オーディオの足跡

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700ZXLの画像
 解説 

高い性能を持たせつつ豊富な機能によって操作性の向上を図ったカセットデッキ。

使用するテープに適合したアジマス、バイアス、レベル、イコライザーが設定できるA.B.L.E.(Azimuth、Bias、Level、Equalizer)オートキャリブレーション・プロセッサーを搭載しています。
A.B.L.E.の自動調整は、まず使用するテープに合わせ、ノーマル系(EX)、クローム系(SX)、メタルテープ(ZX)のテープセレクター及び再生イコライザー120μs(ノーマル系)、70μs(クローム、メタル系)をセットします。そして、操作ボタンによって調整指示を行うとフローチャートの流れで自動調整されます。
自動調整はまず録音再生レベルと録音ヘッドのアジマス調整が400Hzテストトーンの録音再生で行われ、次に400Hzと15kHzのテストトーンを-20dBで録音再生し、その出力レベルが等しくなるようにバイアス電流を増減します。この動作をもう一度繰り返した後、7kHzテストトーンを録音再生し、その出力レベルによって録音イコライザーを調整します。調整が終了するとテープは自動的にテープカウンター0000の位置まで巻き戻されます。
調整中はディスプレイパネルの表示が点滅し、完了と同時に点灯します。また、調整範囲から外れた場合は全ての文字が点滅して知らせます。

A.B.L.E.で調整されたアジマスを除くコンディションのデータはテープセレクターのポジションを含め全てメモリーできます。さらに、再生イコライザーのポジション(70μs/120μs)、ドルビーNRのin/outまたは外部ノイズリダクションを使用しているかの情報までメモリーできます。
保存は、調整終了の時点でTape MemoryボタンのA/B/C/Dの任意の位置にメモリーできます。

コードメモリーによる30曲までの自動選曲システムRAMM(Random Access Music Memory)を搭載しています。
RAMMでは、録音中にマイクロコンピューターによってコード化された曲順アドレスを順次記録し、再生時にこのコード信号を読み取ってプログラムされた曲順どおりに再生を行います。コード信号の記録は曲間ブランクを自動的に行うことも、好みの位置にマニュアルで行うことも可能です。コード化は15ポイントまで行え、メモリー(リピート)再生は30曲まで可能です。
また、録音時に設定した再生イコライザーのポジション(70μs/120μs)、および内蔵のドルビーBタイプNRのin/outまたは外部接続のノイズリダクションを使用しているかの情報も同時に記録します。このため、RAMMコードが記録されたテープを再生する場合はイコライザースイッチやドルビーNRスイッチを操作する必要がありません。
コード信号は5±0.1Hzという低域の周波数をL/R逆位相で用いているため、再生音に影響を与えません。

RAMM機能のオート動作によるコード信号の記録は、2秒以上の無音部分(ブランク)があるとそれを検知し、自動的に1~15のアドレスコード信号が記録されます。
また、マニュアル操作によるコード信号の記録では、曲間や曲中の好みの位置にコード信号を記録することができるため、曲中の1パートだけのリピートも可能です。
オート動作による記録中にマニュアルで記録することもできます。

ヘッド部にはナカミチ独自のディスクリート3ヘッド構成を採用しており、録音ヘッド、再生ヘッド、消去ヘッドを構造上完全に分離することで正確なアジマス調整を可能にしています。
ヘッドはカセット中心窓に再生ヘッド、録音ヘッドを、左側小窓に消去ヘッドを配置しています。いずれもダブルキャプスタンの間に配置されており、安定したテープテンションによってスペーシングロスの無いヘッドタッチを確保しています。

再生ヘッドにはP-8L型再生ヘッドを採用しています。
このヘッドにはラミネート・クリスタロイコアを採用しており、小型化されたうえに0.6ミクロンというナローギャップによって再生時に起こる数々の損失を排除し、超高域再生を可能にしています。さらに、低域のうねり(コンターエフェクト)を無くす形状をとることで超低域でのフラットな再生が可能です。
また、コアの片減り現象を無くす特殊形状を採用しており、1万時間以上(ナカミチ実験値)の長寿命を確保しています。

録音ヘッドにはR-8L型録音ヘッドを採用しています。
再生ヘッドと同様にクリスタロイのラミネートコアを採用し、3.5ミクロンギャップとなっています。これにより高保磁力を得るとともに、高密度テープを使用した時にもシャープなクリティカルゾーンが得られます。さらに、大きなバイアス電流をかけた場合も磁気歪や飽和を起こさず、低域から高域までMOL(最大出力レベル)の高い録音が可能です。
また、このヘッドにも特殊形状を採用しており、再生ヘッドと同じく1マン時間以上の寿命を確保しています。

消去ヘッドにはE-8L型消去ヘッドを採用しています。
このヘッドはフロントに磁束密度の高いセンダストを配し、他の部分を高周波特性の優れたフェライトコアで構成したダブルギャップ型となっています。

