LUXMAN M-6000
¥650,000(1975年2月発売)
解説
従来の大出力パワーアンプの欠点を克服し、優れた特性を獲得したステレオパワーアンプ。
メインアンプ部は2段差動増幅回路を用いた全段直結ピュア・コンプリメンタリーOCL方式、パラレル・トリプル・プッシュプル接続の出力回路という構成になっています。
出力段にはラックスのために開発された大出力パワートランジスタを片チャンネルあたり12個使ったパラレル・トリプル・プッシュプル構成を採用しており、コンプリメンタリードライブ段にはパラレル・プッシュプル構成を採用しています。この構成は、全てのトランジスタのhfe-Ic特性のリニアリティの優れた部分を使って大出力から小出力まで低歪率で安定した動作を可能にしています。
また、A級動作のプリドライブ段とB級動作の出力段の間にエミッターフォロア回路を設け、スピーカー負荷によるインピーダンスの変動がプリドライブ段にまで及び歪率特性が悪化するのを防ぐとともにプリドライブ段の負荷条件を改善しています。さらに、要所要所には定電流駆動を行っています。このプリドライブ段にはft(高域遮断周波数)が高く、Cob(コレクター出力容量)の少ないトランジスタを採用するなどにより、軽い位相補正を施すだけで全帯域にわたる安定した低歪率ドライブを可能にしています。
電源部には2個の大型電源トランスと4個の20,000μFの大容量電解コンデンサーを組合せています。B電源の出力段に供給する電源は左右チャンネルを完全に分離しているため、左右チャンネル間の干渉による歪の発生が抑えられています。
また、プリドライバー段までのA級動作部分に供給する電源には本格的な定電圧回路を採用しており、AC電源電圧の変動やパワー部の電流変動の影響を防いでいます。
保護回路には渦電流検出回路、DCドリフト検出回路、異常温度検出回路、ヒューズ切れ検出回路の4つの保護回路を搭載しています。
DCドリフト検出回路では、スピーカー端子に±3V以上の電圧が発生した場合にスピーカー保護用として動作します。また、異常温度検出回路では、ヒートシンクが異常に熱くなった時に電源を切断します。
ヒューズ切れ検出回路では、パワートランジスタ監視用ヒューズが溶断した場合に電源を切断します。
入力回路にはレベルセット用として高級アッテネーターと同型の1dBステップ精密級ディテントボリュームを採用し、さらに定電流駆動されたエミッターフォロア段を設けることでコントロールアンプとメインアンプ回路の間を電気的に絶縁しています。
平均レベル表示の大型VUメーターや、瞬間的なピーク値を表示するLEDピークインジケーターを搭載しています。
0dB~-10dBの出力表示感度切換え機能を搭載しており、出力表示をOFFにすることも可能です。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
連続実効出力 | 300W+300W(8Ω、両ch動作/片ch動作とも) |
全高調波歪率 | 0.05%以下(8Ω、300W、20Hz~20kHz) |
混変調歪率 | 0.05%以下(8Ω、300W、60Hz:7kHz=4:1) |
出力帯域幅 | 10Hz~40kHz -3dB(0.1%) |
入力感度/インピーダンス | 1.25V/75kΩ |
SN比 | 100dB以上 |
残留雑音 | 0.5mV以下 |
ダンピングファクター | 70(8Ω) |
付属装置 | 出力表示用VUメーター&ピークインジケーター 出力表示感度切換スイッチ VUメーター&ピークインジケーター独立式ON-OFFスイッチ 左右チャンネル独立型入力レベルセット(1dBステップ、22ポイント) リモート電源コンセント |
保護回路 | スピーカー端子DCドリフト検出によるスピーカー保護回路 渦電流検出によるアンプ保護回路 ヒートシンク温度検出によるアンプ保護回路 パワートランジスタ用ヒューズ溶断検出によるアンプ保護回路 |
使用半導体 | トランジスタ:158個 ツェナーダイオード:10個 バリスタ:8個 ダイオード:74個 ホットセル:2個 LED:18個 SCR:1個 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 150VA(無信号時) 1.3kVA(8Ω、両ch動作、定格出力時) |
外形寸法 | 幅570x高さ220x奥行425mm |
重量 | 52kg |