ONKYO Integra H-1E
¥120,000(1994年頃)
解説
電子回路のヘッドアンプならではの周波数特性や歪率の良さを生かし、S/N比の向上を図ったMCヘッドアンプ。
S/N比を改善するため、ソース帰還型増幅回路を採用しています。
ソース帰還型増幅回路は、通常、直流パフォーマンスが非常に良いとの理由で初段に多く用いられる一般的な差動増幅器に比べ、入力段の等価ノイズ抵抗が2分の1となり、微小なレベルの信号を扱うヘッドアンプでS/N比の向上が図れます。
さらに、この回路を用いることでスルーレートが高くなり、広帯域再生を可能としています。
電源にはヘッドアンプのローノイズ特性を生かすため、ノイズパフォーマンスに優れた新開発SEPP(シングル・エンディッド・プッシュプル)電源を搭載しています。
プッシュプル動作により、出力電流変動に対するインピーダンスのリニアリティを改善し、高速応答性を実現しています。
また、電流の増加方向及び減少方向に対する応答性が対称となり、電源電圧の変動を低減できています。
イコライザーアンプは、セパレートアンプで実績のあるNF型を使用しており、さらに徹底的に厳選された高精度部品を採用することで優れた特性を獲得しています。
また、DCサーボ回路を搭載し、カップリングコンデンサーを廃止して音の純度を上げています。
電源部は、トランスから洩れ出るフラックスが音楽信号を汚さないよう、洩れを抑えた超低リーケージフラックス特性のLASERトランスを、ヘッドアンプ用とイコライザーアンプ用とにそれぞれ独立して搭載したツイン電源としています。
また、コンデンサーにはエネルギー感と高分解能を得るという相反する条件を両立させる難題に挑戦し、開発に3年の年月を費やして開発された、開発ナンバー923のブルーコンデンサーを搭載しています。
フロントパネル部に9mm厚のオールアルミ・モノコックシャーシを採用しています。
内外面に多くのリブを設けることで、シャーシの剛性の向上や不要共振の低減を図っており、さらにシャーシを支えるインシュレーターには剛性と制振性を兼ね備えたデュポンコーリアンを採用しています。
徹底して高音質化を図るため、高音質フィルムコンデンサーやカーボン抵抗、銅箔厚70μmのプリント基板を採用しています。
また、PIN端子は剛性の高い真鍮削り出し金メッキターミナルを使用しており、このターミナルのリアパネルの取り付けは左右1ペアを2点止めとし、リジッドに固定しています。このPIN端子は、左右のターミナル間隔を18mmとし、極太PINプラグの使用を可能にしています。
ミューティング回路は、作動時の不快なノイズを抑えたソフトミューティング回路で、音質に影響を与えないシャント型を採用しています。
機種の定格
型式 | フォノ・プリアンプ |
入力感度/インピーダンス | MC(Hi):150μV/100Ω MC(Lo):150μV/50Ω MM:3.0mV/47kΩ |
許容入力 (1kHz、0.05% THD) |
MC:6.0mV MM:120mV |
定格出力/インピーダンス | 300mV/200Ω |
最大出力 | 12V |
全高調波歪率 (20Hz~20kHz、3V Output) |
MC:0.003%以下 MM:0.0008%以下 |
S/N比(A-weighted) | MC:80dB(0.5mV入力/入力ショート) MM:88dB(5.0mV入力/入力ショート) |
RIAA偏差 | ±0.15dB(20Hz~20kHz) |
出力ミューティング減衰量 | 65dB以上(Soft Muting) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) | 18W |
外形寸法 | 幅435x高さ85x奥行359mm |
重量 | 6.6kg |