ONKYO Integra A-820GTR
¥175,000(1982年頃)
解説
スーパーサーボ・インテグラル方式や、デルタターボ電源を搭載したプリメインアンプ。
大型電源のもつ力強さの原因を理論的に裏づけるとともに、エネルギー感の再現を阻害していた要因を従来の約1/10まで低減する新回路「デルタターボ電源」を採用しています。
アンプの電源回路は一般にトランス、整流器、平滑用ケミコンで構成されており、動作上はケミコンにチャージされたDC電流が電池のように働き、スピーカーに電力を供給しています。
しかし、実際に動作する時には、ケミコンのインピーダンスが音声信号の周波数によって変動するため、理論どおりの電池として働かない時があります。すなわち、音声信号の周波数が高い時には、インピーダンスは充分に低くなるため問題はありませんが、低い周波数に対してはケミコンとパラレルに入ったトランスの影響が出ます。
つまりトランス側の交流電源に発生する歪が、そのままパワー回路に影響を与える事となり、これが低域エネルギー感の再生を阻害することになっています。
ケミコンの容量が小さいと、電流でチャージする際に特に低い周波数の音声出力に対し、チャージ電流が音声信号に同期して変動して混変調歪が発生します。さらに、低い周波数の音声信号に対しては、この歪発生源がケミコンとパラにつながるため、その影響はパワーアンプ回路に出てくることになります。
デルタサーボ電源は、上記のような電源での歪発生のメカニズムを解明した結果開発されたもので、ケミコンやトランスはこれまで通りの大きさのままで、電源で発生する混変調歪を約1/10(-20dB)まで低減できています。
言い換えると、電源回路を10倍の大きさにしたのと同等の効果を得ています。
アンプ部にはスーパーサーボインテグラル方式が採用されています。
音場において他チャンネルの音圧等の外部要因によって、スピーカーに誘起される起電力が、音波の伝播時間だけのタイムラグをもってアンプの出力段に流れ込み、出力段のノンリニアに起因する混変調歪を発生します。
この時間差混変調歪を徹底的に追放することで、これまで左右のスピーカーの間に押し込められていた再生音場のベールをとっています。
また、アンプの出力側+と−の両端子からその入力側にサーボ帰還をかけ、特に超低周波での有害な雑音成分をカットするとともに、アースラインにあるごくわずかな各種の抵抗分が累積したインピーダンスに生じる、歪の基ともなる雑音成分の抑圧を行っています。
MC対応のストレート・ハイゲインイコライザと、パワー部だけの2アンプ構成を採用しており、共に裸特性の向上を実現し、従来の1/10以下という低帰還方式にすることで、聴感上のクオリティ向上と安定動作を保証しています。
またトーン回路についてもトーンブースト時に備え、余分なゲインを常にもたせておく方式に代わり、音質に影響を与えることの少ないパッシブ素子のみで構成されたダイレクトトーンを採用しており、トーンディフィートをしなくても、より良い音質を楽しめるようになっています。
入力プログラムソースのクオリティに合わせて、分解能を切換えて音のキャラクターを適宜にコントロールできるソフトネススイッチを搭載しています。
例えばAM放送の様にグレードの低いソースや、極端に個性の強いカートリッジやスピーカーとの組み合わせの際に、音を聴きやすくします。
再生音による空気振動で、アンプの回路基板自体がゆさぶられ、マイクロフォニック雑音が発生して再生音を濁らせるのを防ぐため、特殊な構造体強化材としてスーパースタビライザを採用しています。
オンキョウ独自のリニアスイッチング方式を採用しており、A級に匹敵する低歪率と、B級の効率の良さを合わせ持っています。
有害な高次高調波の発生を抑える非磁性体材料を使用しています。
保護回路を内蔵しています。
純金メッキの入出力端子を採用しています。
特殊音質改善型抵抗器を使用しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ | ||||
定格出力(20Hz~20kHz) | 120W+120W(AUX→SP Out、8Ω、両ch駆動) | ||||
全高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.008%/0.006%(AUX→SP Out、定格出力時 / 1/2出力時) 0.003%(Phono MM→Rec Out、3V) 0.01%(Phono MC→Rec Out、3V) |
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混変調歪率(AUX→SP Out) | 0.008% | ||||
パワーバンドウイズス | 5Hz~100kHz(IHF -3dB、THD 0.2%) | ||||
ダンピングファクター | 100(1kHz、8Ω) | ||||
周波数特性 |
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入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ、100kΩ Phono High MC:2.5mV/100Ω Phono MC:150μV/100Ω、330Ω Tuner、AUX、Tape Play:150mV/47kΩ |
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Phono最大許容入力 (1kHz/10kHz、0.05%) |
Phono MM:300mV/1400mV Phono High MC:300mV/1400mV Phono MC:19mV/90mV |
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出力電圧/インピーダンス | Tape Rec:150mV/2.2kΩ Pre Out:1.5V/600Ω |
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S/N比(IHF ショート) | Phono MM:88dB Phono MC:70dB Tuner、AUX、Tape Play:100dB |
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トーンコントロール(Vol -16dB) | Bass:±8dB(70Hz) Treble:±8dB(20kHz) |
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ラウドネス | +4dB、+6dB(100Hz) | ||||
サブソニックフィルター | 15Hz 20Hz、6dB/oct | ||||
ミューティング | -20dB | ||||
電源 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 200W(電気用品取締法規格) | ||||
ACアウトレット | unswitched:1個(200W) switched:2個(合計200W) |
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外形寸法 | 幅471x高さ175x奥行431mm | ||||
重量 | 23kg |