解説　

ラボラトリーリファレンスシリーズのデジタルシンセサイザー方式FMステレオチューナー。

デジタルシンセサイザー方式では、チューナーの心臓部とも言える発振回路をPLL(Phase Locked Loop)で制御する周波数シンセサイザーで構成し、受診週明h数を直接デジタルコードで決定しています。
これにより従来のアナログチューナーとは比較にならないほどの同調精度と周波数安定性が得られてます。

フロントエンドは高周波増幅段とミキサー段にMOS型FETを使用しており、低歪の局部発振回路の後にはバッファ回路を設けることで、妨害除去特性の改善を図っています。
また、中間周波増幅段には、特に位相特性を重視した4ポール・ブロックフィルター2組とセラミックフィルターを組合せ、両方の長所を生かして高選択度と低歪の両立を図っています。また、過変調に強いクアドラチュア広帯域検波回路も低歪率化に貢献しています。

マルチプレックス回路には低歪のPLL ICを採用するとともに優れたセパレーション特性が得られるよう工夫が施されています。

電源部には本格的な定電圧電源回路を採用しています。

メモリーチューニング機能を搭載しています。
5T50ではメモリー素子にC-MOS ICを使用し、デジタル・コードで記憶される純電子式のメモリー回路を採用しており、希望の局の記憶や消去が可能です。メモリー可能な放送局数は7局で、電源を切っても記憶させた局が消去されません。

オートチューニングはチューニングキーを押すとUPまたはDOWNの方向に次の放送局があるまで自動的に動き、放送電波をキャッチすれば停止します。
また、マニュアルチューニングではUPまたはDOWNのチューニングキーを軽くふれると100kHzずつ上または下へ受信周波数が変化し、チューニングキーを押し続けるとあらかじめ設定したスピードで受信周波数が変化します。そして、キーから手を離すとチューニングが停止します。

放送局の受信状態の目安を0～5までの数字で表示するシグナル・クオリティ・インジケーター、テープデッキの録音レベルを決定するテストトーン発振回路、マルチパス検出回路、ミューティングレベル調整機能、スキャニング・スピード調整、出力レベル調整などの機能を搭載しています。

アナログチューナーの操作感覚を採り入れてダイアルスケールの直感的な判別が行えるようにLEDダイアルスケールを搭載しています。この方式では、76.1MHz～89.9MHzのFM放送用帯域を1MHzごとに表示する14個のLEDと1MHzの間を100kHzごとに表示する10個のLEDを設けており、数字とLEDによるダブル表示で受信周波数を判別できます。

ラボラトリーリファレンスシリーズでは、下部に脚を、上部に受け金具を付け、この間を金属支柱で支えるという構造を採用しています。これにより積み上げた際に下になった製品に無理な荷重がかかりません。
また、脚と受け金具はぴったりと組み合わさるため、ズレたり倒れることがありません。

別売のオプションパーツとしてEIA規格の標準ラックマウント用金具がありました。

機種の定格

型式	FMステレオチューナー
受信周波数	76.1MHz～89.9MHz
実用感度	1.7μV(300Ω、IHF)/9.8dBf(新IHF)
SN比50dBクワイティング感度	mono:3.2μV(IHF)/15.2dBf(新IHF) stereo:40μV(IHF)/37.2dBF(新IHF)
2信号選択度	72dB(100μV、±400kHz)
振幅変調抑圧度	55dB
キャプチャー比	1.1dB
イメージ比	100dB
IF妨害除去比	100dB
スプリアス特性	100dB
SN比	70dB
周波数特性	30Hz～15kHz +0.2 -1dB 50Hz～10kHz ±0.2dB
全高調波歪率	mono: stereo: 0.05%(100Hz) 0.06%(1kHz) 0.1%(10kHz) 0.1%(100Hz) 0.08%(1kHz) 0.3%(10kHz)
ステレオセパレーション	48dB(100Hz) 50dB(1kHz) 48dB(10kHz)
キャリア・リーク	-65dB
アンテナインピーダンス	300Ω(平衡) 75Ω(不平衡)
出力電圧	Fix:1V Variable:0～1V
出力インピーダンス	600Ω
付属装置	純電子式メモリーチューニング回路 オートチューニング回路 数字表示式シグナル・クオリティ・インジケーター レコーディング・キャリブレーター マルチパス検出回路 ミューティング・レベル調整 スキャニング・スピード調整 アンテナ・アッテネーター 出力レベル調整
消費電力	30W
外形寸法	幅442x高さ101x奥行400mm
重量	8.7kg