ONKYO M88
¥49,800(1台、1980年発売)
解説
ダイナミックレンジ、再生周波数レンジ、リスニングエリアの3ポイントにわたる拡大化方針を貫いて、パワフルかつニュアンス表現力に富んだ爽快な再生音の実現を図ったスピーカーシステム。
低域には回転抄造コーンを用いた28cmコーン型ウーファーを搭載しています。
この振動板は、従来ランダムに堆積していた繊維を、特殊な抄造法により一定の方向性を保ち同心円状に配列させたコーン紙で、腰の強さに加えて特に強度を増大させるため特殊樹脂も含浸させており、ハイパワー高能率を得ています。それと同時に、聴感上有害な奇数次調波の原因となる釣鐘振動も効果的に防止しています。
駆動部には、120φx60φx15mmのマグネットを使った磁気回路と、駆動力の大きい三層巻ロングボイスコイルで構成されており、耐熱性に優れたポリイミドボビンも採用した結果、従来に比べ25%の許容入力増を実現しています。
また、フレームには強固なアルミダイカストフレームを採用しています。
中域にはM90と全く同じ混抄コーンを用いた10cmのコーン型スコーカーを採用しています。
振動板の質量は0.37gと軽量でさらに高剛性を実現しており、広帯域再生を可能にしています。
また、0.54Lのバックチャンバーを設ける事で、低域の再生能力を改善しています。
高域には3cmダイレクト・ドライブ型トゥイーターを搭載しています。
このユニットは、12.5μのポリイミド箔に20μのアルミ箔を重ね合わせたフィルムに、円環状ボイスコイルパターンをエッチングした特殊なダイアフラムを直接駆動しています。
ダイアフラムの質量が26mgと軽量で、素材の高剛性が生かせているため再生上限周波数は70kHzまで伸び、さらに高耐入力も実現しています。
また、円環状というダイアフラム自体の形状と精密加工イコライザの採用により、全方向に均一な指向特性を確保しています。
ネットワークにはユニット間のつながりを重視した設計を施しており、コンピューターによるシミュレーションと繰返して行う聴感検査法を生かし、最適のネットワーク定数とユニット配置を決定しています。
高域、中域にレベルコントロールを搭載しています。
エンクロージャーでは、低域特性の改善を企図してバスレフポートの形状に工夫をこらし、また前面には制動材を設けることにより、音響抵抗をコントロールしています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
使用ユニット | 低域用:28cmコーン型(W3041C) 中域用:10cmコーン型(MD1011A) 高域用:3cmダイレクトドライブ型(TW322A) |
再生周波数帯域 | 34Hz~70000Hz |
最大入力 | 100W |
瞬時最大入力 | 800W |
インピーダンス | 6Ω |
出力音圧レベル | 92dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 700Hz、4500Hz(W、MD、TW共12dB/oct) |
キャビネット内容積 | 45L |
外形寸法 | 幅320x高さ625x奥行325mm |
重量 | 17.5kg |