NEC A-820
¥69,800(1981年頃)
解説
独自の回路設計や素子の開発まで含めた、徹底した音質重視設計のプリメインアンプ。
新開発のアクティブドライブ回路(AHSST:Accelerated High Speed Switching Technology)を搭載しています。
この回路ではパワートランジスタのベース回路に定電圧回路を用いており、パワートランジスタに蓄積される余剰のキャリアや分布容量などにある電化を速やかに放電させることでトランジスタのスイッチングスピードを速めており、スイッチング歪の発生を防止しています。
さらにパワートランジスタには新開発のハイスピードトランジスタを採用しており、スイッチング歪や音質の改善を実現しています。
IFCAT(Independent Feedback Cascade Amplification Technology)を搭載しています。
スピーカーを接続して動作しているパワーアンプではスピーカー固有の共振や振動によって発生する逆起電力がアンプのフィードバック回路を通してスペック上に表れない音質の劣化を招いています。
IFCATではパワーアンプの電圧増幅段と電流増幅段を独立構成とし、フィードバック回路も分離させています。これにより逆起電力の影響が電圧利得を持つ電圧増幅段に及ばないため、音質の劣化を防ぎ、同時に高調波歪の発生も防いでいます。
シャーシ構造は、入力端子から出力端子への信号の流れが交錯せずに最短となる理想的なコンストラクションを持たせています。
電源部はLchとRchのクロストークを防ぐダイレクトパワーサプライ方式を採用しています。
フォノ入力端子には金メッキ端子を採用すると共に大電流部の銅板アースなど音質を重視したパーツを採用しています。
MCカートリッジがダイレクトに使えるヘッドアンプを内蔵しています。
初弾にはHigh-gmジャンクションFETを使用しており、十分なS/N比を確保しています。
トーンアンプ回路には低雑音OPアンプを用いたNF型を採用しています。
10ポジションのロータリークリックストップボリュームを採用しています。また、フラットな特性が得られるトーンディフィートスイッチを搭載しています。
ファンクションには自照式を採用しており、グリーンで使用モードが点灯します。
RECセレクターやミューティングスイッチ、サブソニックフィルターを搭載しています。
機種の定格
型式 | インテグレーテッドアンプ |
<パワーアンプ部> | |
回路方式 | アクティブドライブ、初段コンプリメンタリー差動入力 ピュアコンプリメンタリーDCアンプ |
実効出力(20Hz~20kHz) | 80W+80W(8Ω) |
全高調波歪率 | 0.003%(実効出力時) |
混変調歪率 | 0.005%(実効出力時) |
出力帯域幅 | 5Hz~100kHz |
ダンピングファクター | 60(20Hz~20kHz) |
<プリアンプ部> | |
回路方式 | High-Gm FET差動入力+DC |
入力感度/インピーダンス | Phono MC:0.25mV/100Ω Phono MM:2.5mV/47kΩ Tuner、Other:150mV/47kΩ |
SN比 | Phono MC:72dB Phono MM:89dB Tuner:110dB Other:104dB |
トーンコントロール | Bass:±8dB(100Hz) Treble:±8dB(10kHz) |
ラウドネスコントロール | +6dB(100Hz)、+3dB(10kHz) |
サブソニックフィルタ | 15Hz、-6dB/oct |
ミューティング | -20dB |
<電源部その他> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 220W |
外形寸法 | 幅430x高さ130x奥行き340mm |
重量 | 10kg |