LUXMAN LMC-2
¥29,000(1982年頃)
解説
LMC発電方式とブロックシャーシによる集中マウント構造カートリッジの第2弾として発表されたMC型カートリッジ。
発電方式にLMC(Linear Magnetic-field Cross)発電機構を採用しており、独自の構造によって超軽量化と高効率でリニアな発電を実現しています。この方式では発電系全てをあわせた重量が従来の1/8に抑えられており、さらに発電効率は5倍となっています。
LMC発電方式では、カンチレバーの方向と同軸上に並んだ2つのリング状サマリウム・コバルトのデュアルマグネットによって、ヨークを介さずにカンチレバーを軸として360゜前方向に均一という理想的な磁界を形成しています。これによりコイル全面にロスなく磁束を直交させることに成功し、高効率とリニアリティを両立させています。
カンチレバーにはチタンテーパーパイプを採用しています。
スタイラスの材質には天然ダイアを採用しており、トレース能力に優れたセミ・ライン・コンタクト型とすることでレコードの弾性変形を極小に抑えるとともに60kHzにおよぶ高域までのトラッカビリティを実現しています。
独自のブロックシャーシ支持構造による集中マウント構造を採用しています。
従来の発電効率の悪いタイプのMCカートリッジでは発電系が重量化してしまうため、これを固定するシャーシを持たずにケース自身で支えるモノコック構造とすることでローマス化を図っていました。しかし、この方式で軽量な樹脂ケースなどを使用すると有害共振を起こして再生音に色付けが発生していました。
LMC発電方式では発電系の超軽量化に成功しているため、支持部分に十分な重量と強固な構造を持つことが可能です。そこで、減衰特性に優れた防振金属を用いてブロックシャーシを形成して振動系全体を軸(カンチレバー)方向に固定し、他のパーツも全てブロックシャーシへ直結した集中マウント構造としています。
この構造によって振動系を固定する構造体はこのブロックシャーシのみとし、カバーなどは支持構造に関係させないことで、変形や鳴きに起因する音の色付けを防いでいます。
LMC-2ではこの部分に亜鉛合金ダイキャストブロックシャーシを採用しています。
振動系では、リニアリティに優れるステンレス鋼線によって振動子点を明確化し、針圧負荷をリニアに吸収することでノンリニアな動作となるダンパー負荷を軽減しています。
機種の定格
型式 | MCカートリッジ |
発電方式 | ムービングコイル型 |
カンチレバー | チタンテーパーパイプ |
スタイラス | 0.15mm角セミ・ラインコンタクト型天然ダイヤ |
マグネット | サマリウム・コバルトx2 |
シャーシ | 亜鉛合金ダイキャスト |
出力電圧 | 0.2mV(1kHz、5cm/sec、水平) |
チャンネルバランス | 0.5dB以内(1kHz) |
クロストーク | 25dB以内(1kHz) |
コンプライアンス | 10x10-6cm/dyne(100Hz) |
周波数特性 | 10Hz~60kHz |
針圧 | 1.5g±0.2g |
インピーダンス | 6Ω |
推奨負荷インピーダンス | ヘッドアンプ:40Ω以上 昇圧トランス:3Ω以上 |
自重 | 5.8kg |
針交換 | 新品交換(¥20,300) |