メカニズム部には周波数分散型ダブルキャプスタンや共振制動型シャーシなどのナカミチのノウハウが投入されています。

キャプスタン部には周波数分散型ダブルキャプスタン方式を採用しており、安定したテープ走行と均一なヘッドタッチを実現しています。さに、二つのキャプスタンの直径がサプライ側3mm、テイクアップ側2.5mmと異なっており、フライホイールの直径も変えることで、フラッター周期が重なるのを避け、回転ムラの低減と変調ノイズの改善を果たしています。
また、テープパッドリフターを装備しており、パッドの圧力不均一やパッドスプリング材の微振動による悪影響を防止しています。

シャーシには共振制動型シャーシを採用しています。
このシャーシでは材料に鉄に比べて減衰特性の大きなアルミニウムアロイを使用し、さらに樹脂をアウトサートすることで微振動を吸収し共振の発生を防いでいます。

メカコントロールにはC-MOSロジックによるテープコントロールを採用しており、カムをモーターで駆動する構造となっています。
この方式はプランジャー駆動に比べて操作音が非常に小さく、さらにソフトにテープに接触できるためテープやテープトランスポートへのダメージが少なくなっています。また、内部での温度上昇が少なく、消費電力も少ないという特徴を持っています。

メインモーターにはPLLサーボモーターを採用しています。
このモーターでは回転数変動を検知し基準信号と位相を比較することで正確な回転数に制御しており、高精度な回転を可能にしています。

再生アンプでは再生ヘッドと初段アンプ間を直結しており、イコライザー回路にはダブルNF回路を採用することで直流の安定化と歪の低減を図っています。

録音イコライザーアンプでは、終段アンプと録音ヘッドを直結し、さらにダブルNF回路を採用することで録音時の歪を低減しています。録音入力はL/R/ブレンド(センター)の3ポイント・マイク入力とライン入力がミキシングできる方式となっており、サブソニックフィルターやMPXフィルターを切替使用できます。

ノイズリダクションシステムとしてドルビーBタイプを内蔵しています。

エキストラ端子を搭載しており、別売のノイズリダクションシステムが接続できます。
外部のノイズリダクションを使用する場合は、シーリングパネルのNRスイッチを切替て使用します。

LEDピークレベルメーターを搭載しています。
コノメーターはレベルレンジ50dB(-40db~+10dB)、片チャンネル30セグメントのバーグラフによってピークレベルとピークホールドを同時表示できます。ピークホールドは約6~7秒間表示されたのち、リセットされます。

4桁デジタルテープカウンターを搭載しています。
このカウンターでは0000を基点にプラス方向は9999まで、マイナス方向は-999までカウントでき、メモリースイッチと連動してメモリー再生/ストップができます。
カウントはリール軸と直結して精密なパルス検出を行う方式となっており、誤差を少なく抑えています。

A.B.L.E.やノイズリダクションの状態、RAMMなどの情報が確認できるディスプレイを搭載しています。

2段階にスピードを変えられるキューイング機構を搭載しています。

無音録音部が作れるRecMute機構を搭載しています。

400Hzテストトーンを内蔵しています。

タイマー録音/再生が可能です。

高出力タイプのヘッドホン端子を搭載しています。

別売でリモートコントロールユニットがありました。
RM-300ではRAMM操作を含む全てのテープオペレーションが操作できます。また、4桁のデジタル表示テープカウンターが装備されています。
RM-200ではRAMM操作を除く通常のテープオペレーションのリモートコントロールが可能です。

機種の定格
型式 カセットデッキ
トラック型式 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式
ヘッド 3ヘッド(消去x1、録音x1、再生x1)
モーター(テープ駆動用) キャプスタン用:PLLサーボモーターx1
リール用:DCモーターx1
テープ速度 4.8cm/秒
ワウ・フラッター 0.04%以下Wrms
0.08%以下Wpeak
周波数特性(A.B.L.E使用) 20Hz~20kHz±1.5dB(18Hz~24kHz±3dB)
(Nakamichi EX、EX II、SX、ZXテープ、録音レベル-20dB)
総合S/N比(70μs、ZXテープ、IHF-A、rms) Dolby B NR in:66dB以上(400Hz、3%THD)
Dolby C NR in:72dB以上(400Hz、3%THD、NR-100使用)
総合歪率(400Hz、0dB) 0.8%以下(ZXテープ)
1.0%以下(SX、EX IIテープ)
消去率 60dB以上(100Hz)
チャンネル・セパレーション 37dB以上(1kHz、0dB)
バイアス周波数 105kHz
入力 Line:50mV/50kΩ
Mic:0.2mV/10kΩ
NR:100mV/50kΩ
出力 Line:1V(400Hz、0dB、アウトプットレベル最大)
Headphone:45mW(400Hz、0dB、アウトプットレベル最大)
NR:100mV/2.2kΩ
電源 100V、50/60Hz
消費電力 最大50W
外形寸法 幅500x高さ262x奥行250mm
重量 約14kg
別売 リモートコントロールユニット RM-200(¥6,000)
リモートコントロールユニット RM-300(¥28,000)
ドルビーCNRユニット NR-100(¥29,800)