オーディオの足跡

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682ZXの画像
 解説 

スタンダードスピードのみのシングルスピード機として、680ZXの第2世代として開発されたステレオカセットデッキ。
録音系、再生系にそれぞれ独立したドルビーNRプロセッサーを採用し、ディスクリート・3ヘッド構成のメリットを生かしています。

メカニズム部には、周波数分散型ダブルキャプスタン方式を採用しており、安定したテープ走行と均一なヘッドタッチを実現すると同時に、二つのキャプスタン直径、及びフライホイール直径を変えたことから、フラッターの周期が重なる事が避けられ、回転ムラの低減と変調ノイズの改善をはたしています。また、テープパッドリフターを装備することで、パッドの圧力不均一やパッドスプリング材の微振動による悪影響を防止しています。
さらに、モーターやその他の回転体から生じる振動がテープに伝わると、フラッターを増加させる原因になります。これを低減するため、シャーシ材料として鉄に比べ減衰特性の大きなアルミニウムアロイを使用しており、これに樹脂をアウトサートすることで、微振動を吸収し共振の発生を防いでいます。

メカニズムの動作は、コントロールボタンを押すとロジック回路が働き、コントロールモーターによってメカニズムどを動作させる構造となっています。
ソレノイドプランジャーを用いず、カムをモーターで駆動する方式により、操作音の低減と、テープやトランスポートへのダメージの低減、温度上昇の低下、低消費電力化を実現しています。
メインモーターにはPLLサーボモーターが採用されており、回転数変動を検知し基準信号発振器の信号と位相を比較し、正確な回転数に制御するため、高精度な回転を実現しています。

ヘッドには、録音ヘッド、再生ヘッド、消去ヘッドが構造上完全に分離したディスクリート3ヘッド方式を採用しています。
再生ヘッドにはP-8L型を採用しています。クリスタロイのラミネートコアを採用することで、0.6ミクロンというナローギャップにより再生時に起る損失を防ぎ、22kHzまで伸びる周波数特性を実現しています。さらに、低域のうねり(コンターエフェクト)をなくす形状をとっており、超低域までのフラットな再生を実現してます。また、コアの片減り現象を無くす特殊形状を採用することで、1万時間以上の耐久性を実現しています。
録音ヘッドにはR-8L型を採用しています。再生ヘッド同様にクリスタロイのラミネートコアによる3.5ミクロンギャップとなっています。また、このヘッドにも特殊形状を採用し、再生ヘッドと同様に1万時間以上の耐久性を確保しています。
消去ヘッドにはE-8L型を採用しています。高周波特性のすぐれたフェライトコアと先端に磁束密度の高いセンダストコアを使用したダブルギャップ型となっています。

録音イコライザー回路、再生イコライザー回路、および出力ラインアンプ回路には、電解コンデンサーにネガティブフィードバックをかけるダブルNF回路を採用しています。これによりコンデンサーによって発生する歪を低く抑えると同時に、直流安定化を図っています。
また、録音イコライザーと録音ヘッド、再生ヘッドと再生イコライザーアンプを、それぞれ直結してカップリングコンデンサーを排し、録音時、再生時の歪の改善、低域の位相ずれを防止するなど、特性の改善を図っています。

オートキャリブレーション機能を搭載しており、一つのキャリブレーション操作でアジマス調整と録音再生レベルの調整が同時に、しかも自動的に行えます。
アジマス調整は、録音ポーズからAuto CalボタンとPlayボタンを押すことで調整を開始します。まず400Hzテストトーンが録音、再生され、左右チャンネルの位相差を検出し、その信号がオペアンプに送られモーターをコントロールすることで、ベルトとギアを介し連結されたレバーを動かし、録音ヘッドの傾斜角を調整します。アジマスずれが無くなると位相差もなくなり、モーターが停止して調整が完了します。
アジマス調整が開始されると、同時にレベル調整も開始されます。400Hzテストトーンが再生された信号はバッファアンプを通して検波され、コンパレーターに加えられます。コンパレーターで基準信号と比較され、その電圧差によりモーターが回転し、連結されたキャリブレーション用スライドボリュームを動作させ、録音ヘッドの信号電流(録音レベル)を変化させます。これにより再生出力レベルが変化して、基準レベルと等しくなるとモーターは停止し、調整が完了です。
調整時間は、アジマス調整も含め約6秒で、その誤差は±0.5dBの範囲となっています。また、調整範囲は基準値から±2.5dBで、通常の音楽用テープは十分カバーします。

