LUXMAN C-300
¥220,000(1980年12月発売)
解説
デュオ・ベータplusX回路を採用したステレオコントロールセンター。
物理特性優先の過剰NFBを排し、音質との兼ね合いで制御する技術としてデュオ・ベータ回路を採用しています。この回路は、裸特性そのままでも実用になるほどのアンプ回路を作り、音質の仕上げとして適量NFBとDCサーボを加えます。
こうすることで、NFBによって音楽性が抑圧されす、また過剰なNFBによるTIMなどの過渡的歪発生を抑え、音楽性を向上させています。
電源部の帰還回路にも適切制御の思想を導入した、デュオ・ベータplusXを採用しています。
一般的な安定化電源は出力端のズレを研修し、強力にフィードバックをかけ、インピーダンスを下げています。これに対して、安定化を施さない電源そのもののインピーダンス特性は低域で上昇してしまい、音質は向上しますが、低域のダンピングが甘くなったり、直流域での安定性が得られないなどの問題があります。
plusXでは、過剰なフィードバックに頼る必要の無い低インピーダンス電源を作り、中高域ではこの裸特性を活かした制御を、低域にはアンプ回路に応じた制御を設定しています。
イコライザ回路には、初段に高GmのローノイズデュアルFETによるカスコードブートストラップ入力をカレントミラー負荷で採用し、低歪率と高SN比を得ています。
二段目には、動抵抗回路を配した高fT・PNPトランジスタによるカスコード定電流負荷増幅回路を構成し、出力段には高fTのトランジスタによるA級プッシュプル構成として電流を流し、送り出しをローインピーダンス化するとともにNFB素子の負荷にも余裕を持たせています。
フラットアンプは、基本的にイコライザと同様の回路を採用しており、とくにDCサーボ回路にはFET入力によるオペアンプを搭載して優れたDC安定度を確保しています。
これによって出力コンデンサを除去し、音の色づけを排除しています。
左右独立電源によるDC構成のMCヘッドアンプは、初段をFETパラレル入力のダイレクトカップル型とし、出力部をA級ピュア・コンプリメンタリ・プッシュプルとし、専用の定電圧回路を近接に配置してノイズと電源インピーダンスを低減しています。
電源部は、トランスの巻線から左右完全独立となっており、整流回路・定電圧回路まで含めてツインモノラル電源を構成しています。
これにより左右チャンネル間の干渉を抑えており、同時にトランスの一次側、二次側ともに巻線方向を揃えるなど、徹底した音質管理を行っています。
この電源のトランスやコンデンサには大型、大容量のものを採用して、低インピーダンス化を図っています。
各段のカップリングコンデンサや電源のコンデンサには、良質のフィルムコンデンサを採用して小容量スチロールコンデンサをパラレル接続してます。
このフィルムコンデンサの全てとスチロールコンデンサのほとんどは極性を揃えて音質管理をしています。
また、アルミダイキャストケース入り連続可変型精密級ディテントボリューム、無酸素銅500芯シールドケーブルなどを採用しています。
必要充分な機能を搭載し、配線経路を信号の流れに応じて配置し、単純化を図っています。
シンプルな操作で目的のバランスが得られるターンオーバシフト型トーンコントロールを搭載しています。
変化量に応じてターンオーバー周波数が連続移動するため、従来の2つの操作を単純化しています。
家庭のACコンセントの極性を検知し、機器の極性を統一できるライン・フェーズ・センサを搭載しています。
パッシブ素子のみで構成したツインT型のサブソニック回路を搭載しています。
さらに音質を向上するため、随所に様々な対策がされています。
基板対向面に磁性体が近づかないようなシャーシ設計にするなど、磁性歪を徹底して排除しています。
また、入出力端子には金メッキを採用し、トランスの2次側ヒューズには、ヒューズホルダーとの間にハンダ付をして接触抵抗を低減しています。
さらに、Tape系統はリモートスイッチを採用して配線を単純化しています。
天然木キャビネットを採用しており、裏面にはアルミ箔を貼りシールド効果を得ています。
機種の定格
型式 | デュオ・ベータplusXステレオコントロールセンター |
出力電圧 | Pre Out:標準1V、最大20V Rec Out:標準140mV、最大20V |
出力インピーダンス | Pre Out:47Ω Rec Out:100Ω |
高調波歪率(20Hz~20kHz) | Phono MM/MC:0.005%以下(Rec Out:140mV) Tuner、AUX:0.005%以下(Pre Out:1V) Monitor1、2:0.005%以下(Rec Out:1V) |
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) | Phono MM/MC:0.002%以下(Rec Out:140mV) Tuner、AUX:0.002%以下(Pre Out:1V) Monitor1、2:0.002%以下(Pre Out:1V) |
周波数特性 | Phono:20Hz~20kHz ±0.2dB Tuner、AUX:0.5Hz~140kHz -0.5dB Monitor1、2:0.5Hz~140kHz -0.5dB |
入力感度(Pre Out:1V) | Phono MC:0.09mV Phono MM:2.0mV Tuner、AUX:140mV Monitor1、2:140mV |
入力インピーダンス | Phono MC:high 100Ω、Low 50Ω Phono MM:MM 50kΩ、MC 100Ω Tuner、AUX:55kΩ Monitor1、2:55kΩ |
SN比(IHF-A補正、入力ショート) | Phono MC:-148dB/V(入力換算雑音) Phono MM:80dB Tuner、AUX:100dB Monitor1、2:100dB |
トーンコントロール | ターンオーバー周波数シフト式(高域用、低域用) |
サブソニックフィルター | 7Hz(ツインT型) |
付属装置 | MCインピーダンス切替(high、low) MM/MCdirectインピーダンス切替 トーン・バイパス・スイッチ Rec Outスイッチ テープモニタ2系統(1、2) テープダビング(1→2、2→1) ライン・フェーズ・センサー |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 25W(電気用品取締法) |
ACアウトレット | Switched:2系統、total450W Unswitched:1系統、500W |
外形寸法 | 幅478x高さ163x奥行384mm |
重量 | 9kg |