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LUXMAN L-58A \149,000(1979年9月発売)

解説
独自のデュオ・ベータ・サーキットにより、単なる特性改善ではなく音質改善のためのアンプの体質改善を図ったプリメインアンプ。

デュオ・ベータ・サーキットとは、2つのNFBを組み合わせた回路という意味です。
この回路では、多量のNFBをかけてアンプの諸特性を改善しようとするのではなく、素質(裸特性)の良いアンプを作り上げて、これに少量のNFBとDCサーボを組合わせる事で諸特性を改善しています。

パワーアンプ部では、入力段にNチャンネル用2SK163とPチャンネル用(2SJ44)のFETによるピュア・コンプリメンタリー・ディファレンシャル・プッシュプル回路を採用しており、DCアンプ構成として裸の歪特性を改善しています。
また、入力段から出力段に至るまで、全てをプッシュプル回路で構成し、同時にft(高域遮断周波数)が高く、Cob(コレクター出力容量)の小さいトランジスタやFETを採用し、歪を軽減しています。
そして、出力段にはftが約500MHzのMOS FET(2SK134と2SJ49)を採用し、バイアス電流を300mA以上流すと共に、高速ドライバー回路を組み合わせて、スイッチング動作をしないアンプに仕上げた"ノッチレス・クラスA"に仕上げています。
また、高域特性の優れた素子の採用とローカルNFBの採用など回路的な工夫によって、オープンループ・ゲイン(裸の利得)を下げ、裸の周波数特性を一桁改善しています。
これらの結果、パワーアンプ部の裸の歪率は0.4%(従来は2〜5%)、スルーレイトは300V/μsec(従来は10V/μsec)に改善しています。

イコライザー部では、入力段にFET4石によるカスコード入力式ブートストラップ回路を採用sいており、トランジスタによる動抵抗回路を組み合わせ、裸の歪を抑えています。
また、出力インピーダンスを極力低く抑えるため、トランジスタ4石によるSEPP回路(シングル・エンデッド・プッシュプル回路)を採用し、裸の歪を低減しています。
これらの結果、プリアンプ部(イコライザー段)の裸の歪率は0.2%(従来2〜5%)、スルーレイトは150V/μsec(従来は10V/μsec)に改善しています。

デュオ・ベータ・サーキットでは、この裸特性を改善したアンプ回路に、従来のアンプの100分の1以下に減らしたNFBをかけることでTIM歪を低減しています。これにより中高域の音質を改善しています。

締まった低域再生や、NFB量を減らした事によって発生するダンピングファクターの低下やスピーカーのコーン・エクスカージョン(コーンのフラフラ現象)などにより、混変調歪やSN比が悪化するのを防ぐため、デュオ・ベータ・サーキットでは独自のDCサーボ回路を採用しています。
このDCサーボ回路は少量NFB回路にパラレルに組合わされており、ローノイズFETアンプを採用しているため、フィルター回路に良質のフィルム・コンデンサーが使え、締まった低域再生を可能としています。

MC用ヘッドアンプでは、音質を優先するため、入力のFETを多数接続するのではなく、あえてFETのパラレル接続によるDCアンプ構成を採用しています。
ノイズ特性の優れたNチャンネル用FETをパラレルに接続するとともに、定電流回路を組み合わせて特に高域特性を改善したDCアンプ構成となっています。これにより、実質的にはSN比では多少不利になっていますが、接続するMCカートリッジのインピーダンスが変わると、自動的に増幅度を調整するゲイン自動調整方式を採用し、この問題を解決しています。

音質劣化の原因となるフラットアンプを追放し、不足する増幅度をパワーアンプ回路でカバーする構成となっています。このため、トーンコントロール回路が他の回路に影響を受けるのを防ぐために、トーンコントロールの前段にバッファアンプが設けられています。
バッファ回路とトーンコントロール回路には、FET入力によるカスコード接続のソース・フォロア回路を使用しており、トーンコントロール回路には変化特性が素直なLUX方式NF型湾曲点切替付を採用しています。
また、トーンコントロールが不要な時のため、これらの回路をバイパスできるようにしています。

パワー部の電源回路には、音質対策型の大容量ブロック・コンデンサーを採用するとともに、パラレルにフィルム・コンデンサーを組み合わせるなどして、高域特性を改善しています。
また、プリアンプ部用の定電圧電源は、スイッチング・スピードの速いパワー用トランジスタを採用し、回路インピーダンスを充分に下げています。
さらに、パワーアンプ部のプリドライバー段用にも定電圧電源を採用し、動作の安定化を図っています。

アンプ内部の金属シャーシが配線回路に干渉するのを最小限に抑えるため、プリント基板に対応するシャーシをくりぬいた構造にしています。
また、キャビネットにはリアル・ウッドの木箱を採用し、そのシールドも必要最小限に絞って極薄のアルミ箔を使うなど、徹底的にうず電流歪を排除しています。
 
 
リアパネル MCヘッドアンプ部
内部レイアウト
 
機種の定格
型式 インテグレーテッド・アンプ
連続実効出力 100W+100W(8Ω、両ch動作、20Hz〜20kHz)
全高調波歪率 0.015%以下(8Ω、100W、20Hz〜20kHz)
混変調歪率 0.015%以下(8Ω、100W、60Hz:7kHz=4:1)
周波数特性 phono MM、MC-1:20Hz〜20kHz ±0.2dB
tuner、aux1、2、main in:10Hz〜100kHz -1dB
入力感度/インピーダンス phono MM:1.5mV/50kΩ
phono MC-1:1.5mV/100Ω(イコライザー部へダイレクト)
phono MC-2:0.05mV/2Ω〜0.15mV/40Ω
        (ゲイン自動調整式ヘッドアンプが動作)
tuner、aux1、2:220mV/20kΩ
main in:220mV/820kΩ
SN比(IHF-A、
入力ショート)
phono MM:80dB以上
phono MC-1:80dB以上
tuner、aux1、2、main in:100dB以上
トーンコントロール LUX方式NF型湾曲点周波数切替付
低域湾曲点:150Hz、300Hz、600Hz
高域湾曲点:1.5kHz、3kHz、6kHz
出力レベル/インピーダンス pre out:220mV/220Ω
付属装置 サブソニックフィルター(15Hz、off、30Hz)
ハイカットフィルター(9kHz、0ff、15kHz)
ローブーストスイッチ(70Hz、off、150Hz)
テープモニタースイッチ
テープダビング&rec offスイッチ
スピーカーセレクター
ヘッドホンジャック
ACアウトレット switched:3系統、max300W
unswitched:1系統、max200W
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 300W(電気用品取締法)
外形寸法 幅466×高さ181×奥行378mm
重量 15.3kg