Marantz PM-80BL
¥60,000(1989年頃)
解説
A級/AB級切換え方式を採用したプリメインアンプ。
電源部には大型の電源トランスに加え18,000μFx2の特別仕様電解コンデンサーを採用しており、大出力時でも安定した電流を供給しています。
またスピーカー回路には極太のOFC線を採用しており、パワートランジスタへの電源供給はスムーズに行われています。
強力なノイズキラー回路が搭載されています。
交流を直流に変換する際に生じる整流ノイズ。100kHzから1MHz付近のこの高周波ノイズは、わずかな量でも音質に悪影響を与えるため、ノイズキラー回路によりこの高周波をカットしています。
さらに整流回路を信号系から分離するなどの回路構成により徹底的にノイズを排除しています。
パワートランジスタはリニアリティに優れたPc-100Wのパワートランジスタによるパラレル・プッシュプル構成を採用しており、三段ダーリントン接続として利得を高めています。
またヒートシンクは左右独立構造として、出力回路での相互干渉を抑えており、これによりクロストークが減少しています。
フォノイコライザーにはローノイズFETを採用しており、オーディオ用ICとの組み合わせによってローノイズ・アンプを構成し、レベルの低いフォノ信号の純度を守っています。
また30Hz以下をロールオフすることによって低周波によるモジュレーションを防いでいます。
パーツには厳選された素材を使用しています。
特に信号系には、シルクの繊維状蛋白質フィブロンとマニラ麻の混紗紙をセパレーターに使用した電解コンデンサーを採用しています。
またプリント基板には制振性に優れた紙ポリエステル基材を使用しており、濁りを抑え透明度の高い音質を実現しています。
A級/AB級切換えスイッチを設け、A級の音質を楽しめる構成としています。
通常はA級で、大パワーの必要なときはAB級でという切換え動作が可能でとなっています。
電圧切換え回路をパワー・ステージの近くにレイアウトした回路構成や、バイアス切換えはフォト・カプラーによる距離の最短化を図るなど、音質への影響を最小限に抑えています。
ソースダイレクトスイッチにより、テープモニターやプロセッサーなどのスイッチやコントロール回路を全てジャンプし、専用ボリュームを通ってパワーアンプへのダイレクト入力が可能です。
入力端子は5系統搭載しており、テープ入出力端子は3系統を搭載しています。
さらにプロセッサー端子も搭載しており、グラフィックイコライザーなどを接続することも可能です。
機種の定格
型式 | ステレオプリメインアンプ | ||||
定格出力(20Hz~20kHz、両ch同時駆動) |
|
||||
ダイナミックパワー |
|
||||
全高調波歪率(1kHz、8Ω負荷) | 0.0008% | ||||
混変調歪率(SMPTE) | 0.008% | ||||
出力帯域幅(8Ω負荷、0.03%) | 10Hz~50kHz | ||||
周波数特性 | CD・ソースダイレクト:10Hz~100kHz +0 -3dB | ||||
ダンピングファクター | 180(8Ω負荷、20Hz~10kHz) | ||||
入力感度/インピーダンス | Phono MC:250μV/100Ω Phono MM:2.5mV/47kΩ High Level:150mV/33kΩ |
||||
Phono最大許容入力(1kHz) | MC:16mV MM:160mV |
||||
RIAA偏差(20Hz~20kHz) | ±0.2dB | ||||
SN比(Aネットワーク) | Phono MC:75dB Phono MM:85dB High Level:105dB |
||||
トーンコントロール | Bass:100Hz、±6dB Treble:10kHz、±6dB |
||||
電源 | AC100V、50/60Hz | ||||
消費電力 | 220W(電気用品取締法) | ||||
外形寸法 | 幅454x高さ165x奥行380mm | ||||
重量 | 17.5kg |