オーディオの足跡

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M-10の画像
 解説 

B-10/C-10と同様のクオリティを追求して開発されたステレオパワーアンプ。

M-10はNFB補正前のベーシックな回路特性を徹底追求して完成度を高めるため、CSSC回路、ODβ回路、ハイ・イナーシャ電源を採用しています。

出力段は片チャンネル当たり8個のPc200W級マルチ・エミッター・トランジスタを用いた4パラレル構成となっており、強力な電源部と合いまって、ローインピーダンスのスピーカーでも余裕のあるドライブ力を獲得しています。
また、BTL接続によるモノラルパw−あアンプとしても使用できます。

高周波回路技術を応用して開発されたコンプリメンタリー構成シングル・スタガー・サーキットCSSC(Complementary Single Stagger Circuit)を搭載しています。
CSSC回路では2段目に安定性に優れたベース接地タイプの電流伝送段を採用しており、位相特性を大幅に改善することで最小レベルの位相補正で安定動作させることを可能にしてます。これによりハイスルーレートな立ち上がりと非常に帯域の広い特性を実現しています。

回路構成の初段はハイ・インピーダンス受けを確保するためのローノイズ、ハイ・アドミッタンス・シリコン結合のデュアルFETを用いたコンプリメンタリー構成の差動入力を採用しています。温度特性の良いデュアル・トランジスタによるカスコード・ブートストラップ接続を採用することで、高域劣化をなくし高域までハイインピーダンスな入力を実現しています。
2段目はCSSC回路の特徴でもある電流伝送段を採用し、ドライブ回路から最終パワー段には3段コンプリメンタリー・ダーリントン回路を採用しています。

全帯域にわたってエネルギーのバランスを整え、音色の統一性を確保するため、独自のNFB技術であるODβ回路を搭載しています。
一般的なNFBでは直流域と交流域をそれぞれ別帰還としており、交流領域のNFBが音質に影響を与えるとともに、直流域のNFBがDCの領域に接近している低音域の音質に影響を与えています。また、DCのフィードバックではDCサーボアンプなどを挿入することがあり、DC領域のみに異なったプロセスを採り入れることでAC領域とのバランスの違いとなることがありました。
ODβ回路ではこの問題を根底から解決するために回路の裸特性を硬度に練りあげており、DCサーボアンプ等を組み込むことなくベーシックなDC帰還のみで優れた直流安定性を確保しています。また、交流域のNFBに関してもラックスの伝統的な手法であるNFBの最適化が図られており、全帯域でのエネルギーバランスを整えています。

電源部にはハイ・イナーシャ電源を採用しています。
一般的な定電圧電源回路におけるNFBは、音楽のリアルタイムに対してフィードバックから出力制御に至るまでの時間差があり、ミクロ単位で観察すると電源電圧は常に小刻みに揺れています。また、フィードバックから時間軸上で少し離れたポイントでは逆に大きな変動となり、音楽信号に著しい影響を与えています。
この問題を改善するため、ハイ・イナーシャ電源では大容量の電源トランスを搭載してACレベルのレギュレーションを高め、レギュレーター回路の出力側に瞬時放電能力に優れた独自の大容量カスタム電解コンデンサーを搭載しています。この構造によって充分な余裕を電源部に持たせ、レギュレーターへの依存度を軽減しています。
この構造によってアクティブ回路以外での電源の慣性力を高め、レギュレータ−制御回路のNFBを極小化し、フィードバックによる遅れ制御に起因する音質的弊害を極小にするとともに小刻みな電圧変動をゆったりとした変動に変えています。

電源トランスには徹底した低インピーダンス化によって高度なレギュレーションを実現した800VAのEIコア・トランスを採用しています。
このトランスは音楽への動的なエネルギーを供給する二次巻線は回路間の干渉を排除した独立3巻線としています。
また、トランス1次側は配線材によるシールドが施されており高周波ノイズを遮断しています。さらに、出力段に供給する主巻線からの整流回路には超高速ダイオードを片チャンネル当たり2パラレルで使用し、徹底的に低インピーダンス化を図っています。
ブロック・コンデンサーには22,000μFのカスタム電源コンデンサーを片チャンネル2当たり2本、合計4本使用しています。これはストロボ発光などに使用される特殊仕様の瞬時放電コンデンサーに着目してオーディオ用に開発したもので、大容量なだけでなく電源の低インピーダンス化も実現しています。