バイアス電流を使用テープに適した値に調整できるバイアス調整機能を搭載しています。
この調整は15Hz(-20dB)テストトーンの録音再生により、レベルメーターに表れた指示値を見ながら調整します。この時レベルメーターの指示値は、調整しやすいよう20dB拡大されます。
調整用ボリュームは、テープセレクター別、左右チャンネル別に設けられており、調整範囲はEXポジション(ノーマル系)±4.5dB、SXポジション(CrO2系)±3dB、ZXポジション(メタルテープ)±6dBとなっています。

ノイズリダクションとしてドルビーBタイプNRに加え、より高いノイズ低減効果を持つドルビーCタイプNRを搭載しています。
ドルビーCタイプNRは基本的にBタイプと同じ動作原理を持っており、ハイレベルステージ、ローレベルステージの2つのノイズリダクション・プロセッサーに10dBずつを受持たせる事で、トータルで最大20dBのノイズ低減を実現しています。
また、Cタイプでは動作を開始する周波数を入力レベルと周波数成分に応じて可変するスライディングバンド方式を採用しており、ノイズの息づきと呼ばれるブリージング現象を抑えています。
ドルビーNRスイッチにより、Cタイプ/Bタイプ/offの切替えが可能です。

-40dB~+10dBを24セグメントで表示するFLディスプレイのワイドレンジ・ピークレベルメーターを搭載しています。

テープに録音された曲の中から、好きな1曲を選び出し頭出しできるRAMM機能を搭載しています。

イージー・キューイング機能を搭載しており、FF/Rew中にポーズボタンを押すと、スピードが約1/3にダウンし録音内容を聞くことができます。さらにFF/Rewボタンを押し続けると、スピードが約1/5に落ち、容易に曲の頭出しが行えます。

Recミュート機能を搭載しており、録音中にさらにRecボタンを押すと、押し続けている間だけ入力信号がカットされ、無音録音部が作れます。

MPXフィルターを内蔵しています。

オーディオタイマーを使用することでタイマー録音再生が可能です。

別売りのリモートコントロールユニットを使用して、離れた場所からの操作が可能です。

機種の定格
型式 ステレオカセットデッキ
ヘッド 録音ヘッド:R-8L
再生ヘッド:P-8L
消去ヘッド:E-8L
テープ速度 4.8cm/s
ワウ・フラッター 0.04%以下 Wtd rms
0.08%以下 Wtd peak
周波数特性(録音レベル-20dB) 20Hz~22kHz ±3dB(ZXテープ)
20Hz~20kHz ±3dB(SX、EXIIテープ)
総合S/N比(IHF A-Wtd rms、400Hz、3%) Dolby C on:72dB以上(70μs、ZXテープ)
Dolby B on:66dB以上(70μs、ZXテープ)
総合歪率(400Hz、0dB) 0.8%以下(ZXテープ)
1.0%以下(SX、EXIIテープ)
消去率 60dB以上(1kHz、0dB)
チャンネルセパレーション 37dB以上(1kHz、0dB)
クロストーク 60dB以上(1kHz、0dB)
バイアス周波数 105kHz
入力感度/インピーダンス 50mV/50kΩ
出力レベル/インピーダンス
(アウトプットレベル最大)
ライン:1V(400Hz、0dB)/2.2kΩ
ヘッドホン:45mW(400Hz、0dB)/8Ω負荷
ブラックボックスシリーズ専用DC出力 ±10V、125mA最大
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 最大36W
外形寸法 幅482x高さ143x奥行340mm
重量 約9kg
別売 ワイヤードリモコン RM-200(¥2,000)