ONKYO Integra T-406
¥45,000(1978年頃)
解説
サーボロックを搭載したAM/FMステレオチューナー
T-406のサーボロック方式では、検波器の歪最小・セパレーション細大の音質最良点と、実際の通過信号とのズレを検出。高利得オペアンプICを使用して、局部発振器へフィードバックさせ、局発周波数を固定します。
このときの、同調周波数精度は、音質最良点に対して±5kHz以内で、低歪率受信を堅持。受信中の周波数ドリフトによって、音楽が劣化し、音楽のクリアネスが奪われる心配がありません。
選局操作時に、同調点±50kHz以内に入ると、ロックド・インジケーター(赤)が輝き、ロック範囲に入ったことを示します。チューニングの部から手を離すと、瞬時に最適同調点をロックし、チューンド・インジケーター(緑)が選局完了を示します。
再選局の場合は、チューニングの部に手を触れると、直ちにロック機構が解除され再びマニュアルチューニングの状態となります。この結果、周波数連続型のチューナーが宿命的に持っていた、センターチューニングの微妙な面倒さを解消し、敏速な正確選局を実現しています。
秀れたロック機構を搭載しており、同調ズレ=音質劣化の不安を一掃し、常に良好な低歪録音を可能にしています。
変調レベルを表示するデビエーションメーター搭載。
優れた音質を確保するために装備した第3のメーターで、FM放送の変調度を示します。例えば、200%変調といった広いダイナミックレンジの音楽放送は、50%変調時よりも+12dBの過大入力になります。このメーターによりテープデッキの録音レベル設定の際に、より動的な音楽の変調度を考慮することが可能になっています。
エアチェック・キャリブレーター装備。
50%変調、440Hz連続音を発振するエアチェック・キャリブレーターを装備し。テープデッキの適切な録音レベルを設定することによって、ダイナミックレンジの広い低歪率録音に役立ちます。
マルチパス出力端子付。直接視聴も可能。
70dBの強入力までマルチパスをリニアに検出する、マルチパス出力端子を装備しており、オシロスコープとの併用で、良好なアンテナセッティングに役立ちます。
また、オシロスコープの無い場合でもマルチパスV端子へアンプを接続して、歪成分だけを耳で確認することができます。
通常のアンプ接続用の可変出力端子の他に、録音専用出力端子を備えており、デッキへダイレクトに録音することが出来ます。
RF段に、雑音指数が低く、広ダイナミックレンジで知られるデュアルゲートMOS-FETを投入し、周波数直線型4連バリコンを使用したフロントエンドとなっています。
高感度と秀れた妨害波排除性能を両立させると共に、従来見過ごされがちだった混変調妨害や、近接する2つの強レベル局によって発生する受信障害=相互変調妨害の排除にも成果をあげています。
一方、局発においても、温度・湿度ドリフトの影響を抑えており、サーボロックの採用と相まって、歪最小・セパレーション最大の音質最良点維持に、威力を発揮します。
フロントエンドのミキサーで得た正確な中間周波数(IF)を増幅するIF部には、微分利得直視法によって厳しく選んだ広帯域リニアフェーズフィルタを使用すると共に、IFアンプには、高性能差動型ICを採用して充分なリミッター効果を得ています。
また、検波器も微分利得直視法によって、広帯域にわたるリニアな特性を得ており、音質の向上に寄与しています。
検波器から得たコンポジット信号を、左右のオーディオ信号へ分離するMPX部(ステレオ復調部)には、安定度の高いAFアンプ内蔵・新型PLL・ICを使用し、セパレーション50dB(1kHz)のステレオ信号を得ています。
ここでの歪の発生を抑えるために、安定したPLL・ICに、強化フィルタを追加し、MPX系全体としての低歪率化を徹底しており、全体としての音質向上に大きな成果を上げています。
FM放送でのオーバー変調対策として、広帯域リニアフェーズフィルタのIF部や低歪率MPX部に加えて、ダイナミックマージンの大きいAFアンプを採用し、150%変調時に0.15%以下、200%変調時に0.3%以下(ST・400Hz)の低歪率を実現しています。
走行長250mmのロングスケールダイヤル、動きのスムーズな大型フライホイール付チューニングノブなど、で秀れた操作感を実現。
さらに、AM受信部は、感度の良い2連バリコンと、選択度の高い、IFトリプルチューンフィルタを使用し、音質を高めています。
機種の定格
型式 | サーボロック方式AM/FMステレオチューナー | ||||||||
<FMチューナー部> | |||||||||
受信周波数 | 76MHz~90MHz | ||||||||
実用感度 | 1.8μV(IHF、300Ω) 10.3dBf(新IHF) |
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S/N50dB感度 | 3.0μV(IHF) 14.8dBf(新IHF) |
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イメージ妨害比 | 80dB(83MHz) | ||||||||
IF妨害比 | 95dB(83MHz) | ||||||||
S/N比 | mono:77dB stereo:73dB |
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スプリアス妨害比 | 90dB | ||||||||
2信号選択度(±400kHz離調) | 60dB | ||||||||
AM抑圧比 | 53dB | ||||||||
キャプチャーレシオ | 1.0dB | ||||||||
歪率 |
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周波数特性 | 20Hz~15000Hz +0.5 -1.5dB | ||||||||
アンテナインピーダンス | 75Ω、300Ω | ||||||||
ステレオセパレーション |
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キャリアリーク | -60dB | ||||||||
出力電圧(400Hz、100%変調) | 可変出力:0mV~1200mV 録音出力:450mV |
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出力インピーダンス | 可変出力:最大時2.2kΩ 録音出力:3.9kΩ |
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<AMチューナー部> | |||||||||
受信周波数 | 535kHz~1605kHz | ||||||||
実用感度(バーアンテナ) | 150μV/m | ||||||||
イメージ妨害比(1MHz) | 52dB | ||||||||
IF妨害比(1MHz) | 38dB | ||||||||
S/N比 | 60dB | ||||||||
歪率(400Hz) | 0.5% | ||||||||
出力電圧(400Hz、30%変調) | 可変出力:0mV~400mV 録音出力:150mV |
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<総合> | |||||||||
使用半導体 | 4IC、19Tr(1FET)、21Di | ||||||||
電源 | AC100V、50/60Hz | ||||||||
消費電力(電気用品取締法規格) | 14W | ||||||||
外形寸法 | 幅435x高さ108x奥行386mm | ||||||||
重量 | 6kg |