Nakamichi CR-20
¥70,000(1989年頃)
解説
3ヘッドの廉価版としてではなく、2ヘッドの最高級機を目指して開発されたカセットデッキ。
ヘッドにはセンダスト録再兼用ヘッドであるRP-2Gを採用しています。
このヘッドはクリスタロイヘッドの開発で培われたナカミチ独自の精密加工技術によって製造されており、コア材に一切のストレスを与えない加工法や、工程ごとに行われる歪防止の特殊処理によって加工歪大幅に減らし、理論上の特性に限りなく近い録再兼用ヘッドを実現しています。これにより、ギャップ幅1.2ミクロンというごく普通のヘッドで20Hz~20kHzの優れた特性を獲得しています。
メカニズム部にはナカミチ独自のサイレントメカニズムを採用しています。
この方式では、マイクロプロセッサー制御の専用モーターの働きによってヘッドベースの上げ下げなどの微妙な動作もスムーズに行っており、テープやヘッドが傷むのを防いでいます。
また、リールモーターには新開発の負荷感応型リールドライバーを採用しており、左右のリール軸にかかる負荷を検知することで駆動力を常に最適に保っています。これによりテープの傷みを防ぐとともに聴感上のフラッター成分も低く抑えられています。
アンプ部にはリファレンスDCアンプを採用しています。
あえて2ヘッド方式としたことで、限られたコスト内でのクオリティを追求できており、ダイナミックレンジ+20dB以上、単体歪率0.005%以下の優れた特性を実現しています。
また、基板レイアウトにはデュアルモノ構成を採用しています。
高精度ワンウェイトランスポートを採用しています。
電源部にはマルチレギュレーテッドパワーサプライを採用しており、相互干渉を排除しています。
アコースティックインシュレーターを採用しており、外部振動の影響を低減しています。
ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/CタイプNRを搭載しています。
独立イコライザースイッチを搭載しています。
アウトプットボリュームを搭載しています。
システムリモート端子やヘッドホン端子を搭載しています。
内部には約30箇所の調整機構が設けられており、製造工程において全項目を入念に調整することで各個体の誤差をギリギリまで追い込み、優れた特性を獲得しています。
例えば、一般的なカセットデッキではバイアス調整用の半固定ボリュームがL/R各一個しか無いため、3つのテープポジションのうち1つしか正確に調整できません。これに対し、CRシリーズではL/R用として合計6個の半固定ボリュームを搭載しており、全ポジションでの特性を限界まで追求することで、ノーマルポジションでも優れた音質を獲得しています。
さらに、完璧に調整されたデッキに対して、実に56項目にも及ぶ特性実測が行われ、あらゆる項目を厳密に1台1台測定し、十分にスペックを満たした個体のみ出荷されています。
機種の定格
型式 | カセットデッキ |
周波数特性 | 20Hz~20kHz ±3dB(録音レベル-20dB、ZX(typeIV)、SX(typeII)、EXII(typeI)テープ) |
総合S/N(70μs、ZX(typeIV)テープ) | ドルビーCタイプNR on:70dB以上 ドルビーBタイプNR on:64dB以上 |
ワウ・フラッター | 0.06%以下Wrms ±0.11%以下Wpeak(EIAJ) |
歪率(ZX(typeIV)テープ) | 0.6%以下(EIAJ) 1.0%以下(全高調波、400Hz、0dB) |
付属機構 | バイアス微調整ボリューム 独立イコライザースイッチ MPXフィルター ワンタッチレックポーズ レックミュート タイマーレック/プレイ機構 メモリーストップ機構 オートリピート機構 |
消費電力 | 最大24W |
外形寸法 | 幅430x高さ100x奥行265mm |
重量 | 約5.4kg |
別売 | リモートコントロールユニット RM-5(¥6,000) |