LUXMAN 5F70
¥86,000(1977年5月発売)
解説
ラボラトリーリファレンスシリーズ用に設計されたトーンコントロールアンプ。
5F70では、オリジナルの音質を損なうことなくトーンコントロールを実現するため、要所に新開発のDML-ICを用いて完璧なドリフト対策を施したDCアンプ構成を採用しています。
基本構成はトーンコントロール回路とアコースティックコントロール回路で構成されています。
トーンコントロール回路は新規開発のノッチングが少なくGm(順伝達アドミッタンス)が大きく、しかも両ユニットのバランスがとれたFETで差動増幅回路を構成し、これにカレントミラー回路、カスコード回路、定電流回路などを組み合わせたDCアンプ構成を基本としています。そして、DCゲインのあるところにはDML-ICを効果的に配することでDCドリフト対策としています。
低域のトーンコントロールはブースト、カットともCR型回路を採用しており、高域のトーンコントロールはブーストがNF型回路でカットがCR型回路となっています。
アコースティックコントロール回路にはリスニング・ルームで発生する有害な定在波を効果的に除去するためにツインT型回路を採用しており、バッファ回路を効果的に配することでツインT型回路の働きを完全にしています。
このバッファ回路は新たに開発されたFETで差動増幅回路を構成し、カレントミラー回路や定電流回路などを有効に配したDCアンプ構成となっています。
トーンコントロール機能は湾曲点周波数は低域と高域のそれぞれに4ポイントを設けることで細かいトーンコントロールを可能にしています。
アコースティックコントロール機能には、ディップ周波数を75Hz~150Hzの間で連続的に変化させるフリークエンシーコントロール、ディップ量を0~-12dBの間で連続的に変化させるアッテネーションコントロール、急峻なディップ特性から緩やかなディップ特性まで作り出せるバンド幅コントロール(Qが約1~約20まで連続的に変化させられる)の3つで構成されており、これらを操作することによって音質に悪影響を及ぼす定在波などを効果的に除去することができるようになっています。
トーンコントロールした効果がどのようになっているかをチェックするバイパススイッチを搭載しています。
ラボラトリーリファレンスシリーズでは、下部に脚を、上部に受け金具を付け、この間を金属支柱で支えるという構造を採用しています。これにより積み上げた際に下になった製品に無理な荷重がかかりません。
また、脚と受け金具はぴったりと組み合わさるため、ズレたり倒れることがありません。
別売のオプションパーツとしてEIA規格の標準ラックマウント用金具がありました。
機種の定格
型式 | トーンコントロールアンプ |
出力電圧 | 1V(標準) 4.5V以上(最大) |
出力インピーダンス | 500Ω |
全高調波歪率 | 0.005%以下(出力2V、20Hz~20kHz) |
混変調歪率 | 0.005%以下(出力2V、60Hz:7kHz=4:1) |
入力感度 | 1V |
入力インピーダンス | 100kΩ |
周波数特性 | 10Hz~100kHz -1dB |
利得 | 0dB |
SN比 | 104dB以上(IHF-Aカーブ補正、入力ショート) |
レベルコントロール | 最大±12dB(連続可変、各湾曲点切換位置にて) |
湾曲点周波数 | 低域:125Hz、250Hz、500Hz、1kHz 高域:1kHz、2kHz、4kHz、8kHz |
アコースティックコントロール | ディップ周波数:75Hz~150Hz(連続可変) アッテネーション:0dB~-12dB(連続可変) バンド幅(Q):約1~約20(連続可変) |
クロストーク | -80dB以下 |
残留雑音 | 0.045mV以下 |
付属装置 | アコースティックコントロール トーンディフィートスイッチ |
消費電力 | 10W |
外形寸法 | 幅442x高さ57x奥行400mm |
重量 | 5.1kg |