LUXMAN T-530
¥78,000(1982年6月発売)
解説
シンセサイザ方式の優れた同調精度と、アナログ方式を超える音質と受信性能を目指して開発された、FM/AMチューナー。
ハイエナジー・PLL・サーキットを採用しており、従来のPLLよりループゲインを大きくとってハイパワー化、ハイスピード化することで応答速度を約3倍に向上しています。
また、高速化したPLLに追随できるよう、バラクタダイオードの同調電圧に余裕をもたせるなどで、誤差修正能力の大幅な向上を実現しています。
さらに、高速動作の実現に伴い、従来12.5kHzだった比較周波数を可聴帯域外の25kHzに設定でき、その成分がオーディオ信号系統へ悪影響を与える問題を排除しています。
CPUによるC.A.T.システムを搭載しており、アンテナ・アッテネーター、IF帯域切替、C.S.フィルタ、ハイ・ブレンドの4つの機能を組み合わせ、常に良好な受信・再生を制御しています。
フロントエンド部には、フェイス・トゥ・フェイス型のツイン・バラクタ・ダイオードを同調回路に、デュアルMOS
FETをRF段に使用しています。
またサイドバンドの妨害エネルギー量が最小になるようRF増幅段のゲインを調整するスペクトラムAGCを採用しており、高感度受信と高妨害排除受信の両立を図っています。
IF段には群遅延特性の優れた三種類のセラミック・フィルタをリミッタ特性の良い差動アンプと組合わせて使用しています。
IFオフセット機能により、受信信号が帯域の中心点でロックされ、トータルに歪の最小ポイントに同調しいます。
検波段には、IF信号をダイレクトに検波し、超広帯域にわたってリニアな特性のスーパーワイド・FM・ディテクタを搭載しています。
FM100%変調時に相当する帯域幅150kHzに対し、30倍以上の5000kHzを超す超帯域にわたるリニアな検波特性を実現しています。
余分な高域成分をカットし、隣接局からの妨害電波によるビート妨害を排除するC.S.フィルタを搭載しています。
FM16局、AM8局をメモリー可能です。
電源を切る前の同調局をメモリーするラストチャンネルメモリーを搭載しており、電源ONで同じ局を受信します。
AM用に角型ループアンテナが付属しており、チューナー本体から離して最適位置に設置できます。
アンテナ・アッテネーターを搭載しており、強電界ではこのスイッチを入れると6連バリコン相当の6バラクタ構成により高妨害排除受信が可能です。
シグナルストレングス/マルチパス切替機能を搭載しており、AM/FM共用で電界強度を7ポイントに表示、切り替えてマルチパス量のチェックが可能です。
テストトーン機能を搭載しており、FMモノラル50%変調に相当する440Hzの信号を送り出せます。
デッキ側のメータを最大レベルから-6dBの位置にすると調整完了です。
機種の定格
型式 | AM/FMステレオチューナー | ||||
<FMチューナー部> | |||||
IHF実用感度(75Ω) | 0.9μV(10.3dBf) | ||||
S/N50dB感度(75Ω) | mono:1.75μV(16dBf) stereo:16.5μV(35dBf) |
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歪率(Wide) |
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S/N | stereo:80dB | ||||
イメージ妨害比 | 80dB | ||||
選択度 | Narrow(±300kHz):80dB Wide(±400kHz):65dB |
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IF妨害比 | 120dB | ||||
スプリアス妨害比 | 120dB | ||||
AM抑圧比 | 70dB | ||||
キャプチャー比 | Narrow:2.5dB Wide:1.3dB |
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サブキャリア抑圧比 | 65dB | ||||
ステレオセパレーション(Wide) | 1kHz:60dB 50Hz~10kHz:50dB |
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<AMチューナー部> | |||||
IHF実用感度 | EXT:1.5μV INT:550μV/m |
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歪率 | 0.3% | ||||
S/N | 50dB | ||||
イメージ妨害比 | 40dB | ||||
<総合> | |||||
出力電圧 | FM:1V(100%変調) AM:0.3V(30%変調) |
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外形寸法 | 幅453x高さ87x奥行344mm | ||||
重量 | 4.8kg |