Ortofon MC10SuperII
¥26,000(1980年代後半頃?)
解説
SuperIIシリーズの設計思想をハイ・コストパフォーマンスに実現したMC型カートリッジ。
MC10SuperIIにはフリッツ・ガイガー社製スタイラスType2のオリジナルチューンナップ・バージョンを採用しています。これにより優れたトラッキング能力に加えて強度アップが図られ、カートリッジやヘッドシェルの調整にかかる手間を大幅に改善しています。
さらに、レコードの溝壁との接触面が広くなることで高域のトラッキング能力を改善し、レコードとスタイラスの摩耗や、歪と位相エラーを減少しています。
MC30SuperII、MC20SuperIIと全く同じ素材のピュア・アルミ引き抜き成型のメタル・ボディを採用しており、剛性を飛躍的に向上しています。さらに、ベースの設計変更が行われておりヘッドシェルとの接触状態を改善することでシェル取付時の剛性も向上しています。
カートリッジの金属部分から小さな火花として表れる静電気の問題を解決するため新開発の特殊カーボンファイバープレートを採用しており、底部に装着しています。このプレートがレコード表面全体から静電気をピックアップし、火花の発生を防止しています。
また、カーボンファイバープレートによって有害な共振も同時に防いでいます。
MC10SuperIIのアーマチュアには小さく軽い十字型のものを採用しており振動系を大きくすることなくコイルの巻線数を増加し、スタイラス質量を0.4mgに抑えています。さらに、両コイルのクロス部分は同形となりチャンネル・バランスが向上しています。
コイルはレコードの溝壁と同じように正確に90゜で取り付けられており、正確なステレオセパレーションを実現しています。
磁気システム部はより強力なマグネットとより効率の良いポールビースを実現するため再設計されており、必要なコイルの巻線数を最低限に抑えています。さらに、マグネットシステム全体をカートリッジ本体に取り付けることで安定性を向上し、内部共振を防いで高音域のレスポンスを改善しています。
ダンパーにはオルトフォン独自のWRD(ワイドレンジ・ダンピング)方式を採用しており、全周端数帯域にわたってフラットな特性を発揮し、コンプライアンスの向上も実現しています。
また、位相管理を統合したオルトフェイズ理論が設計に組み込まれ、正確な定位とより優れた音像、ティテールを獲得しています。
機種の定格
型式 | MCカートリッジ |
出力電圧 | 0.2mV(1kHz、5cm/sec) |
チャンネルバランス | 1dB以内 |
チャンネルセパレーション | 25dB以上(1kHz) |
周波数特性 | 20Hz~40kHz +4dB -1dB |
コンプライアンス(ダイナミック、水平) | 15x10-6cm/dyne |
針先形状 | フリッツ・ガイガーType2 |
適正針圧 | 1.8g |
内部インピーダンス | 3Ω |
自重 | 10g |