Nakamichi CassetteDeck1
¥99,800(1990年頃)
解説
ナカミチの伝統を受け継ぐ新時代のリファレンス機として開発されたカセットデッキ。
消去/録音/再生をそれぞれ専用のヘッドに受持たせる3ヘッド方式を採用しており、ヘッドの形状、素材、ギャップ幅をそれぞれ最適化でき、特性をギリギリまで追い込む事が可能です。
録音ヘッド、再生ヘッドのコアには、理想に近い磁気特性を持ち、音質に優れたクロスタロイを使用しています。さらに、特殊構造を採用することで、ヘッドの片減りを防ぎ長寿命を実現しています。
また、ヘッドのコイルにはトップ・グレードの無酸素銅(OFC)線を採用しています。
再生ヘッドのアジマスをマニュアル操作によって微調整できる新機構を搭載しており、再生中に最良の高域レスポンスが得られるポイントを割り出す事ができます。
メカニズムには、周波数分散型クローズドループ・ダブルキャプスタンを採用しています。
この方式では、共振周波数の重なりによる変調ノイズの増大を避けるため、径の異なる2本のキャプスタン及びフライホイールを採用しており、さらにヘッドベース・アッセンブリーに振動吸収材を用いることで、振動を抑圧し、音質への悪影響を排除しています。
この構造により、カセットに装備されているヘッドタッチを安定させるためのテープパッドが不要になっており、テープパッド・リフターという独自の機構により、テープパッドによる変調ノイズを防いでいます。
録音アンプおよび再生アンプには高品質な素子を使用し、チャンネル間の干渉を断つデュアルモノコンストラクションを採用しています。さらに、歪の原因となるカップリング・コンデンサーを排除したDCアンプ構成としています。
録音アンプ回路はピュアA級で、安定性の高い動作を得ています。各テープポジションごとに、LR独立で録音レベル、バイアスレベルの計12ヶ所の調整回路により、テープの能力を引き出します。
また、再生アンプ回路はディスクリート素子のみで構成し、トランスポート側の再生ヘッド・アッセンブリと一体化しており、ケーブルの引き回しによる信号伝送ロスを抑えています。
電源回路はステージごと、セクションごとに独立して電源供給を行うマルチレギュレーテッド・パワーサプライ方式を採用し、ノイズ混入などの相互干渉を防いでいます。
マイクロプロセッサー制御によるモータードライブのサイレントメカニズムや、テープたるみ防止機構、バイアス微調整ボリューム、プログラムチェック、ディフィート付MPXフィルターなどを搭載しています。
ノイズリダクションとして、ドルビーB/C NRを搭載しています。
タイマー録音/再生機構を搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
ヘッド | 録音:R-3L録音ヘッド 再生:P2H-3L再生ヘッド 消去:E-4F消去ヘッド |
モーター | キャプスタン駆動用:DCサーボモーター リール駆動用:DCモーター カム駆動用:DCモーター |
ワウ・フラッター | ±0.06%以下 WTD Peak(EIAJ) 0.035%以下 WTD RMS |
周波数特性 | 20Hz~21kHz ±3dB(録音レベル -20dB、TypeI/II/IV、EIAJ) |
S/N比(70μs、TypeIV) | DolbyNR B on:66dB以上(400Hz、3%THD、IHF A-WTD RMS) DolbyNR C on:72dB以上(400Hz、3%THD、IHF A-WTD RMS) |
総合歪率 | 0.8%以下(400Hz、0dB、TypeIV) 1.0%以下(400Hz、0dB、TypeI/II) |
チャンネルセパレーション | 37dB(1kHz、0dB、EIAJ) |
クロストーク | 60dB以上(1kHz、0dB、EIAJ) |
消去率 | 60dB以上(100Hz、+10dB) |
バイアス周波数 | 105kHz |
入力感度/インピーダンス | ライン:50mV/40kΩ |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.5V/2.2kΩ(400Hz、0dB、出力レベルボリューム最大) ヘッドホン:5.0mW/8Ω(400Hz、0dB、出力レベルボリューム最大) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 最大25W |
外形寸法 | 幅430x高さ100x奥行320mm(EIAJ) |
重量 | 約5.4kg |