Marantz PM-94
¥228,000(1985年頃)
解説
マランツのセパレートアンプ技術を投入したプリメインアンプ。
出力段はMOS FETを採用したトリプルプッシュプル構成となっています。
MOS FETは、「良好な高周波特性を持つと同時に高耐圧・大電力化にも対応できる」、「原理的に多数キャリアのみで動作するため、J-FET以上の高入力インピーダンスを実現」「スイッチング時の蓄積効果が少ないため、ターンオフ時間が極めて短縮され、高速スイッチングが可能」などの特長を持っており、マランツ独自のクォーターAと相まって理想的な動作を実現しています。
独自のクォーターA回路を採用しており、最大出力の1/4までは完全な純A級動作を行い、それ以上の最大出力まではAB級動作へ自動的にシフトします。このオートシフトは電子コントロールにより制御されており、メインアンプの出力電圧を検出し、バイアス電流を高速スイッチング回路で制御しています。
PM-94では、従来のクォーターA回路よりも検出速度を向上しており、よりスムーズなコントロールを可能にしています。
MCカートリッジの性能を充分に発揮するため、MC入力に高性能MCトランスを2個左右独立して搭載しています。
このトランスは、2コイル構成で、コア方向と巻線方向の2重シールドを採用しており、高音質MCトランス「MC1000」に迫るクォリティを得ています。
また、昇圧比はHigh・Low切換え型となっています。
電源部には大型トランスと90,000μF大型電解コンデンサーを搭載しています。
特にトロイダルトランスには、珪素鋼板3重シールドを行い、徹底してフラックス対策を施しています。
シャーシには、銅メッキ鋼板の素材「カッパータイト」を全面的に採用し、均一な銅メッキ仕上げのカッパータイトによって従来の銅メッキ以上の効果を得ています。
ヒヤリングで吟味されたパーツ類を採用するなど、徹底したチューニングが施されています。
特性・音質とも同等のペア電解コンデンサーや、銅メッキによる音質改善を実施した各スイッチ類などを採用し、さらに厚さ70ミクロンの回路基板、無酸素銅配線コードを投入しています。
また、ハンダによる音質変化を排除するため、コンデンサはビス止めとし、ビスは全て銅メッキビスを採用しています。
CDダイレクトポジションを搭載しています。このポジションでは、入力セレクター・テープモニターなどのステージをジャンプし、直接マスターボリュームからフラットアンプに直結されます。しかもフラットアンプはFET入力のため、マスターボリューム自体の抵抗変化に対しても、入力インピーダンスの変化は殆ど無視できます。
HiFiVCRモニターポジションを搭載しており、テープモニターと同じ感覚でHiFiVCRによる音楽再生が楽しめます。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力(20Hz~20kHz) | 35W+35W(純A級、8Ω) 140W+140W(AB級、8Ω) 220W+220W(AB級、8Ω) |
出力帯域幅(THD 0.008%、8Ω) | 10Hz~40kHz |
全高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.01%(4Ω) 0.005%(8Ω) |
混変調歪率 | 0.005% |
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.2dB |
ダンピングファクター | 120(8Ω) |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC(High):350μV/40Ω Phono MC(Low):125μV/3Ω Tape、Tuner、CD、Aux:150mV/25kΩ |
出力インピーダンス | Pre out:220Ω |
RIAA偏差 | 20Hz~20kHz ±0.2dB |
SN比(IHF-Aネットワーク) | Phono MM:90dB Phono MC:76dB Tape、Tuner、CD、Aux:100dB |
Phono最大許容入力 | MM:220mV MC:24mV |
トーンコントロール | Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 395W |
最大外形寸法 | 幅454x高さ146x奥行410mm |
重量 | 23kg |