LUXMAN L-309V
¥148,000(1975年10月発売)
解説
創業50周年に企画されたVシリーズの一つで、L-309の改良型にあたるプリメインアンプ。
メインアンプ部は±スプリット電源による2段差動増幅全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL回路を採用しています。
ドライバー段にはfTが高く、Cobが特に少ないトランジスタを厳選して用い、定電流で駆動しています。さらにB級動作の出力段とA級動作のプリドライブ段の間にエミッターフォロア回路を設ける事で両方を電気的に絶縁し、プリドライブ段が出力段の影響を受けないようにすると共に、プリドライブ段の高域の負荷条件を良くして軽い位相補正を施すだけで全帯域にわたる優れた歪率特性を実現しています。
プリアンプ部のイコライザー回路の出力段には高電圧を加えたA級動作のインバーテッド・ダーリントン接続でプッシュプル回路を構成させており、優れた耐入力電圧を確保しています。
この出力段を駆動するオペレーショナルアンプ用ICは裸のループゲインが高く、イコライザーカーブに近似の周波数特性を持つもので、全帯域にわたって十分なNFが均等にかかり、歪率特性の改善と優れた安定性を得ています。
また、ここには極わずかの直線的な傾斜を周波数特性に与えるリニアイコライザーを搭載しています。
中間アンプ回路は2段直結型となっており、トーンコントロール回路にはLUX方式NF型を採用しています。トーンコントロールの湾曲転周波数は高低とも3ポジションの中から選択でき、回路の切り離しも可能です。
フィルター回路はローカットがCR型でハイカットがLC型となっています。
電源部はB級出力段用とA級ドライブ段用、プリアンプ用とを完全に分離した構成となっており、出力段用のフィルター回路には2個の15,000μFの大容量コンデンサを採用しています。
意匠的には従来のレイアウトをほぼそのまま生かしつつ、パネルやツマミなどの色調を明るくし、完成度を高めています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
連続実効出力 | 80W+80W(8Ω、両ch動作時、20Hz~20kHz) 100W+100W(4Ω、両ch動作、20Hz~20kHz) |
全高調波歪率 | 0.03%以下(8Ω、80W) |
混変調歪率 | 0.03%以下(8Ω、80W、60Hz:7kHz=4:1) |
出力帯域幅 | 5Hz~40kHz -3dB(0.1%) |
入力感度/インピーダンス | Phono1:2.5mV/30kΩ~50kΩ~100kΩ(連続可変) Phono2:2.5mV/50kΩ Tuner:150mV(可変)/40kΩ Aux1/2:150mV/50kΩ |
SN比 | Phono1/2:62dB以上 Tuner、Aux1/2:80dB以上 |
Phono最大許容入力 | 300mV以上(RMS、1kHz) |
残留雑音 | 0.5mV以下 |
ダンピングファクター | 40(8Ω負荷) |
トーンコントロール | LUX方式NF型湾曲点周波数切換付 低域湾曲点:150Hz、300Hz、600Hz 高域湾曲点:1.5kHz、3kHz、6kHz |
ローカットフィルター | 20Hz、70Hz(-6dB/oct) |
ハイカットフィルター | 7kHz、12kHz(-12dB/oct) |
ローブースト | 70Hz(+6dB/oct) |
付属装置 | リニアイコライザ(phono専用) テープダビング回路 テープモニター回路 Phono1用入力インピーダンス調整 3点切換式アッテネーター ハイフィルター ローフィルター スピーカー切換スイッチ |
使用半導体等 | トランジスタ:47個 IC:1個 ダイオード:20個 ツェナーダイオード:4個 バリスタ:6個 |
消費電力 | 300W(8Ω、両ch動作、定格出力時) |
外形寸法 | 幅485x高さ165x奥行300mm |
重量 | 15.5kg |