回路基板には絶縁特性に優れたガラスエポキシ基板を使用し、パターンには70ミクロンの銅箔を使用しています。
さらに、電源部からアンプ部、スピーカーまでの大電流が流れる要所には基板のパターンに依存せず、高純度な6Nワイヤー(18番をパラレル2本使用)や厚手の金メッキを施した銅製バスバーを使用しています。

内部コンストラクションには高剛性ボックス遮断構造を採用しています。
この構造では、電源部、入力部、パワーブロック、メーター制御部など異なった役割を持つセクションは全て相互干渉を起こさないようレイアウト検討から行われており、さらに各ブロックにシールド壁を施し、高周波を発生するワイヤー類にも電磁吸収チューブを巻くなど、電磁ノイズや高周波ノイズを徹底して排除しています。
さらに、シャーシ・ベースには安定性が高く振動吸収モードに優れた5点接地タイプの大質量FRPベースを採用しており、肉厚の硬質シャーシ材によって各パーツをマウントすることで振動ノイズの発生を抑えています。

スピーカー端子には独自開発の大型端子を採用しています。この端子は通常のスピーカーケーブルの他にバナナプラグやYラグ端子の接続が可能です。
また、プロの音響現場で使用されているスピコン端子も装備しています。

入力端子はXLR/RCAの2系統を装備しています。
これらの端子には6段階の独立抵抗切換式アッテネーターを搭載しており、音質劣化を抑えつつ、-∞、-30dB、-20dB、-12dB、-6dB、0の6つのポジションから入力レベルを選択できます。

多くのカスタムパーツが使用されており、電源トランス、電解コンデンサー、小容量コンデンサー、銅スチロールコンデンサーにはラックスのカスタムメイド品を使用しています。

ACインレットタイプを採用しており、電源ケーブルの変更が可能です。
また、電源の極性を管理するライン・フェーズ・センサーを搭載しています。

リモート端子を搭載しており、ラックスマンのコントロールアンプ(C-10、C-9、C-7等)と組み合わせることで連動した電源ON/OFFが可能です。

立体的なイルミネート・ブランド・ロゴが上部に設けられた120x100mmの大型パワーメーターを搭載しています。
メーター回路にはディスクリート構成を採用しており、アンプの駆動状態を的確に伝えるとともに滑らかな動きを追求しています。
表示方式は対数圧縮型となっており、BTL接続によるモノラル使用時は左メーターで表示します。

フロントパネルには特殊な梨地状の仕上げを施した15mm厚アルミ押し出し材を採用しています。
また、木製のキャビネットを用いたラックスマン伝統のデザインが取り入れられています。

M-10からM-10IIへのバージョンアップサービスが行われていました。

機種の定格
型式 ステレオパワーアンプ
連続実効出力
ステレオ時:

モノラル時:
400W+400W(4Ω)
250W+250W(8Ω)
800W(8Ω)
入力感度 1V/250W(8Ω)
入力インピーダンス Coaxial:47kΩ
Balance:80kΩ
利得(ゲイン) 33dB
全高調波歪率 0.005%(1kHz、8Ω)
0.06%(20Hz~20kHz、8Ω)
周波数特性 20Hz~20kHz +0 -0.1dB
10Hz~100kHz +0 -1.5dB
S/N比 118dB(1kHz、IHF-A)
入力端子 Coaxial(RCA) L/R
Balance L/R
出力端子 3ウェイ大型万力タイプ L/R
スピコン端子 L/R
付属装置 大型パワーメーター
アッテネーター(Balance、Coaxial切替SW兼用)
BTLスイッチ
リモートパワーSW用端子
ラインフェイズセンサー
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 620W(電気用品取締法)
最大外形寸法 幅467x高さ233x奥行482mm
重量 43.5kg
別売 M-10IIへのバージョンアップ(¥200,000)