耐蝕性に優れた金メッキを施した、デシベル表示の連続可変型精密ボリュームを採用しています。
Phono端子には金メッキ処理が施されています。
オーディオミューティングを搭載しています。
保護回路にはスピーカーA・Bそれぞれに専用の親子接点リレーを採用しています。
プリ部、パワー部の分割スイッチを搭載しており、別々に使用が可能です。。
機種の定格
型式 | ステレオプリメインアンプ |
<パワーアンプ部> | |
実効出力(両ch駆動、8Ω) | 120W+120W(5Hz~30kHz、THD 0.01%) 120W+120W(5Hz~100kHz、THD 0.05%) |
高調波歪率 | 0.01%(実効出力時、5Hz~30kHz、8Ω) |
混変調歪率(50Hz:7kHz=4:1) | 0.002%(実効出力時、8Ω) |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動、8Ω) | 5Hz~40kHz(THD 0.01%) 5Hz~100kHz(THD 0.05%) |
周波数特性(1W出力時) | 5Hz~50kHz +0 -1dB |
ダンピングファクター | 70(5Hz~30kHz、8Ω) |
SN比 | 120dB(IHF、Aネットワーク、ショートサーキット) |
<プリアンプ部> | |
入力感度/インピーダンス | Phono1、2(MM):2.5mV/100Ω、10kΩ、25kΩ、50kΩ、100kΩ Phono1、2(MC):250μV/100Ω Tuner、Aux、Tape play1、2:150mV/50kΩ |
カートリッジ負荷容量 | Phono1、2(MM):100pF、200pF、300pF、400pF、500pF |
Phono最大許容入力 (1kHz、THD 0.01%) |
MM:300mV MC:30mV |
高調波歪率(5Hz~30kHz) | 0.005%(1V出力) 0.01%(15V出力) |
周波数特性 | Phono:20Hz~20kHz ±0.2dB Tuner、Aux、Tape play:5Hz~300kHz +0 -1dB |
SN比(IHF、Aネットワーク、 ショートサーキット) |
Phono MM:91dB Phono MC:80dB Tuner、Aux、Tape play:100dB |
サブソニックフィルター | 15Hz、6dB/oct、12dB/oct |
フラットアンプバイパス | -20dB |
<総合> | |
ACアウトレット | 電源スイッチ連動:2系統 電源スイッチ非連動:2系統 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 400W(電気用品取締法) 980W(最大) |
外形寸法 | 幅454x高さ167x奥行468mm |
重量 | 24.7kg |